第二話 PK専門ギルド
ユウキの本名が、明らかになります。
私の名前は、結城 凛子。
ひきこもり一歩手前の、女子高生です。
学校には、友達なんかいません。
特別友達が欲しいとは思いません。
ただ、友達のいない寂しい奴と思われるのは嫌です。
私が引きこもり一歩手前というのは、先生が友達を作れだの、いい子ぶった奴らが、友達になろうなどと鬱陶しいからです。
わたしは、一人が好きなんだほっといてくれ、という感じです。
だから私はこのごろ、前から興味のあったフルダイブのゲームをしています。
うるさい奴等の事なんか忘れるために。
そして、ゲームの中には見たことのない景色がいっぱいありました。
でも、私はゲームがへたくそで、もっと向こうが見てみたいと思っても、すぐにモンスターにやられるかPKされてしまいます。
私はすぐに諦めてしまい、他のゲームへと移っていました。
そんなとき、いまやっているゲームと出会いました。
キャラも私好み、なんといっても、景色がすごくきれいなのです。
町中で見る景色がこんなにきれいなのです。
もっと向こうに行けば、もっときれいなものが見れるはず。
私はそう思い、すぐに装備一式をそろえました。
そして、早く向こうに行きたいと思い、早速購入した剣などを装備しようとしました。
でも、剣も、鎧も何もかも装備できませんでした。
私が購入したものは全部、剣士用だったのです。
何も知らない私は、ステータスを全部魔法職につぎ込んでいました。
なんでもかんでもテキトーに、YESボタンを押した報いです。
でも、ある程度のレベルになれば、剣なども使えるということでした。
無駄にならなくてよかったです。
私は雑魚モンスターを狩って、LVを上げようとしましたが、魔法職しかないへたくその私には、そのLVは高いハードルでした。
雑魚モンスターに詠唱途中でやられる始末です。
このままではいけないと感じた私は、気乗りはしませんでしたがフレを作ってみました。
でも、
「お前、役に立たなすぎ」
と、見捨てられてしまいました。
それでも、諦めきれずに、雑魚モンスターと悪戦苦闘している私の前に、ある少年が現れました。
その少年は、なぜか山で倒れていたので、私が助け上げ宿屋まで連れてゆきました。
少年は、始めたばかりだというのに、すごい装備をしているように見えました。
私は、その少年にフレになってほしいと頼んでみました。
すると、あっさりすぎるほどにOKしてくれました。
明日からは、その少年と冒険をします。
まあ、LVも上げてないのに、すぐにとはいかないと思いますけど。
「ユウキは、明日の3時までINしてこないんだよね。暇だなぁ」
暇を持て余したGBは、街の中を見て回ることにした。
「ん?いいにおいがする」
匂いの下では、肉を焼いていた。
「おっさん。その肉ちょうだい」
「おう、100ギルだ」
「100ギル?なにそれ」
「お金だよ、お、か、ね」
GBは、お金など使ったことがない。
GBがどうすればいいか困っていると、NPCのほうから肉を差し出してきた。
「今日はいいよ、もってけ」
「いいの?」
「ああ、またいつでも来いよ」
「うん、ありがと」
そのあとも、GBが食いたいと思うと、NPCが差し出してくれた。
肉も食い終わり、街の中も一通り回ったGBは、街の外へ出ることにした。
街の外を歩いていると、男たちに囲まれた。
いかにも盗賊といった風貌の男たちに。
「おまえ、なかなかよさそうな装備してるじゃねえか」
「そ~う?真っ黒でダサいと思うけど」
「なら、そのダサい装備全部置いてけ」
「嫌だよ。これぼくのだし」
「これを見ても、そんなことが言えるか」
男たちは、腕に書かれた二本の剣とドクロの入れ墨をGBに見せて見せた。
こいつらは、PK専門のギルド「デスソード」のメンバーだった。
「おい、びびったか小僧」
「えっ、なんでびびるの?」
GBにはそんなものは通用しない。
だいいち知らない。
「なあ、こいつ装備はいいけどただの初心者じゃね」
「なるほど。なら納得だ。おい、死にたくなければ装備を置いてけ。今日は許してやる」
「だからやだよ。ことばがわからないの?おっさん」
「お、おっさんだと。もういい、死ね」
男たちは、手慣れた様子で同時にGBに向かって突進した。
そして、GBに剣を抜く暇も与えずに、キルするつもりでいた。
しかし、逆に自分たちと同時に突進してきたGBに、カウンターで一瞬にして半分以上の5人がやられた。
「う、うそ~ん」
「退却だ。おまえ、おぼえてやがれ」
三下のような捨て台詞を残して、男たちは走って逃げて行った。
翌日INしたユウキは、GBに傷があるのを発見した。
「どうしたのこれ?」
「昨日、散歩してたらおっさんにやられた」
「そう、傷を見せてみて」
「こんな傷だいじょうぶだよ」
「だめ」
そう言うと、ユウキはヒールし始めた。
「暗いのに、一人で街の外には出ない方がいいとおもうよ」
「わかった。うわっ。傷が治った。すごいよユウキ」
「そ、そうかな」
「うん」
照れ臭そうにしているユウキが叫んだ。
「それじゃ今日は、まずLV上げだ~お~っ」
「お、お~」
GBの強さを知らないユウキは、LV上げから始めたのだった。
PK専門ギルド。なんかこわい。