36話目~捕らわれた私達
「キャー!」
またもや迷宮に私の悲鳴が轟いた!
ユージさんは、私を抱っこしていて近くで聞いてので、キーンときたみたいで少しよろめいた。
「ちょ……もう何やってるのさ。見つかったじゃん!」
「え! お化けに!」
「いや、あれお化けじゃないって。プレイヤーでしょ。って、魔物の種類でお化けみたいのがいるかもしれないけど……」
そうユージさんに言われ、しがみつきながらそっと奥を見てみると、二人の男が驚いたように振り向いていた。
上半身しかないと思ったけど、下半身は穴の中だっただけみたい。つまりこの人達は、地面に穴をほっていたんです! しかも腰程までも……。凄い根性ですね。私が使う軍手みたいのがないとかなり大変だと思うのですが……。
「おい、見つかったぞ」
「こんな奥まで来る奴がいたんだな……」
まあ確かに、数時間かかるもんね。
「こいつら探索隊の奴らじゃないか?」
男の人がジッとこっちを見て言った。
「やっば。逃げるよ!」
え? 逃げるの?
「捕まえろ!」
「えぇ!?」
ユージさんは回れ右をして走り出す。
「ソレイユさん! れんら……うわぁ!」
「きゅあ!」
ユージさんは盛大に転んだ!
「捕まえた!」
「手を縛るぞ!」
縛るですって!
見れば男の二人は縄を持っていた。その一つがユージさんの足に絡まっている。あれを引っ掛けられてユージさんは転んだみたい……。
「離せよ!」
っは! 連絡!
私はバッチの横をギュッと押した!
ユージさんはリュックを奪われ後ろ手に縛られた!
「いや!」
私もリュックを奪われ、後ろ手に縛られる。
何ですかこれは! 魔物じゃなくてプレイヤーに襲われるなんて!
「おら立てよ」
私達は奥へ連れて行かれた。そして私だけ穴の中に放り込まれる。
「きゃ!」
「ちょっと何やってるのさ!」
「逃げない様にだよ!」
驚きました。穴の中にはスコップと小さなドリルがあったんです!
音の正体はこのドリルだったみたい!
「おい、こいつら魔石持ってないか?」
「おぉ! そうだな」
「ちょ! 勝手に何をして!」
男たちは私達のリュックを勝手に覗いた。
「ないな」
「何だこのがきんちょのリュック、何も入ってねぇ。妙に軽いとは思ったが……」
そう言ってポイッと私のリュックを放り投げた!
入ってないってどういう事!? おかしいわ! 私のリュックは本人しか取り出せないので、大切な物――魔石など入れてあるはず。
「もしかして……」
ボソッとユージさんが漏らす。私がチラッとユージさんを見ると頷いてにっこりほほ笑んだ。
『大丈夫?』
ユージさんが以心伝心で話しかけて来た。
私は頷く。
『そう言えば、臼を入れる時に何も入っていなかったんだ。……そう見えた。多分、入れた本人にしか見えないような仕組み何だと思う。今回はおじいちゃんに感謝だね。あって取り出せないってわかれば、魔具だってばれるかもしれなかったから。ちゃんと考えて作られていたんだね』
なんと! それは気づかなかったわ。臼以外は全部自分が入れていたから。取り出せなくなるんじゃなくて、他の人からはない存在になるなんて凄いリュックだった!
「あぁ、魔石が尽きるな」
「それにしても道出てこないな……」
「道見つけたやつらってどうやって当てたんだ?」
……そんなの偶然です。
この人達、本人が目の前にいるのも知らずブツブツと言いあっていた。
応援呼んだけど、本当に来てくれるのかな?
あ、このままだと仕事が不履行になっちゃう! いやそんな場合じゃないんだけどね!




