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98話目~森番ヒムネの加護

 私は、本を色々見てみました。


 それでわかった事は、この生命の()にする為の魔法陣のキーワードがわからないと、吸収魔法陣を登録できないという事です。

 私が描いた生命の枝にする魔法陣もそれで、吸収する魔法陣と繋いでいます。


 「キーワードがわからないと無理っぽい。私には、魔法陣を見てもわからないから……」


 「やっぱりそういう感じなんだね」


 ユージさんも何となくわかっていたみたい。

 さて、困りました。呪いは大丈夫と言った所で、森が元に戻らないとそれを証明出来ません。


 「要は、安定させられればいいって事だよね? ヒムネさんがどうやっているか聞いてみよう。その方法が本にあれば何とかなるかも!」


 「あ、そっか!」


 「ちょっと質問なのですが、ヒムネさんはどうやって生命(マナ)を安定させているのでしょうか?」


 「どうとは?」


 「安定させるやり方というか。指示があったのですよね?」


 「ただこの場所にいる事。それだけだ」


 「え? それだけ?」


 私は驚きました。


 「それって、ヒムネさんに生命が見える事ですか?」


 ヒムネさんは、ユージさんの質問に頷きます。

 どうやら魔力は見えないけど、生命は見えているようです。


 「うーん。ヒムネさんは生命が見えるだけ。その木に居るだけ。特段何もしていないって事か。じゃ、魔法陣にヒムネさんがいると安定する様に施されているって事か」


 そうユージさんが呟きました。

 なるほど。魔法陣に組み込まれているって事ね!

 どんなのがあるか本で見てみましょう。


 本を見て分かったけど、別に何も設定しなくても魔法陣か供給先に命ある者が触れていると、生命(マナ)が安定するようです。

 私は、それをユージさんに伝えました。


 「という事は、ヒムネさんの代わりに誰かこの魔法陣に居ればいいんだよね?」


 「そうだね。でも……」


 ……でも、誰を?

 目の前の木が生命の()になるまで、ずっといなくてはいけません。

 ユージさんも言ってみたけど、思い当たらないみたい。


 「あの……ヒムネさんじゃなくてもいいみたいなのですが、誰か交代でそこに居てくれる人はいませんか?」


 「うん? こんな呪いの森に誰が来るというのだ。元に戻れば別だが……」


 「………」


 ヒムネさんの返事に、ユージさんは何も返せません。

 この島では、荒れ果てた土地には誰も近づかないみたいです。


 「まいったね。たぶん、これも解決しないとクリアにならないだろうね」


 「あ、そっか。これイベントだもんね……」


 つい本当の出来事だと思ってしまいました。

 うーん。じゃ、解決方法は絶対にあるという事だよね?

 荒れた地でも居てくれる人かぁ。

 って、そもそもここに連れてくるの無理じゃない?


 「ねえ、誰かいたとしてもどうやってここに連れて来るの? ロウさんに頼むの?」


 「うん? そうだね。でもプレイヤーは無理だろうから。出会った人の中でって事だろうけど……」


 出会った人か。バジーくんとか? でも馬の世話とかあるし無理だよね?

 言えばやってくれそうだけど、他の問題が発生するもんね。

 あ、人じゃあくてもいいかな? モーグくんとか?

 光る物をあげたら居てくれるかな? あ、土の中じゃダメなのかな?


 「うーん。難しいね」


 「セイレイオウさんに頼んでみる?」


 「精霊がこんな地に来るわけあるまい」


 ユージさんが提案した言葉をヒムネさんが速攻に却下しました。

 うーん。お手上げです。

 そもそも精霊もここに住む人も枯れた地、つまり呪われた場所には近づかないって事だもんね。


 「もうこうなったらニワトリでも放しちゃう?」


 「あ! それだ!」


 私が投げやりに言った言葉に、ユージさんは振り向いて言った。


 「そうだよ! その手があったよ!」


 「え!?」


 「ニワトリ……実りの鳥でもあの魔法陣の上に居ればいいって事!」


 「あ! そっか!」


 実りの鳥も生きている! 命ある者だわ!


 「でもずっとそこに居てくれないよね?」


 「それはもう、物理的に逃げられない様にするしかないと思う。後は、エサの問題だね。いや、その前にどうやって譲ってもらうか……」


 「うーん。交渉はユージさんの方がいいよね?」


 「うん。そうかもね」


 「じゃ、私が今度ここに残るよ」


 「あ、そっか! ここに移動する手段も必要なのか……。でも僕には、魔法陣が使えないからなぁ。もし何か作れと言われたりしたら交代しなくてはいけないね」


 「そうだった。そういうのもあるんだったね」


 かなり面倒そうです。

 あ、そうだ。私が行って以心伝心でユージさんとコンタクトを取って、相手と話すというのはどうだろう?


 「君達は、もしかしてロウに送ってもらうしかここに来る方法がないのか?」


 私達が話していたらそうヒムネさんが聞いたので、私達はそうですと頷いた。


 「だったら私の加護をやろう。私の元にワープする事が可能になる。どうだ?」


 ヒムネさんの申し出に、私達は驚いて顔を見合わせる。


 「是非、お願いします!」


 ユージさんが答えると、ヒムネさんは頷き私達に加護をくれました!


 《森番ヒムネの加護を取得しました》


 これで、ワープの件は解決です!


 「ありがとうございます」


 私達は、声を揃えてお礼を言った。


 「じゃ、ライマルさんの所に行こう!」


 「うん!」


 まさか、また加護を貰えるとは思いもよりませんでした!

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