32話目~苦労した分嬉しいです
ユージさんが臼の回収に向かって一時間が過ぎた頃、戻って来た! 顔を見ればリュックに臼を入れれた事がわかる。
「入ったよ! これ、凄いね! 臼どこいったの? ってくらい重さ感じないよ!」
私と目が合うとユージさんは、こちらに向かいながら話しかけて来ました。
「あ、ごめん。描いている途中だね」
私は頷いた。
今回は、板に描く魔法陣を最後にしたので、今は板に魔法陣を描いている最中です。
ユージさんは、リュックから臼を取り出すと、私の隣で早速魔石を砕き始めました。
一時間ぐらいたって魔法陣が書き終わりました。
「終わった~」
ふうっと安堵すると、ユージさんは板を覗き込む。
「成功するといいね」
「うん」
私はドキドキしながら魔法陣の中に板を置いた。
結果は……私はひっくり返りました!
はい。失敗です……。確率が高くなったとはいえ、連続して失敗するとやっぱりやる気が下がってくるものです。
「はぁ……」
私はユージさんに抱きかかえられながらため息を漏らす。
「大丈夫?」
「うん……。失敗出来るのも後三回」
今のでHPは200になった。ポーションは200しか回復しない。最大HPが900あった所で意味がない。
「ねえ、前にさスキル取得した時、HPも上がっていたよね? 今回は最大値増えてた?」
「うん? 増えてたよ。+800になった」
「やっぱり」
そういいながら、にっこりとして何かを差し出して来た。
それは、ポーションでした。
「これ、中ポーションだから500回復するから。これ食べたら最大近く回復するよね?」
「え? いいの?」
ユージさんはニッコリ微笑んで頷いた。
「ありがとう!」
私はポーションをもらって、口に含んだ。甘さが口いっぱいに広がる。ちょっとあまったる過ぎるけど、苦いよりはまし。
ぎりぎりのHPでハラハラやるより、余裕があって心配しないでチャレンジ出来るのとは、メンタル面で全然違う。
私は、やる気も回復しました!
そして二時間後。チャレンジです!
「いくよ!」
「うん」
私は魔法陣の中に板を置いた。
二人が見守る中、魔法陣の光は上に駆け上がりました!
「きゃー! 成功した!」
「おめでとう! よく頑張りました!」
私は嬉しさにユージさんに抱き着いた! それからすぐに離れて板を覗き込む。
板には何も表示されていないけど、端っこの一部分にコンパスが付いていた。それが本当に成功したと物語っていた!
あぁ、頑張ったかいがありました! 凄くうれしい。
今までは、描けば手に入っていたから苦労した分、嬉しい!
ユージさんも魔石を粉にしてくれたからそれは足りると思う。
やっと帰れます!
しかし既に虹の刻でした。私達は話し合ったけっか、ログアウトする事にしました。
布団ではない場所での初めてのログアウトです!
臼も作った地図の板もリュックにしまい、背負って横になります。
「ユージさんおやすみなさい。えっとこっちの世界では四日後?」
「だね。二人揃うまではここにいる事」
私はユージさんの言葉に頷いた。
そして、私達はログアウトしのでした。
◇ ◇ ◇
四日後の88日の目覚めの刻。INすると既にユージさんもINしていた。
「おはよう」
「おはようございます」
私は体を起こす。そして鉱石に明かりを灯し一応懐中時計で時刻と日にちを確認する。蓋の裏をなぞると88と数字が浮かびあがる。
うん。88日の目覚めの刻で間違いないわ。
私はリュックを下ろして、板の地図と魔石の粉を取り出した。
「あ、そうだ。念の為、経験値を20ずつ振っておいてね。もう死んじゃう事はないと思うけど、次は20ずつ減るから」
ユージさんに言われ私は頷いた。
そうだった! 振っておかなくちゃ!
取りあえずSTRとかは20以上に握力とかは120以上になるように振った。経験値は15,000ぐらいあったけど、10,000ぐらいに減りましたた。残りは何に使うかわからないのでこのままにしておく事にする。
HP:700/100(+800)
MP:0/10
STR:21 握力:120
VIT:4,269+3,000 視力:120
AGI:21+1,000 聴力:125
DEX:21 読解力:120
INT:21 創造力:1022
MND:21+1,000
LUK:2,202+3,000
魔 法:―
スキル:採取・観察力・粉砕・目利き ・探求心・トンネル師
うん。OKです。
私はリュックを背負い直し、地図の板はユージさんが魔石の粉は私が持って、掘ったトンネル? を這って進んだ。そして、森に足を踏み入れた。




