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100話目~元気になったチック

 私達は、屋根付きのお部屋を作る事にしました。

 三角屋根に三面の壁と床のシンプルな物です。


 私達は、渦巻状の魔法陣の間に魔法陣を描いて、粘土を作る事にしました。

 土はいっぱいあります。いつも通りユージさんが、魔石の粉を混ぜ、私が粘土の魔法陣を小さく描きます。

 出来上がった粘土で、ユージさんがお部屋づくり。

 私は、窯の魔法陣を描き、出来上がったお部屋を魔法陣の上に置きました。

 そして、五分後。小さくかわいいお部屋の出来上がりです!


 出来上がったお部屋を魔法陣の中に置いて、布にくるんだままヒナをお部屋に入れました。

 あ! でもこれじゃヒムネさんは、ここから動けないままです。


 「ねえ、ユージさん。お部屋の中に居たらダメなんだよね? やっぱりもう一回行って頼んでみる?」


 「そうだね。聞いてみようか」


 「かまわんよ」


 「え?」


 ヒムネさんが隣で言ったので振り返ると、地面に立った青年が!

 青い瞳に青い髪。黒い着物。なんともミスマッチな感じです。

 ヒムネさんも人に変身できたんだ。


 「その子も元気になれば、歩き回れるようになるだろう。それに私は、話し相手がいるだけでも嬉しい。ところで、この子に名前を付けないか」


 「そうですね……」


 ヒムネさんの提案にユージさんは頷く。

 

 「ソレイユさん、何か候補ある?」


 「うーん。いきなり言われても……あ!」


 とうとう雨が降ってきました。私達は、少しでも雨を避ける為、木の側に行きます。

 お部屋にも降り注いでいますが、中には入っていないようです。


 「あの、名前は決めて明日来ます」


 「あぁ。待っている」


 私達は、部屋に戻りました。

 早速ヒナ名前を決める事にします。


 「うーん。何がいいかな?」


 椅子に座り臼をごりごりとしながらユージさんは、考えています。

 魔石の粉は、粘土を作る時と、地図を見る時に使うので、部屋にいる時にユージさんが臼で作るのが普通になりました。


 「あの、ヒナってなんの鳥のヒナだろう? 黄色じゃなくて白かったよね?」


 私が言うとユージさんは、そうだねと頷きます。

 ぐったりしている所を発見したとも言っていたし、リャンさんが飼っていたヒナではなさそうです。


 「なんのヒナなのかな……あ、そうだ。ヒナだからチックなんてどう? 英語でヒナって意味。あ、でもいずれヒナじゃなくなるのか」


 「それいい! なんかかわいい!」


 「いいの?」


 「うん」


 私は、うんと頷いた。


 「じゃ、チックにしようか。明日は少し元気になているといいね」


 私達は、名前も決まった事だし、闇の刻じゃないけど小休憩して、明日INする事になった。



 ☆   ☆   ☆



 「あ、動いている!」


 「元気になったんだね」


 ユージさんの言葉に私は頷いた。

 次の日の70日の目覚めの刻にINして、すぐにヒムネさんのところに来たのです。


 驚く事に、直接手からエサを食べてます!

 ヒムネさんの手の平に乗せたエサをチックがつついて食べています。

 かわいいです! 私もエサをあげたい!


 「エサをあげてくれていたんですね。ありがとうございます」


 「君達がずっと世話をする事も出来ないだろう。どうせ私も暇だ」


 人間の姿になったヒムネさんは、地面に足を延ばし、木によしかかった状態で言いました。ただの少年にしか見えません。


 「はい。ソレイユさん」


 ユージさんが、エサを手の平に乗せてくれました。

 私もチックにエサを上げます。つんつんとかわいくエサを私の手から直接食べてます!


 「この子の名前を決めました。チックです」


 「チックか。いい名だ」


 ユージさんが言うと、ヒムネさんがニッコリ微笑んで頷いてくれました。

 この子は、正式にチックです。


 「この森も早く元に戻るといいですね」


 「これだけ枯れてしまえば、この木が生命の()にならないと元には戻らないだろう」


 「え……」


 ユージさんの言葉に、悲しそうにヒムネさんは答えます。

 私達は今まで通りすぐに戻ると思ってました。でもここは、無理なようです。


 「心配するな。君達が呪いを抑えてくれたのだろう? この木が生命の樹になれば、七色で豊かな森に戻る。私は一人ではない。このチックもいるし、君達もいる」


 「うん。たまに遊びに来ます」


 「私は、毎日来たいけど……」


 「ソレイユさんったら。まあ、僕はそれでもいいけどおじいちゃんに近づけないよ」


 そうだった。立派な錬金術師になる為の修行中だった。


 「私達は、いつでもいる。好きな時に来るといいだろう」


 「はい。ありがとうございます」


 私達は、こうしてこの森で、虹の刻まで過ごしました。

 部屋に戻ってログアウトし、次にINしたのは76日の光の刻。

 出掛ける前にヒムネさんとチックに会いに行きました。


 チックは凄く元気になっています!

 そして、うっすらと青っぽくなりました!

 チックは、私達を見ると近寄ってきます。

 あぁ、かわいい!!

 餌をあげ、ヒムネさんにチックの事をお願いすると一旦部屋へワープ。

 楽しみが一つ増えました!

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