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お二人様のモフみみ錬金術師  作者: すみ 小桜


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17話目~魔具という物は

 私達はライオンの村を出て歩いていた。


 そう言えばどこに行くのかな?


 「ねえ、どこに行くの?」


 「取りあえず、キャットタウンかな。僕達の地域の大きな街だよ。実はね、一応君にも調書取りたいって言われていたんだよね。それで君の家に行って伝えたら怒られちゃったって訳。でも、発見者だからさ。お金とか手に入るし。この島では貴重だし。そのお金で僕は一式揃えたんだ」


 「お金? そう言えば見た事も話題にもなった事なかったわ!」


 ユージさんと会うきっかけになったのって、物々交換だったから売り買いってないと思っていた。それに一新したのは、お金が入ったからだったのね!


 「村は基本物々交換みたいだけど、街ではお金は必要だよ。だから探求者になってお金を稼ぐんだ。って、物々交換しているのは多分、この島だけだろうね。いやぁ、原始的だよね」


 そうだったんだ! じゃ、お金は必要なのね!

 考えてみれば物々交換だけじゃ、色々難しいものね。


 「そうだったんだね」


 「ついでにカードも発行してもらおうよ。経験値振り分けた? 探求心というスキルを覚えていれば、探求者のカードが発行になるんだけど」


 「あ! 忘れていたわ!」


 いけないいけない。色々あってすっかり忘れていたわ。えっと、創造力が1000で握力が50だったわね。


 私は経験値5100を使って、握力を50に創造力を1012にした。


 って、経験値が余裕で一万以上もある。あの発見のおかげね。

 うん? なんだろう? 経験値がずっと増え続けている……。


 歩く事でも経験値は取得出来る。でも五歩で1だったはず。このスピードだと一歩歩くごとに1増えているんですけど。……もしかしてこのブーツって魔具まぐなのでは? おじいちゃんが用意した物だったし。って、装備の魔具ってあるのかな? う~ん。


 「ねえ、どう? 探求心取得できた?」


 「え? あ! まだみたい……」


 「どうかした? って、まだ取得にならないか。発掘は回数じゃなくて種類だったっけ?」


 ユージさんは顎に手をやり考えながら歩く。


 「ねえ、ユージさん。あのね……魔具なんだけど……」


 「魔具?」


 「装備にも存在するの?」


 もしかしたら、装備は装備品を作った時にレア物として何か効果がつくのかもしれない。だったら魔具ではないよね?


 「……何か考え込んでいると思ったら魔具の事考えていたんだ。そうだね。僕達じゃ手が出ないと思うけど。あるよ。攻撃時に毒を与えるとか」


 「毒? それって魔具でしか出来ない事なの?」


 ユージさんは頷いた。


 「武器でいうと、普通は攻撃力しかないんだ。それ以外の付加が付いているなら魔具だね。匠という職業があるけど、基本の攻撃力より大きい攻撃力の物が出来ればそれがレア」


 と、いう事は、武器なら攻撃力以外の物がつくなら全て魔具って事? 防具も防御力以外の物が付いていると魔具って事だよね? もしこのブーツに経験値が入るような付加がついていれば魔具……。


 「言っている意味わかるかな? 防具なら魔法防御がついているだけでも魔具なんだ。だから、魔法攻撃を仕掛けて来る敵を倒すのは大変みたいだね。それこそマジックバリアを使える魔法使いがいないとね」


 「そっか。ありがとう……」


 「で、なんでそんな事聞いて来るの? 君には必要ないと思うけど……」


 「え? あ、いや錬金術師になったらどんなの作れるかな~って」


 あぁ、凄い言い訳だわ。ユージさんって勘がいいみたいだからバレそう。


 「僕を信用してくれるって言ったのになぁ」


 ちょっとムッとした顔でユージさんが言う。


 やっぱり騙せませんでしたか……。


 「ねぇ。一ついいかな? 君が錬金術師を目指すって事は、いずれ錬金術師になったら僕は君が錬金術師だって事を知る人物になるって理解してる?」


 「え?」


 歩みを止めてユージさんは、ジッと私を見つめて言った。その彼を私も見つめ返す。


 言われてみればそうだわ。協力してくれる相手でもあるけど、秘密を知る人物でもあるって事よね?


 「全部話してとは言わないけど、信用はしてほしいな。でないと協力はできないよ?」


 「う……」


 一応信用はしているけど、どこまで話していいかわからない。中途半端に話したら逆に気になるだろうし。だとすると、おじいちゃんが錬金術師だという事を話さなければならなくなる。

 ユージさんが、秘密を誰にも言わなければ問題ないけど……。

 大丈夫だよね?


 私は無意識に、周りに誰かいないか見渡した。

 遠くにだけど人影がある。


 「ユージさんの事は信用しているわ! でもここだと……」


 「ありがとう。そうだね。じゃ、近くに迷宮があるからそこに行こうか? 君はまだ探求心を取得していないようだし。近くと言ってもあと一時間はかかるけどね」


 私はユージさんの意見に頷く。

 私達は近くのクチン迷宮に向かう事にした。

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