44話目~安全地帯テント
私達はタブレットを覗き込んでいます。
★を消費してお買い物も出来るようなので、何かいいものがないかと物色中なのです。ポーションから発明品まであります! 品ぞろえが豊富です。
私達は装備品はいらないので、もっぱらアイテムを見ています。
色んなのを売っていましたが、凄いのを見つけました!
安全地帯テントです!
――このテントがあれば探索がサクサク進む! テントの中は安全地帯となり死亡した時にはここに戻ります! またワープ着地点に! 一々ギルドの部屋に戻る必要なし! 時間が有効に使えます!
そして持ち運びも便利! 畳めばリュックに入るぐらいの大きさに!
使い方も簡単! 袋から出して置くだけ! スペースさえあれば勝手に設置完了! 畳む時も二か所の紐を同時に引くだけ!
注意事項:このテントはギルド専用ですので、ギルドメンバーだけ有効です。また、効果はテントを建てている時のみです。重量は1.5kg――
私達は、テントの説明文を読み頷いた。
「普通のギルドなら荷物持ちみたいな人がいないと大変かもしれないけど、僕達はあのリュックがあるからね。これいいかも!」
私もユージさんと同意見なので、こくんと頷きました。
★は10個必要だけど、値あると思う。
私達はお買い上げしました! 因みに★は0になりました。
テントは取りにいかなくてはいけないらしく、夜になったので一旦休憩。ベットで寝て11日の朝、取りにいきました。
☆ ☆ ☆
地図作製と見回りを請け負い、私達は崖の前に立っています。見回りは前に地図作製して迷子になった森で、地図作製はその奥で、前回請け負ったやつの更に奥。そこは前に一旦見に来た場所で、この崖の所です。
「一つ試したい事があるんだよね」
ユージさんは崖を眺めつつそう言いました。
「まずは君が一人でテントを設置できるかやってみていほしい」
「え?!」
何だろうとジッと見ていると、ニッコリしてユージさんはそう言いました。
テントは、私のリュックの中。持てる重さなので、それは問題ない。
リュックから出し、更に専用の袋に入っているのでそこから出しました。
色は黄色。暗い所だとふんわりと光るらしいです。
ちょっとしたスペースに置き、紐を解き離れると、サッとテントが膨れ上がり設置されました!
滅茶苦茶便利です! 大きさは二畳ほど。凄く広いわけじゃないけど、二人なら十分なスペースです。
パチパチパチ。
ユージさんが拍手してくれました。
「簡単だね」
「うん。私にも出来たわ」
「ちょっと入ってみようか?」
「うん」
ドアになっているチャックを開け、靴のまま入って行く。
最初からテントの天井に、鉱石がぶら下がっている。魔力を注げば明かりを灯せるけど、私には届かない……。天井の高さは、ユージさんが立ってギリギリぐらい。
「すごーい。何かテントがあるだけで安心するね!」
「うん。後はここで魔法陣描ければ最高だね!」
そっか! ここならギルドメンバー以外入れないから見つかる可能性もないのね!
でもペンで書くしかなさそう。魔法陣が発動すれば、ペンで描いた下書きも消えるけど……。
「もしもの事を考えると、ペン以外の書く物がほしいなぁ」
私はしゃがみ込み、床をつんつんしながら言った。
「そうだね。後はここに、何か敷くしかないね」
ユージさんも私のマネをして、床をつんつんしながら言う。
もう! ちょっとむくれて睨むと、何故かほっぺをつんとされました。
また子供扱いです! でもまあ、凄く嬉しそうなのでよしとしますか。
「あ、そうそう。もう一つ試したいんだ」
そう言いつつユージさんは立ち上がる。
「まずはこれを畳もう」
私が頷くとテントを出て、説明書通りに二人で左右にある紐を同時に引っ張ると、不思議な事に、キュッと畳まさって小さくなりました! 後は紐を結ぶだけです。
袋に入れ、リュックにしまいました。
「ねえ、崖の向こう側に行って、テント開いてみてくれないかな?」
ユージさんが突然、驚く事を言い出しました!
「なんで?」
「開いたら以心伝心で教えてくれればワープするからさ。実験だよ」
「なるほど!」
崖が登れないけど、テントを崖の向こう側に張ってワープすれば、崖の向こう側に行けるって事ね! ユージさんって頭いい!
「うん! やってみる!」
「無理しないでね。テント開く場所なかったら戻って来て」
私は頷き崖を上った。
向こう側を見ると、ユージさんがいる側と変わりない森が広がっている。違う所と言えば、遠くに高い建物が見える事です。
あれは何でしょう?
上から見る限り、崖のすぐ傍ならテントを置けそうです。
私は崖を反対側に下りた。
リュックを下ろすと、テントを出し置くと、ポンと設置され準備完了です!
『ユージさん! 準備出来たよ!』
『了解! じゃ、ワープしてみるね!』
ドキドキして待っていると、テントからユージさんが出て来ました! 大成功です!
「ばっちりだね!」
「手品みたい!」
私がそう言うとユージさんは、腕を胸にあて成功した時にマジシャンがするようにお辞儀する。
私もパチパチパチと拍手を送った。
「これで崖の件はクリアだね」
体を起こし崖を見上げて、ユージさんは言いました。私もつられ崖を見上げる。
「うん。後はテントの中で魔法陣を描く方法だね。まあこちら側に居れば見られる事もないと思うけどね」
私が言うとユージさんは頷いた。
「一応何か探してみようか?」
今度は私が頷く。
私達はテントを畳みリュックに入れると、今度はギルドの部屋へワープしのたのでした。