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33話目~以心伝心

 森の中は薄暗かった。


 「ねえ、これどうやって使うの?」


 ユージさんは、横から見たりひっくり返したりしている。

 確かコンパスが少し出っ張っていて、横に魔石の粉を入れる穴が空いていたはず。


 「ちょっと貸して」


 魔石の粉を渡し私は地図の板を受け取ると、コンパスを見てみた。板は円になっていて、その一か所の縁の内側にコンパスがある。それの外側に面した所に穴が空いている。


 「これだわ!」


 私が穴を指差すと、ユージさんはそれを覗き込む。


 「ここに粉を入れればいいのかな?」


 私は頷いて、穴を上に向けた。そこに袋から粉を手でつまんでユージさんは入れてみる。すると、板にスッと地図が浮かび上がった!


 「うわー! すごいわ!」


 「流石発明品!」


 地図はカラーだった。板に絵の様に浮き出ている。森なら緑で木がモサモサと描かれ、道がある場所なら土っぽい色で線が入っている。川も水色で表示され、しかも流れる方向に小さな波が動いている!

 地図の中心に紅い点がある。多分これは、私達がいる場所でしょう。この板の地図の場所。


 「いやぁ。ソレイユさんのおじいちゃんって凄い人だね!」


 「え? そうなの?」


 「そうなのって……。作ったのはソレイユさんかもしれないけど、これを考えたのはソレイユさんのおじいちゃんって事になっているでしょ?」


 「え! おじいちゃんて発明家でもあるの!!」


 「もしかしたら発明家の延長線に錬金術師があるのかもしれないね」


 そっか。発明家でもカードさえ作らなければ、他人にはわからないものね。まあ作って売ったりするならカードは必要なのかもしれないけど。


 よく見ると、コンパスの上の板の所に数字が書いてある。

 『00:05』ってもしかして五分って事かな?


 「ねえ、これって時間かな?」


 私が指差すとユージさんは見て頷く。


 「そうみたいだね。でもこのままだと入れずらいね……。あ、そうだ!」


 ユージさんは、リュックから地図の紙を取り出した。書き込む地図はユージさんに預けてあった。それをクルッと丸め、片っぽは細くもう片っぽは広く筒にする。


 「穴を上に向けてくれる?」


 私が穴を上にして持つと、ユージさんは穴にスポッと紙を突っ込んだ。ロートの代わりですね! って、それを使っちゃうんだ……。


 サーっと音を立てて、気持ちよく魔石の粉が穴の中に入って行く。


 「今時間、どれくらい?」


 入れるのを一旦止めてユージさんが聞く。見ると『03:17』と表示されていた。


 「三時間ちょっと」


 「じゃ、一旦これでいいね」


 紙を抜いて、ひっくり返して丸める。丸まるのを戻す為ですね。


 「で、今はどこらへんかな? これ拡大とかどうするんだろう?」


 そういいながらユージさんは、タブレットを操作するように親人と人差し指を広げた。すると地図は拡大された!

 使い方は意外と簡単だった。

 地図を縮小すると今いる所が把握出来た。幸いの事に私達が調べる事になっていた場所の更に奥だけだった。この地図を元に戻って行けばいい。地図を描く所で書きながら戻れば、簡単に地図をかけそうです。

 でも、何かあるか見て回らなくてはいけなかったっけ。でももう迷う事はないから安心です。


 「じゃ、行こうか。地図は僕が持って歩くよ。足元に気を付けてね」


 「うん」


 私達は元気に森の中を歩いて行った。




 ◇ ◇ ◇




 地図を描く場所に二時間ほどで着き、端から端まで見て回る事にした。地図自体は、板の地図を元に書けばいいので、何か書き足す物がないか歩きながら探す。

 特段何もない。洞窟すらなかった。一応街に向かいながら左右に満遍なく見て回った。


 「思ったより何もないね……」


 ユージさんの言葉に私は頷いた。ただ森が深いだけ。道もないのでコンパスがないと迷う程度。まあそれが一番大変だけど。

 特に何か目印になる物もなかったので、私達の様に迷ったら大変です。




 私達は無事地図の作成を終え提出した。勿論板の地図の事は内緒です。迷った事も……。

 これで★ひとつ増えました!

 そして私達は一つ学びました。地図作製はワープが使えるようにしようと。もし大変な思いして地図を作成しても帰ってこれなければ意味がない。もし万が一の事を考え、後★四つ獲得してからにする事にしました。




 部屋に戻った私達は、椅子に座りふぅーと一安心しのたです。


 「大変だったね」


 「おじいちゃんのお蔭で乗り切れたね」


 「いや、ソレイユさんの頑張りだよ」


 そう言われると照れます……。


 「そうだ。獲得している★を使って、ステータスとか増やせるはずだから見てみない?」


 ユージさんはそう言って、自分の膝をポンポンしました。そこに座ってってことでしょう。一緒にタブレットを見るのです。

 私はちょこんとユージさんの膝の上に座りました。

 ユージさんは、タブレットを操作し、内容を確認していく。


 「どれがいいかな?」


 ユージさんは言う。

 攻撃などは、★二つで1増加。STRなどは、★一つで400増加。見ればスキルも覚える事が出来るみたい。但し対象はギルド全体ではなく、個人なのでそれぞれ消費する事になる。

 そのスキルに『以心伝心』というスキルを発見する。


 「これってどんなスキル?」


 「どれどれ?」


 ユージさんの操作で詳細を見てびっくり! ギルド内チャット出来るスキルだった。つまり二人以上の人が覚えれば、離れていても話が出来る。そう言えばこの世界では面と向かってでしか会話出来ていない。こそこそ話が聞こえちゃった事はあったけど……。

 これってあった方が便利だよね……。


 「これ必要かもね……」


 ユージさんも同じ事を考えていたみたい。私は頷いた。大体のゲームは、無料で行える事がここではそうではないらしい。


 一人★が二つ必要なので四つ消費して、それぞれ『以心伝心』を覚えた。

 これは普通に取得したのと同じ扱いになるらしく、ギルドから抜けても消えたりはしないらしいです。たしかに……


 《以心伝心を取得しました》


 と、聞こえました。

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