3話目~あらいぐま?!
袋をいっぱいにした私は、貰った布をよく見てみた。
何の変哲もない、ただの布に見える。
布は二枚になっていた。
「それは、父さんが作った物だ。……おじいちゃんだな。父さんは、物づくりの名人だった」
私が布をひっくり返したりして見ていたからなのか、お父さんはそう教えてくれた。
そう言えば、ステータスをちゃんと見ていなかったっけ?
私はふとそう思い、ステータスを確認してみる事にした。
名前:ソレイユ
種族:ケモミミ族(あらいぐま型)
HP:100/100
MP:10/10
攻撃力:1 武器:―
防御力:1 防具:―
素早さ:1 装飾:―
STR:1 握力:5
VIT:9 視力:5
DEX:1 聴力:5
AGI:1 読解力:1
INT:1 創造力:12
MND:1
LUK:12
魔 法:―
スキル:―
経験値:82
スタミナ:80%
あらいぐま! そんな種族があるのか! 犬じゃなかった……。
うーん。自分の顔を見てみたいなぁ……。
それにしても攻撃力が1って……。当たってもダメージなさそうだよ。戦闘に関しては、装備しないとどうにもならなさそう……。戦う事がない事を祈ろう!
「さて、家に帰るぞ」
「うん……」
お父さんは、崖を右や左にジャンプしながら降りて行く……。
それは、私には無理です!
「何をしている。降りて来い!」
下からお父さんが叫ぶ。
さて、どうしようか……。
結局、登る時と同じように降りた。勿論、手も足もプルプルで、降りきった時、へなへなとその場に座り込んでしまった。
◇ ◇ ◇
少し休んでから家に向かった。
草原の向こう側に行くと、村があった。と、いっても五軒しかない。
これって、この村には私しかプレイヤーいないのでは?
見かける人たちは、全員あらいぐまだったようなので、動物の種族ごとに住んでいるのかもしれない。
他のケモミミ族にも会ってみたいなぁ。
「ただいま」
「おかえりなさい」
声を返して来たのは、母親だろう。こげ茶の肩より長い髪。茶色い瞳がクリッとしていて美人だ!
これなら私の顔も期待できるのではないか! 十歳だけど……。
「どう? 採取できた?」
「うん」
私が嬉しそうに言うと、お父さんが腰に付けていた袋を外し、何故か私に手渡して来た。
「ほれ、父さんに見せてきなさい。きっと喜ぶ」
「え? おじいちゃん、生きているの!?」
「当たり前だろう? 何を言っているんだ!」
いやだって、まるでこの世にいない人のように語っていたから……。
お父さんが指差す部屋に私は向かった。
ドアをノックし部屋に入っり、中を覗いてみてびっくりした。
本棚に本がビッシリある。それでも溢れかえっている本は、床に積み上げてある。見た事のない道具なども床に置いてある。
机があるが、色んな物が置いて物を置く台になっている。そこには地球儀みたいのもあった。
この世界って、地球みたいな感じなんだ。
「ソレイユか……」
ベットに横になっていたおじいちゃんが起き上がった。
私を見る顔は嬉しそうだ。
おじいちゃんもこげ茶色の髪。ただ瞳の色が金色っぽく見える。
「えっと、これ……」
一応、手渡してみる。
おじいちゃんは受け取ると袋の中を覗き頷いた。
「これで一応採取者の仲間入りだな」
「採取者?」
「困った者だ。ほれ、そこにある本を読んで勉強せい」
おじいちゃんは、本棚を指さした。私は頷いて本棚に近づいた。
何これ?
本の背表紙に掛かれている文字はどれも読めなかった。
そう言えば、読解力がないと本って読めないんだっけ?
私は早速、経験値を40使い読解力を5にした。すると、読める背表紙が出て来た。
『経験値の仕組み』『採取者とは』の2冊。後は、まだ読めないらしい。
取りあえず、採取者とはを手にとり読んでみた。
――採取者とは、色んな物を採取する事を生業とする職業。以下の二つのスキルを取得する事。
採取を重ね、経験を積むと『採取』を取得出来る。条件:握力20、採取回数100回。効果:どんな物でも採取出来る様になる。
色んな物を採取すると『観察力』を取得できます。条件:視力100、採取種類50。または、視力100、採取種類1、LUK200。効果:レア素材の発見率UP。――
私は途中まで読んで驚いた!
本ってスキルの取得方法書いてあるんだ! じゃ、読める様になった方がいいよね?
まずは、読解力……それと、視力とLUKを上げるかな。
経験値を見るともう少しで400になるところ。
何もしていないけど、行動するだけで本当に増えるんだ……。
そうだ。振る前に『経験値の仕組み』も読んでおこう!
私はそれを手に取り目を通す。
――経験値は、色んな動作で手に出来ます。五歩歩くだけで1獲得出来ます。
初めての行動や体験する時は、最低10獲得出来ます。例、初めての歩き始めの一歩でも10獲得します。
また、知識を取り入れる事でも経験値は入ります。これは重要度によって獲得数が違います。例、文献や本を読む。物の名前を知る。
戦闘をすると経験値を獲得出来ます。魔物を倒すと倒した魔物によって経験値が入ります。一番、経験値を取得しやすい方法です。
魔法を使うと経験値が入ります。
物を採取、製造すると経験値が入ります。
物を壊すと経験値が入る時があります。
称号を取得すると経験値が入ります。
人の願いを叶える(イベントをクリア)と経験値が入ります。
休憩(寝る、座る)では、十分で1獲得出来ます。
食べる事でも経験値を得る事があります。
経験値を増やすスキルも存在します。
すご! 本当に経験値がモノを言うゲームなんだね。何しても経験値は獲得出来るんだ! 休憩するだけでもなんて、すばらしすぎる!
これは、しばらくここにある本を読んで、色々知った方がいいかも。
私はまず、読解力を上げる事にした! ――
2018/6/29
採取者とはの内容を少し変えました。
ステータス数理調整しました。