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お二人様のモフみみ錬金術師  作者: すみ 小桜


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11話目~用意周到

 「おじいちゃん……」


 私はベットに腰掛けているおじいちゃんに話しかけた。


 「どうだ。観察力は取得できそうか?」


 あ、そうだった!

 その為に経験値を上げようと……。


 経験値を見ると1000を超えている。


 そう言えば、観察力ってレア物を発見しやすくするんだったよね? じゃ、覚えちゃいましょう!


 私は経験値を1000使って200を振った。LUKは212になった。


 《観察力を取得しました》


 よし! これでDランク発見しやすくなったかも!


 「おじいちゃん! 観察力を取得したよ!」


 「おぉ、思ったより早かったな。では……」


 「ねえ、おじいちゃん。私、まずは探求者になろうと思うの」


 「先に言われてしまったな」


 ニッコリと嬉しそうにほほ笑んだ。


 次は探求者になるのが課題だったの?

 やっぱり錬金術師は、探求して歩くのね!


 「そうだった! おじいちゃんって弟子とった事ある? 一人しかとれないって聞いたんだけど……」


 私はおじいちゃんに聞こうと思っていた事を思い出し聞いてみた。


 「いや、いない。本当はバシリーに継いでほしかったのだが、性に合わないと言ってな。だから、ソレイユがなりたいと言ってくれて嬉しかった。ところで、錬金術師の話は誰から聞いた? バシリーか?」


 私は首を横に振る。


 「ユージさんって言うライオンの人だよ。その人と明日、サササ迷宮に行ってくるの。そこでDランクの物を採ってくれば、探求者になっていいってお父さんが……。でも、難しいってユージさんが言っていて……」


 「そのユージと言う者に私が錬金術師だという事を教えたのか?」


 何故か険しい顔で聞いて来た。


 「え? ううん。言ってないけど……」


 「名前は教えたか?」


 「名前? 言ってないけど……。なんで?」


 「錬金術師は世界に100人もいない。その内、弟子をとっていない者は数人。知れれば、錬金術師になりたい者がひっきりなしに訪ねて来る。実は私はここに隠れ住んでいるのだ。戻って来た事は家族しか知らない。だから絶対に私の事は言ってはならないぞ。いいな!」


 私は大きく頷いた。


 ……って、そういう事は先に言っておいてほしい。

 でもユージさんが言った通り、錬金術師だと知れれば、追いかけまわされるのは本当みたいね。


 「さて、探求に行くならいい物をあげよう」


 そう言って手渡されたのは、私が背負ってちょうどいい、水色のリュック。


 いい物ってリュックか……。


 「それは魔具まぐだ。重さを感じないリュックだからスタミナが減らない優れものだ! 体力が少ないお前にはぴったりだ。後は、これかな」


 「え!」


 凄いリュックだった!

 重い物を持って歩くとスタミナが減るのね! そう言えば採取した物はお父さんが持って歩いていたっけ……。


 次に渡されたのは、軍手とアイスピックと金づち?


 これで何をするのだろうか?


 「その軍手は、軽く擦れば鉱石の周りの岩などを粉砕する能力がある。つまりはランクが付いていない物のみ粉砕する。後の二つは普通の物だ。鉱石を発掘するのに使うといい。で、これがアイスピックと金づちを入れる袋だ。この袋は魔具だ。これに入れておけば怪我することもないだろう。何を入れても外側は柔らかいままだ。後は……」


 おじいちゃんは、私に次々と渡してくれた。

 どうやら、私を錬金術師にしたかったらしい。その為に探求者になるのに必要な道具を用意しておいたみたいね。


 鑑定ルーペ――これは、ルーペで覗いて見ると色によってランクがわかるものらしい。白がF、黄色がE、緑がD、青がC、赤がB、黒がA以上らしいです。

 湧き水筒みずとう――これは水筒の中で水が湧く魔具だそうです。なんて便利な! 覗いてみるとたっぷり水が入っていた。

 光る鉱石――これは腰に付けておくらしい。辺りがかなり明るくなる魔具。これだけは、MPが必要らしいけど……。


 私には魔具の価値がわからないけど、便利そうだし貴重だよね? 値段だけでいったらすごくなりそう……。


 「そのリュックに自分で入れなさい。そのリュックは、作った者と入れた者しか中身を取り出せないようになっている」


 なんと! 盗難防止対策まで!


 私はマジマジとリュックを見た。


 私も早くこういうのを作ってみたい!

 こうして探求に行く準備が整った――。

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