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お二人様のモフみみ錬金術師  作者: すみ 小桜


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87話目~召喚されたセイレイオウ

 「あの、ロウさんのところに行きたいんだけど、鳥にお願いする事って出来るかな?」


 「うん? 連れて行ってほしいのか。いいぜ」


 「ありがとう」


 ユージさんが聞くと、頷きながら小さな手を大きく振った。


 「キュイー」


 鳥の声が聞こえると、ガシッと背中を掴まれた!

 ロウさんの元へ運んでくれました。

 って、また木の上です。

 ここではなくて、地面でいいのですが……。


 「どうした? 何かあったか?」


 フクロウの姿をしたロウさんが首を傾げて聞きました。


 「ちょっとのろしをあげたいのですが、場所をお借りできませんか?」


 「のろし? 何の為に?」


 「それは……精霊王をお呼びする為です」


 「……逃げ出したと聞いたが、そうか。いいだろう」


 「ありがとうございます」


 私もお礼を言うと、地面に降ろしてくれました。

 ロウさんが停まっている木から離れた場所で作業をする事にしました。

 今回は粘土を作らないので、そのままのろしをあげる魔法陣を作ります。


 「あ!」


 「え? 何?」


 ユージさんが、しまったざという顔で声を上げました。


 「燃やす物を集めるの忘れていた!」


 「そう言えば、そうだね」


 「僕、木を集めて来るよ」


 「うん」


 ユージさんは、テントを張ってからロウさんに頼んで、森へ行きました。

 さて私は、その間に魔法陣を描きます。

 この魔法陣は、中に更に魔法陣が二つあるのです。燃える物を置く魔法陣と、色を付ける物を置く魔法陣。

 色を付ける物は、ポーションで小さいので問題ないのですが、燃やす物は枝になると思うので、ある程度大きく描かなくてはなりません。


 そういう訳で、魔法陣の鏡を使う事にします。

 まずは、普通に魔法陣を描いていきます。下書きだけで、一時間かかりました……。

 では、魔法陣の鏡を使って移しましょう!


 魔法陣の大きさを決める為に、魔法陣の鏡の先を使って、円を描きます。

 って! 丸く描くのが大変そうです……。でも、この円はいびつでもOKのようなので、頑張って丸くします。


 一応円が出来たので、描いた魔法陣の前に魔法陣の鏡を置くと移り大きくなりました!

 後は、魔石でなぞるだけです。


 「ただいま」


 テントの中にワープで戻って来たユージさんが、中から出て来ました。枝をいっぱい持っています。


 「お帰りなさい。後少しで描き終わります」


 「うん。慌てなくていいよ」


 魔法陣の中から声を掛けると、ユージさんは枝を地面に置いて座りジッとこっちを見ています。

 ほどなくして魔法陣は完成します。


 「出来た!」


 「お疲れ様」


 「あのね。こっちの魔法陣に燃やす物を置くの」


 「わかった」


 ユージさんは、持って帰って来た枝を私が指さした魔法陣の中にある魔法陣に置きました。

 中心の反対側にあるもう一つの魔法陣に、色を付ける物を置けば枝は燃えだし、色が付くはずなのです。


 「じゃまず、三つほどそのまま置いてみるね」


 ユージさんがそう言って、ピンク色のポーションを魔法陣の中に置きました。

 発動には、五秒かかります。

 五秒後。フッとポーションが消えました! すると、枝が燃えはじめ煙が出始めました!

 煙はピンク色です! 成功です!


 「やったぁ! ピンクだわ!」


 「すご! 本当に色がついたね。これ、いろんな色を付けてやってみたいね」


 「楽しそうだね!」


 私達は、本来の目的を忘れて楽しんで見ていました。


 「きゃー!! 本当に錬金術師様に呼び出されちゃった!」


 かわいい声が聞こえ振り返れば、かわいい精霊がふんわり浮かんでいます。

 もしかして、この子が精霊王? 女の子だったの!?

 ウェーブがかかったピンクの髪が腰まである精霊です!


 「えっと……精霊王(セイレイオウ)ですか?」


 ユージさんが聞くと、目の前のかわいい精霊は、そうですと頷きました。

 想像していた精霊とだいぶ違いますが、無事召喚? 出来ました!

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