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お二人様のモフみみ錬金術師  作者: すみ 小桜


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81話目~予約殺到で無理でした

 バレンタインイベントが終了し、少し休む為にログアウトして64日の朝にログインをしました。

 ベットから起きて部屋から出てリビングに行くもユージさんはいません。リビングとは、テーブルがある場所をそう呼んでいます。

 珍しくINしていないのでしょうか?


 「あ、起きた? おはよう」


 びっくりして振り返ると、魔法陣からユージさんが現れました! 出掛けていたようです。


 「もしかして探してた? ごめんね。ほら装備品がもう少しで一年経つからさ、修理の予約を入れに行ってきたんだ」


 「予約?」


 ユージさんは、そうだと頷く。


 「修理は、この世界で一時間程かかるんだって。僕は、NPCに頼もうと思って行ったら凄い事になっていて……」


 そう言いながら椅子に座るので、私も座った。


 ユージさんの話によると、いつもならばらける修理がバレンタインイベントのせいで、イベント後に集中したみたいです。

 修理と言っても装備品の有効期限を延ばすだけらしい。なので実は、出来る時にやっとおけるみたい。いつも暇見て先にやっていた人たちが、イベント終了まで見送ったから予約がいっぱいになっているらしい。


 「NPCの修理って光の刻にしかしてないんだよね。だから一日、12人しかできなくて。今から予約入れても来年って言われちゃった……」


 「え? 来年?」


 うんとユージさんが頷いた。

 今日が64日だから……え? 最低324人の人が予約中?! すご!


 「えっと。修理期限が過ぎるとどうなるんだっけ?」


 「ただの服になる。ステータスを上げる効果は消えるんだ……」


 それ大変じゃない!

 どうにか出来ないのかな?


 「でね。方法が二つあるんだ」


 「うん? 方法?」


 「うん。一つは諦めて新しい装備を買う。そうしている人もいる。敵がいないから特にこの島はね。もう一つは、ラキガさんを頼る」


 「ラキガさん?」


 うんと真面目にユージさんが頷く。


 「実はさっきバッタリ会って、装備を更新できなくなったって話したらギルドに修理のスキルを持っている人がいるんだって。ギルドの皆は、その人に修理してもらっているみたい。知り合いもやってくれるらしい」


 と、ユージさんはジッと私を見つめて言った。

 お願いはされてないけど、きっと新しく買うよりは、直したいんだと思う。同じような見た目で、同じようなステータスの装備ってなかなかないよね。きっと。

 でもラキガさんだから条件をつけてきているんじゃ……。普通に頼めるなら素直にこっち選ぶよね?


 「もしかして条件があるの?」


 そう聞くとうんと頷いた。予想通りです。


 「(きん)を持って来てほしいらしい。期限は、僕の装備の期限まで」


 「金? それってどうやって手に入れるの?」


 「それがわからないんだよね……。僕の予想では、壁の向こう側のイベントに挑戦しているんだと思う。だとすれば、向こう側にしかない」


 「そっか……。じゃ、探しましょう!」


 「いいの?」


 「勿論」


 「ありがとう。ラキガさんに伝えに言ってくるよ」


 そう言うと嬉しそうに、ユージさんは立ち上がった。


 「じゃ、私も! 聞いたらそのまま向かいましょう」


 「そうだね!」


 私達はリュックを背負って、部屋を出た。どこかで待ち合わせでもしているのかと思ったらユージさんは、52番のドアをノックしたのです。

 フッとドアがなくなり、中からラキガさんが出て来た。


 「で、どうする事にした?」


 「金を探す事にしました。それで僕の予想では、イベントだよね?」


 「当たりだ。壁の向こう側のイベントだ。まあ内容は言えないがな」


 「それはいいです。でも多分イベントの場所で探すと思うから場所を教えてほしい」


 「なるほどな」


 ラキガさんは、うーんと腕を組んで考え出す。


 「そうだな。じゃ今から行くからついてこい」


 そう言うと、返事も聞かず歩きだしちゃった。私達は、頷いて後を着いて行くことにします。

 いつも一緒にいるミケさんがいないところを見ると、ユージさんが返事を言いに来るのを一人で待っていたみたい。


 「お前らはもう、壁の向こう側を自由に行き来出来るんだろう?」


 しばらく歩いていると、ラキガさんはそう聞いて来た。


 「まあね」


 「だろうな。すげえなお前達」


 素直にユージさんが答えると、ラキガさんが二カッとして褒めてくれたのでした。

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