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お二人様のモフみみ錬金術師  作者: すみ 小桜


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77話目~騙されて下さい!

 私達は、ワープして部屋に戻り、急いでカウンターに向かった。

 並んでいる場合じゃないので、ユージさんが声を掛けた。


 「お兄さんちょっと大事なお話が!」


 「あぁ、ユージさん。並んで……」


 「書状!!」


 「ちょっとここお願いします」


 驚いたお兄さんは、仕事を他の人に任せ来てくれました。


 「何で書状?」


 「モーグの森にプレイヤーが押しかけて。ねえ、ラキガさんに連絡取れますか?」


 「うーん。バッチつけていれば連絡はつくけど。何で?」


 「ちょっとお話が……」


 「わかりました。部屋で待っていて頂けますか? ラキガさんが訪ねて来たらタブレットに連絡を入れますので」


 「お願いします」


 そんなやり取りを聞いていて思い出しました!

 ユージさんが、ラキガさんにモーグの森の奥と教えた事を!

 ラキガさんが、拡散したの?


 「とりあえず部屋に戻ろうか」


 「うん」


 「ごめんね……」


 ユージさんが俯いて言った。こんなユージさん、初めて見ました。

 何て言ってあげたらいいのでしょうか?


 部屋に戻って10分もしないうちに連絡が来て、私達は走ってカウンターに行きました。


 「よう!」


 ラキガさんは、私達に軽く手を上げ笑顔です。隣にミケさんもいます。


 「ちょっと大事な話があるんだけど」


 「うん? 人気のないところでも行くか?」


 ラキガさんがそう言うので、ユージさんが頷くと、ラキガさんは歩き出す。

 街の外れまで歩いて行くと、人影がなくなった。


 「で? 呼び出してまでの用事って何だ? 何か手伝ってほしいとかか?」


 「確認をしたい。モーグの森の事を誰かに話した? ギルドの人とか知り合いとか……」


 「いや。話してないけど? 言ったところで抜けられないだろう? って、森がどうした?」


 「え? 知らないの? じゃ、拡散したのってラキガさん達じゃないの?」


 ラキガさんとミケさんが、顔を見合わせる。


 「まさか、森に人が集まってるのか?」


 ラキガさんの問いに、ユージさんが頷く。


 「そっか。でも別に構わくないか? 嘘だったとか?」


 「いやそれが、ちょっと問題が」


 「どんな?」


 森番の事を知らないラキガさんが不思議そうにしている。

 嘘だったとしても噂を信じて勝手に探しているだけで、それはプレイヤーの自由。ユージさんが、ダメだと言う道理はない。


 「いや。えっと。違うならいいです」


 「いいですって顔じゃないけどなぁ」


 「きっとあれね。私達に話していたのを誰かが聞いていたのね。それで噂が広まった」


 そうミケさんが言った。

 そっか。二人が言ってないらそれしかないよね!

 って、原因がわかっても解決方法がないわ!


 「どうしたら……」


 私は呟いた。

 こればかりは、本で調べても解決方法はなさそうです。


 「ねえ、ソレイユちゃんがかわいそうよ。ラキガ何とかしてあげて!」


 ミケさんが私に近づき、軽く頭を撫でる。


 「仕方ねぇな。やってみるか。ツラかしな」


 ラキガさんがそう言って、ユージさんと何やら話し出しました。

 

 「ソレイユちゃんは、私といましょうね」


 ミケさんは、私を抱き上げた。

 もしかして助けてくれるの?


 「あの……」


 「心配しなくても大丈夫。きっとうまくいくわ」


 ミケさんは、私を抱き上げたままよしよしと頭を撫でます。

 もしかしたらユージさんより、あまあまかもです……。



 ☆   ☆   ☆



 ガタン!!

 私はミケさんに抱っこされて遅れて受付の部屋に入ると、ラキガさんが椅子を蹴り飛ばしたのです!


 「てめぇ! もう一度言ってみろ!」


 そう言うとラキガさんは、ユージさんの胸倉を掴み壁に押し付けました!

 部屋にいた人たちが、振り向きます。


 「始まったわね」


 ミケさんが呟く。

 始まったって喧嘩が!?


 「ごめん! モーグの森にカカヲ鉱石が採れる迷宮があるなんて嘘なんだ! 誰だって教えたくないだろう? 迷宮の場所なんて!」


 ユージさんが、大声で叫ぶ。

 うん? あれ? もしかしてこれ演技?


 「この嘘つきやろうが!」


 「スットープ! ラキガさん放して!」


 お兄さんが、喧嘩の仲裁に入ってきました。


 「ユージさん。ラキガさんを探していると思ったら、噂広めたのラキガさんだったの?」


 「別に俺じゃねぇよ。けどこいつが嘘教えたから腹立ってよ」


 「まさかこんなに嘘が広まるなんて思わなかったから……」


 「あらあら。騙される人が悪いのよ。いいじゃない。私達は被害なかったんだから」


 ミケさんも芝居に乗っかる。

 そうミケさんが言うと、ラキガさんは律儀に蹴り飛ばした椅子を元通りにした。


 「まあ今回は許してやるよ。ミケの言う通り、俺達には被害なかったからな!」


 そう言うと、ラキガさんは扉に向かう。


 「大丈夫ですか?」


 「はい」


 「あなたは特別な人なんだから発言には気を付けた方がいいですよ」


 「特別?」


 「魔石を発見したプレイヤー。あなたの名前は知れ渡ってますよ!」


 そうだったの?

 って、お話をもう少し聞いていたかったけど、ミケさんに抱っこされ部屋の外に連れ出されてしまった。

 ユージさん大丈夫かな?

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