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Day 4 木曜日

 今朝は久しぶりにすっきり目覚めることができた。やはり気がかりなことが無いというのは良いなぁ。今日の天気は、晴れのち雨らしい。雲一つない青空なのに、本当に夕方、雨なんて降るのかなぁ。青空の下、気持ちよく自転車をこぐこと10分、学校に着いた。しかし、教室に入ると、室内は何とも言えないどんよりとした空気が広がっていた。どうしたんだろう。何かあったのかな。今朝はマリが教室にいなかったので、この前文芸部室から持ってきた文庫本を読みつつ、朝のホームルームが始まるのを待っていた。というか昨日の朝との雰囲気の違い、いったい何があったんだろう。

 マリは始業時刻ギリギリに戻ってきた。荷物は私が来たときにはすでにあったので、多分学校のどこかにいたんだと思う。

 

 午前中は、何とも言えない雰囲気が漂い続けた。ふと窓から外を見ると、朝の快晴は一転、ぽつぽつと雨が降り始めていた。「本当に最近の天気予報は当たるわねー」とママはよく言うが、確かによく当たる。うん、ひまわり8号、お前はいい仕事しているよ、ありがとう。


 気が付けば昼休みになった。いつも通り弁当を広げようと思ったら、マリは、

「ちょっと私についてきて。弁当も持って、ほら、早く。」

「何、何、ちょっと待って。あ、今行く。」

マリは半ば強引に私を引っ張って、部室へと連れて行った。昼休みに部室の鍵は開いていないが、基本窓の鍵が開いているため、窓から手を延ばせば部室にはすぐ入ることができる。

マリと私は、部室に入ると弁当を広げた。そこでマリは

「これは面白いことになってきたね。」

と突然話を切り出した。私は何のことかわからなかったので、

「何のこと?」

と聞き返すとマリが今度は驚いたような表情をして、

「リゼは本気で気づいてないの。」

と聞き返した。ここまで言われた時、全て、納得した。うん、全て合点がいく。

「今わかった。もしかして、シュウくんのこと?」

「もしかしても何も、シュウくんのこと以外何があるの。いったいマリは、どうやってあのシュウくんを誘ったのさ。」

マリは興味津々だ。そこで、昨日会ったすべてのことを話した。するとマリは、少し怒ったようなふりをして、

「ここで安心してどうするの。せっかくだから、ダンスの時に告白しなよ。ほら、そうすればリゼの初恋も片思いで終わらなくてすむよ。」

「えー、でも……」

言葉に詰まったその時、午後の授業開始5分前を知らせる予鈴が鳴った。私たちは慌てて教室に戻った。

 この話をして教室に戻ると、教室の空気がなぜよどんでいるのか分かった。そして、私に向けられる視線に痛さを感じた。どうしようもないので、気づかないふりをして午後の授業を受けた。帰り際、シュウくんから声をかけられ、ダンスパーティーの申し込み書にサインをした。シュウくんが提出をしておいてくれるという。意外にあっけなく求めていたものは提出された。

 これ以上学校にいてもいいことはないと思い、今日のところは足早に家路についた。しかし、ここからまだこの問題が続くとは、この時まだ予想できなかった。


続く

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