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お二人様のモフみみ錬金術師  作者: すみ 小桜


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23話目~探索隊って?

 カンカンカン。

 私は今、アイスピックを壁に突き刺し、金づちで叩いてちびちび掘っています。全然掘り進みません!

 ラキガさんに言われて奥で掘る事になったのです。奥だと違う鉱石が出るらしい。


 さっき私が掘った穴ぐらい掘るのは凄く大変なのですね! ラキガさんが言っていた事が納得いきました。

 これなら、隠し洞窟を探すのに地面を掘る気持ちも少しわかる。壁を掘ってから下に掘り進めるは大変ですもんね。


 二切れ食べてスタミナ70%以上になったのに、すぐに減りそうな感じです……。


 それより軍手をはめてやるんだったと後悔中。砕けた石に鉱石が混ざっているか見るのに手でほろっても無理なので、金づちで大きな塊は叩いて鉱石を探すのですが、作業の手間が……。でもやっぱり、それでも手でやるとばれそうだよね。


 うん?

 大きな塊だったので、金づちで叩いたら黄色い物が見えて来た! 軽く周りを叩き露わにしていくと、黄色い鉱石が出て来た!


 《探求心を取得しました》


 「あ! 探求心取得した!」


 「おめでとう。ソレイユさん!」


 「おめっとさん」


 「よかったわねぇ。ソレイユちゃん」


 「ありがとう!」


 これでこの作業しなくてすむ!


 「じゃ、街に行ってカード取得しちゃおうか!」


 「うん!」


 私は大きく頷いた。


 「どう? ついでにギルドに入らない? 私のギルドは大歓迎よ」


 ユージさんにミケさんはウインクを飛ばした! 私ではなくユージさんを誘惑する方法にしたらしい……。


 「いえ。僕達はギルドに入る気はありませんので」


 でもユージさんは動じなかった!


 「探求者にはならないの? 農夫に戻る気?」


 「いえ。二人でのんびりと迷宮巡りするつもりなんです。ね!」


 ユージさんが同意を求めてきたので、私は大きく頷く。

 そうだ。他の人がいると軍手が使えない! この軍手だけは使わせてほしい!


 「でも何かあった時の為にギルドには入っておいた方がいいぜ。別に俺らのところじゃなくてもよ。探索隊に入っていないギルドに入れば自由に出来るし……」


 「あら、今回の事があって皆探索隊に登録したはずよ。出戻り組と見分けがつくようにね」


 そう言えば、この『探索隊』ってなんだろう? 探求者とは違うんだよね? ギルドと関係があるみたいだし。


 「う~ん。そうか……。取りあえず、街に行くがてら二人で色々考えるよ。お世話になりました」


 「お世話になりました」


 私もユージさんの真似をしてお礼を言った。


 「着いていかなくて大丈夫か?」


 「僕が街までの道のりを知っていますので大丈夫です」


 ぺこっと頭を下げ私達は迷宮から出た。


 「はぁ。びっくりしたね」


 「うん……」


 私はユージさんの発言にもびっくりさせられましたが……。


 森の中は薄暗いがまだ昼間のようです。

 私は左ポケットから懐中時計を取り出した。


 「あ、懐中時計! 手に入れたんだ」


 「うん。おじいちゃんが置いて行ってくれたの」


 私はカパッと蓋を開けた。針は光の刻を半分過ぎた所を指している。結構長くいたかも。魔法陣描いていた時間が発掘より長かったけどね。


 「おじいちゃんって事はそれも……」


 「うん」


 ユージさんは、懐中時計を覗き込んで来た。おじいちゃんがくれた物=魔具まぐ。そうなっちゃうよね。

 私は、蓋の裏側を撫でた。82という数字が浮かび上がる。


 「それって……」


 ユージさんも日付だと気が付いたみたい。


 「まだいた!」


 突然後ろから大きな声が聞こえ、私は飛び上がる程驚いた。振り向かずともわかる。ラキガさんにミケさんです。

 私は咄嗟に、懐中時計をポケットにしまった。


 「な、何か用ですか?」


 「あなた! 魔石を発見した人でしょう! どこかで聞いた名だと思ったのよ!」


 ミケさんがそう言った。

 ユージさんは、バレたという顔つきです。


 「確か二人で発見した聞いたがもしかして……」


 ラキガさんがそう言いつつ私を見た。

 私はスッとユージさんの後ろに隠れた。だって、目つきが怖いんだもん!


 「そうですが……。それが何か?」


 「やっぱり、俺達のギルドに入らないか?」


 「お断りします。行こう!」


 ユージさんは、私に振り向き抱き上げ走り出した!

 走るスピードは、AGIに依存すると前回抱っこされて帰った時に聞いた。だから私とでは、全くスピードが違う。

 ユージさんは、走りながら後ろを振り向いた。


 「着いてきてはいないみたいだね。このまま街まで走るから」


 「え! 疲れない?」


 「それは大丈夫。リアルみたいに息が切れたり手がだるくなったりはないから。スタミナが減るだけ。でも全然平気。気にしなくていいから。君の方が圧倒的に減り方早いんだし」


 「うん。ありがとう……」


 速さとスタミナを考えれば一番理想的な移動の仕方なのかもしれないけど……。私は見た目10歳でも中身は違うんです~!


 「ところでさ。ギルドとかどうしようか?」


 どうしようかと聞かれてもメリットとデメリットがわからないと答えようがないかも……。


 「別に入ってもいいけど、メリットとデメリットがわからないと……」


 「そうだね。メリットは僕的はワープかな。国に貢献したギルドには部屋にあるワープポイントを使用出来るようになる。そこからどこかに行くことは出来ないけど、島のどこからでもそこにワープできるんだ。それがメリット」


 なんと! それはいいかもしれない! 便利そう。


 「デメリットは、他の人が一緒に行動するかもしれないって事かな。普通はメリットになるのかもしれないけど、僕達は二人の方がいいでしょ?」


 私はうんうんと頷く。

 軍手で作業とアイスピック使ってとでは、時間が違い過ぎる。それに魔法陣とかも他の人がいたら描けないし……。魔具の事も知れる可能性もある。入らない方がいいのかな?


 「ユージさんはどう思う?」


 「出来れば探索隊に所属したいかな。今は島に出戻りする人たちがいっぱいいるみただし。さっきみたいな事を避ける為にも」


 また探索隊……。


 「その探索隊って何?」


 「あ、そっか。さっき言った国に貢献の仕方一つで、ギルド単位で入れる国の組織なんだ。国の秩序を守る仕事かな? だからこの国に残っている人たちはこの国所属のギルドに入っているから、今は全員探索隊の一員だね。探索隊員はバッチを付ける事になっているんだ」


 そういう事だったのね!

 そのバッチを付けていれば、出戻りの人と確かに見分けがつくかも!


 私はラキガさん達の姿を思い出してみる。胸にそう言えばバッチが付いていた。カワイイやつ! 猫を形とったシルエット? で狐色のバッチだった。


 「僕も詳しくはよくわからないから着いたら聞いてみよう! 個人でも探索隊になれるならそっちの方向で!」


 「うん」


 私は頷いた。

 ユージさんの胸で揺られながら、リアルならあり得ない速さだと思いつつ流れゆく景色を見送った。

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