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雨音、響いて

作者: C'lore

 ぽつりぽつりと、雨が降る。時に追われる人々は、気にも留めずに過ぎてゆく。

「雨、降ってきましたねぇ」

「小雨だ、気にする事はない」

 だといいんですけどね。


 さあさあさあと、雨が降る。傘を開く人、たまに見かけるようになる。

「ちょっと強くなってませんか?」

「お前の仕事には関係無いだろう」

 何も言い返せませんね。


 ざあざあざあと、雨が降る。傘を開いて、足早に。

「本格的に降ってきましたよ」

「なんなんだお前はさっきから」

 なんなんでしょうね?


 どどどどど…と、雨が降る。人影はもう、まるで見えない。

「先輩これ絶対台風ですって」

「ただの夕立だ、作業しろ作業」

 乗ってくれてもいいじゃないですか?


 雨は晴れた。あっさりと。

「台風じゃなかったみたいですね」

「だから行っただろう」

 あ、今ちょっと得意げでしたね?


 雨は降らない。

「完全に晴れちゃいましたね」

「で、お前に何か関係はあるのか?」

 関係?

「忘れたとは言わせませんよ?」

 私はずっと、覚えてましたから。

「…何のことだ?」

 あれあれ、覚えてないんですか?

「本当に、思い出せませんか?」

 大雨の夜。

「…待て。お前、まさか」

 路地裏で倒れていた私を家に連れ込んで。

「一夜だけの関係、そう言ってましたよね?」

 優しい言葉や、繊細な手付きで。

「お前、やっぱりあの時の…」

 ええ、そうですよ。




「あの時助けていただいた鳩です」


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