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2020年東京日記  作者: とみた伊那
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44.布マスクとマスクフィルター

巣ごもり中の趣味は、布マスク作り。外出の時は、作ったマスクの中に不織布のマスクフィルターを入れて使っている。


ここでは

マスク → カレー

マスクフィルター → 米

と例えることにする。


私は巣ごもりで家にいなければいけない時、カレー作りを趣味にしていた。カレーの材料はお金もかかったし、売り切れも多かった。しかし早めに買っておいたので、何とか材料を揃えることができた。その材料を買う時に、少し早めだと思ったが、米も一緒に買っておいた。その数日後、非常事態宣言で米が売り切れた。


作ったカレーは友達や親せきに配った。なかなか好評で、ますますカレー作りが楽しくなった。同居している母には、もちろんカレーと米を渡した。それと同時に「これ、伯母さんに送ってね」と、伯母さん用のカレーを渡した。


数日後、伯母さんから電話があった。カレーのお礼と

「お米が無くなったらどうするの? 」

という質問だった。母は私が渡したカレーに、自分用の米を半分一緒にしてカレーライスとして渡したのだった。私は

「米はアマゾンでもどこでも、自分で買って。無かったらパン(キッチンペーパー)で代用できるし、カレーだけ食べてもいいのよ」

と言ったが、伯母は「できない」「分からない」と繰り返すだけ。伯母は高齢だが、息子と同居しているし、近所に娘もいるので、米の買い方は子供に聞くことができるはず。

「とにかく米は自分で何とかして。無くてもいいのよ」

とだけ言った。そして母に

「米は私のお金で苦労して買ったものだから、一緒に送らないように」

と言った。なぜそこまで言うかと言うと、伯母は普段からお金とか物とかが手に入ると、周囲の人にどんどんあげてしまう性格だ。そして伯母の周囲には、やたら親戚が多い。カレー(布マスク)は何度でも洗って使えるが、伯母の周囲の親戚のための米を、全て私が賄うことはできない。


それから約2か月。

母は自分の分の米が無くなると、カレーだけ食べる性格なので、早めに追加の米を3か月分くらい渡しておいた。


そして伯母から電話がかかってきた。

「息子が毎日カレー(布マスク)を使っているから、もう少し欲しい」

という内容だった。私は自分のカレーが美味しいと言ってくれるのは嬉しいので、また沢山カレーを作った。そして伯母に送ってくれるように母に渡した。


「これ、郵便でいくらになるかしら」

母が、伯母への手紙とマスクを入れた封筒を見せた。

そこには、先日3か月分渡した米の2か月分が入っていた。


カレーも米も、私のこずかいから買った。しかしカレーと米は違う。

そこを分かってもらえない。


5月22日

東京都感染者数 3人

検査人数 67人

コールセンター相談件数 445人

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