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お二人様のモフみみ錬金術師  作者: すみ 小桜


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39話目~今度は紅葉狩り?

 「ユージさん、凄~い!」


 私達はギルドの部屋に戻っていた。

 ユージさんの交渉のお蔭で、今回★二個ゲット出来て、ホクホクな私達。


 「上手く行ったね。後、★二つもゲットしちゃおうか。少し休む?」


 「受けちゃう!」


 向かい合って座っていたけど、そう言ってタブレットを見る時の定位置になったユージさんの膝の上に座った。


 暫く見ていたんだけど、迷宮での鉱石集めは一つもなかった。あるのは森などでする内容ばかり。


 「何か、前より内容偏ってるね。もうそろそろ皆諦める頃だと思ったのに」


 ユージさんはそう言った。

 私が見つけた迷宮の新しい道。そんなのそうそう発見されないから、諦めて元に戻る頃だろうって事だと思うけど、実際はまだ探しているみたいね。


 「皆、チャレンジャーだね」


 「あ、これなんか面白そう」


 「紅葉もみじ狩り?」


 ユージさんが指さしたタイトルを私は読み上げました。

 リアルで紅葉狩りと言えば、紅葉こうようを見て楽しむ事だけど、ここではどうなのかな?


 「確認してみる?」


 私が見あげてユージさんを見ると、そう言われ頷く。


 詳細は、やっぱりリアルと違って、色づいた紅葉を集めて来るものです。言葉通りというか……。


 タブレットの地図で確認してみると、地図が出来上がっている一番端です。つまりこの先はまだ、調べられていない場所。


 「うーん。場所的に大丈夫かな?」


 「作った地図で行けば迷う事はないだろうけど……。簡単そうなのに誰もやってないのが怪しいよね……」


 「だね」


 これも前回同様、採取者カード保持者がいる事が条件になっています。これのせいなのかな?


 「この採取者カードって持っている人少ないのかな?」


 「うーん。村によってやっている事違うからね。僕の所は農業だったでしょう? ソレイユさんのところみたいなのを生業としている村じゃないと持ってないかもね。やってみる?」


 どうしようかな。条件で残っているなら問題ないですよね。


 「やってみようか……」


 「じゃ、これっと。あ、袋を取りに来て下さいだって」


 私達は紅葉を入れる袋を手に現地に向かいました。



 ◇ ◇ ◇



 紅葉の場所までは問題なく着きましたが――。


 「まいったなぁ……」


 ユージさんは見上げ言った。


 木を見上げているのではなく、木がある場所を見上げてです。そう崖の上だったのです!


 地図を見て変だなとは思っていたけど……。

 採取する場所は、オレンジ――紅葉色でした。そして、その向こう側も。


 調べるのがここまでしか出来なかったのか……。でもそれでも変です。だって、紅葉の木は崖の上。ここまでしか調べられなかったのなら、手前までしか地図は作成されていないはずです。

 しかも、採取する紅葉はほとんど崖の上。ちらちらと舞い散る落ち葉が崖の下、つまり私達の足元にも少しは落ちているけど、袋にいっぱいにはなりそうもない。


 「やられたね。やっぱり難しいから残っていたんだね……。さて、どうやって登ろうか」


 「え? 登れないの?」


 私の台詞に見上げていたユージさんは、驚いた顔を私に向けた。


 「もしかして登れるの?」


 私は力強く頷いた。苦手だけど教わったので出来る。


 「そうなんだ……。あ、でも僕行けないから一人でって事になるけど……」


 「じゃ今回は一人でする! 袋にいっぱい入れても重くないでしょう?」


 「……そうだけど。何かあっても僕は助けに行けないけど大丈夫?」


 私は頷いた。


 ユージさんが手に持っていた袋をリュックに入れ、いざ崖登りスタートです!


 「凄いね。気を付けてね」


 ささっと登り切った私に、下からユージさんが手を振り言った。


 「うん。あ……」


 ユージさんに返事を返しながら立ち上がった私の目の前に、紅葉の絨毯が広がっていました。


 「どうしたの?」


 「凄いよ! 紅葉の木がいっぱい!」


 私はユージさんに振り返り、紅葉の木を指差し言うもユージさんは不思議そうな顔をする。

 それもそのはず。ユージさんからは、崖の上にあるこの一本の紅葉の木しか見えないから。私が見渡しているのは、反対側の崖の下にある紅葉の木なのです!


 私は木を見下ろしていたのです!


 「きれい……」


 上から見るのも絶景です!


 「ねえ、何がどうなってるの?」


 「あ、ごめん。見惚れてたわ。反対側も崖になっていて、その下にこれと同じ木がいっぱいあって、凄く綺麗だよ!」


 「え! そうなの? あぁ僕も見てみたいなぁ」


 そうだね。ユージさんにも見せてあげたい!

 あ、そうだ!


 「ねえ、ユージさん! ロープがあればそれで登れそう?」


 「え? ロープ? あ! 魔法陣で作るの?」


 ユージさんの言葉に私は頷いた。


 「作ってみるから待っていて!」


 「ありがとう! でも、無理なくていいからね!」


 「うん!」


 私は、落ちている色づいた落ち葉を拾い集め、袋に詰めていく。袋がいっぱいになった頃、魔法陣を描くスペースも確保出来た。


 粘土を作る魔法陣を描き、土と魔石を混ぜて魔法陣に入れ粘土を作成。今度はロープにする為に細長くする。

 窯の魔法陣を描き、その中にロープにする粘土を入れて完了です!


 頑張って長ーく作った。


 「出来たよ! 木にくくり付けるから待ってて!」


 ロープをくくりつけ、ユージさんの方へ下ろした。


 「どう? 登れそう?」


 「うん。行けそう!」


 数分後、ユージさんは崖に登ってきました。


 「ありがとう!」


 とても嬉しそうにユージさんは私に言った。そして立ち上がる。

 私達は、もう一つの紅葉狩りを思う存分楽しみました。


 「きれいだね。本当にありがとう」


 「よかった。一人より二人で見るのがやっぱりいいね」


 「たまに見に来たいね」


 「うん。来ようよ! ロープは、リュックに入れておけばいいんだし」


 「じゃ、その時はまた、宜しくね」


 「うん」


 暫くしてユージさんが下におりてから、ロープを木から外し、崖の下に落として私も崖を下りました。

 ロープをリュックにしまうと、私達は街を目指しました。



 ◇ ◇ ◇



 「君達、本当に凄いね! 崖の上だったでしょう?」


 「また、知っていて黙っていたんですね……」


 受付のお兄さんの絶賛にユージさんは呆れ顔で返す。


 「どう? 今回も★二個するから定期的に受けない? ここは年に二度でいいからさ」


 ユージさんは、うーんと唸る。


 私は賛成だけど……。これでワープ使えるようになるし。


 「受けてもいいんだけどさ、そうなると探索の仕事が滞りそうなんだよね。僕達二人しかいないから必ず二人で行動しないといけないでしょう? 手が回らなくなりそう」


 ユージさんの言葉に私は、それもそうだと気が付きました。空いた時間に探索を入れてってやっているとそれしか出来なくなっちゃう。

 90日あるけど、実質三分の一ぐらいしかINできないし。


 「なるほど。ちょっと待ってて!」


 カウンターのお兄さんは、奥に行った。たぶんまた相談しに行ったんだね。しかしまるで現実のようにそういう手配が出来るのが凄いよね。


 「探索は一人分免除でどうですか? それで今回★二つ。どう?」


 戻って来たお兄さんのセリフを聞いてユージさんは、私に振り向いてニッコリ微笑んだ。


 「それで手を打ちます」


 私が頷くと、ユージさんはお兄さんにそう返しました。

 こうしてまた、★二つゲットです!

 そして念願のワープも手に入れたのでした!

お読み頂きありがとうございます。


新しいお話を始めたので、こちらの更新が更にまったりになるかもです……。

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