62話目~錬金術師の定義
「え? どういう事?」
ユージさんが、タブレットを見てそう呟きました。
今回も私はユージさんの膝の上に座り、覗いています。
私達は、HPも回復したし、書状を持って帰って来たので、その結果どうなったかな? なんて軽い気持ちだったのですが……どうやら少し休憩している間に、事態は急激に変わったようです。
崖の壁の向こう側に行けるギルドに制限がかかったのです!
基本、申請して、発見されたミチル迷宮に行けるようになるらしいです。この迷宮はミチルさんという方が発見したらしい。
そして、ユージさんが驚いた理由ですが、私達のギルドは、壁の向こう側の地図作製ギルドに指定されていたのです!
早速どういう事かを聞きに行きました!
「いやぁ……向こう側の方から許可が出たのが君達でさ……。取りあえず、ミチル迷宮はOKだけど、それ以外の所は、まだ許可出てないんだよね」
と、カウンターのお兄さんは嬉しそうです。
どうやらイベントをクリアしたのはまだ、私達だけのようです。
「いや、現実的に、僕達だけで作製は無理でしょう」
「そう言われてもね~。向こう側の人が、錬金術師なら許可するって。君達、何故か錬金術師だと思われているよ。こっちと向こう側では、錬金術師とする定義が違うみたいだね」
お兄さんが言う通り、ケモミミ族だとスキルとかステータスとか揃ってないと認めて貰えないけど、魔法陣を描けば崖の壁の向こう側では錬金術師扱いです。
「そういう訳で、宜しく! 勿論、君達は免除のままだから安心して!」
「わかりました。自分達のペースでやります」
ユージさんは仕方なしにそう言って、一度部屋に戻りました。
理由は、ミチル迷宮の場所の確認です。私達が向かった方角の反対に位置する場所にあったようです。
「取りあえず、モーグの森の奥でも作製する? 迷宮の近くだと人に会いそう」
ユージさんの意見に私は頷く。
板の地図の存在を隠す為、人目に付かない所を歩きたいのです。
「そう言えば、この杖持って行った方がいいのかな?」
精霊のハーキュリィさんから頂い杖が、壁に立てかけて置いてあります。あまり使う事もないだろうしと思っていましたが、錬金術師として行くのならあった方が見栄え的にもよさげかな? なんて思ったりして……。
「うーん。使わないとは思うけど、錬金術師として地図作製許可してもらえるパスポート的な存在にはなるかもね」
ユージさんは、頷きそう言いました。
そういう事で、私はリュックを背負って、杖を持って向かう事にしました。
☆ ☆ ☆
「待ってたぜ、二人共!」
「さすが錬金術師様! 危機を察知したのね!」
モーグの森に入って直ぐに、もぐらのモーグくんと精霊のリティちゃんのお出迎えです。
って、何かあった様子? 私達は顔を見合わせます。
「何かありました?」
「あぁ、魔法陣が消えそうなんだ!」
ユージさんが質問をすると、モーグくんが答えました。
「消えそうって!? 何とかなったんじゃなかったの?」
「うーん。魔法陣もだいぶ古いし、立て直すのに魔力が足りないみたいなんだよね」
ユージさんの質問に今度は、リティちゃんが答えます。
「あ!」
私は持っている杖を見ました。早速役に立ちそうです! お飾りのつもりだったんだけどね。
「それ、僕達で何とかできるかも」
ユージさんも気が付いたみたい。杖で魔法陣に魔力を流し込む方法を!
キュイー!!
ガッシ!
「きゃ」
毎回の事だけど、掴まれ運ばれるのはなれません。
魔法陣の前に下ろされた私達は頷き合う。
「今回も一緒にやろうか」
と、ユージさんが提案してきます。
前回は、私が杖から手を離してはいけなかったので、ユージさんのMPを使う為一緒に杖を握りましたが、今回は私は握っていなくてもいいのですが、一緒にやりましょうとのお誘いです。
私が頷くと、ユージさんはニッコリ微笑みました。
そしてそのまま二人で魔法陣の中に入ります。魔法陣は、弱弱しく今にも消えそうな淡い光を放ってました。
その中央に、二人で握った杖を当て、ユージさんが魔力を流し込みました。
サーッと魔法陣の模様に光が走り、強く光始めました!
成功です!
「ありがとう。流石錬金術師」
ロウさんが人の姿になって、私達の前に立ち礼を言いました。
「いえ。これぐらいなら難しくないので……」
「では、頼まれごとをしても宜しいかな?」
ユージさんの言葉に頷き、ロウさんがそう言うと、周りを見渡し言いました。
「他の魔法陣にも魔力を供給して頂きたい」
私達は頷きました。魔力の供給なら杖があれば、簡単に出来ます。地図作製がてらする事にしました。
こうして更に奥に進む許可をもらって、皆に手を振り先に進む事が出来ました!
「まさかこんな風に杖が役に立つなんてね」
「うん。持って来てよかった」
ユージさんが板の地図を手に、私は杖を手に地図製作を開始です!




