55話目~憧れのケモミミ
「ソノ ミミガ ホシイ」
「ミミ?」
「ソノ ケモミミガ ホシイ! ソレモ ヒカルヤツ!」
突然モグラさんが無理難題を言い出しました!
聞き直したユージさんも唖然としています。
「ソノミミ アコガレ!」
そっか。もぐらさんってこういうミミないもんね。
ユージさんと私は、お互いの耳を見た。
「ミミって作れる?」
作れるって……。ユージさんは、モグラさんの注文を聞き入れるみたい。
でもまあ作れるなら作ってみようかな。
私は本で確認をするとありました! ですがこれ何故か発明品のようです。勿論光はしません。
「あったんだけど、発明品っぽくて……創造力200万必要みたい……」
「200万?! それは諦めるしかないね……」
私がしょんぼりして言うと、ユージさんが驚きの声を上げました。
多分装備品だと思われ、それらは200万必要みたい。
成功率云々という話の前に、作る事さえ出来ません。
「フェイクでいいなら、ケモミミあるよ」
フェイク? 偽物って事?
精霊がにっこりと驚く事をいいました!
「それどこに?!」
「彼らが持ってる」
ユージさんが驚いて問うと、精霊は目線を遠くに向けた。
もしかして彼らって……。
「あの二人って事?」
ユージさんが、ポツンと言いました。私と同じ事を思ったみたい。
「よし! 確認しに行こう!」
ユージさんがそう言うと同時に、ガシッと私達は掴まれました!
「ちょ……」
「きゃ!」
リュックを置き去りに、私達はあの二人の場所へ連れられて行ったのでした。
☆ ☆ ☆
連れて行かれた場所は、そこだけ草むらになっている場所でした。
そこに茶色の髪の男の人が四つん這いになり、隣に膝を抱えて黒髪の人がいました。そしてそれを監視するように、フクロウがジッと二人を見ています。
「あ、戻って来た!」
そう黒髪の人は言って立ち上がる。茶色の髪の人はそのままの体制です。
「見つかったのか?」
期待の眼差しで私達に問う。
「見つかったんだけどある物と交換なんだよね」
「うん? ある物って?」
ユージさんの言葉に黒髪の人はそれはなんだと聞いてきた。
「あなたが持っているケモミミです」
それを聞いた黒髪の人は、バッと両手を頭に持って行きました! その手は耳を抑えています。
「それ偽物なんだ……」
「え? 偽物!?」
ユージさんの言葉に私は驚いて叫んでしまいました!
持っているって、そのミミの事だったのね!
「聞いた事はあったけど、本当にいたんだね。ケモミミ族に化ける為にケモミミを付けるトレジャーハンターがいるって」
「トレジャーハンター?」
私が首を傾げると、ユージさんは頷いた。
「僕達の様にこの島以外の迷宮で、宝探ししているプレイヤーの事。つまり戦闘系じゃない人達」
「え? 島の外にもいるんだ」
ユージさんは、また頷いた。
「ナイフを腰に下げているからおかしいなって、思ってはいたんだよね。そのミミが偽物なら納得だよ」
はぁ。と溜息をつき、黒髪の人は屈んだ。
そして、経緯を話し始めました。いや今は、それ聞いている暇ないですけどね。
――黒い髪の人がタイチさん、茶色の髪の人がジュンさんと言って、ユージさんの言う通り、トレジャーハンターだった。
彼らは、島の魔石の話を聞きつけ、偽物のケモミミを手に入れ、あるルートを使ってこの島にきたそうです。このケモミミは、ファッションの装備としてたまに売られているらしい。
そして来て直ぐに、壁が崩され向こう側に行けるようになった為、島の人達と一緒にこちら側に来た。
二人の目的は、迷宮探しではなく宝探しだったので、皆とは違う方向に進み宝玉を発見したという事でした――。