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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
大変!何でも作成団
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5-12 お手伝い

 作り方はウルフキラーに習って、インゴット化:鍛造で1:1で草を使う。最初は薬草だな。草は牙に比べれば軽いから、量は2枚から、2枚単位で増やして試す。

 それぞれ20枚くらいまでやってみて、反応がなければ、違う草を組み合わせてみようか。何か少しでも効果が付けば万々歳だ。

 作成回数は……20回?で、反応が一番良かったヤツを基準に増やして減らしてで、もう30回の計50回は必要かな。

 鉱石は、銅や青銅だと追加効果が付きにくいらしいから、原則鉄で。試行は回数をこなすからダガーじゃないと鉱石が足りるかわからん。まあ、今ある金の分、鉄鉱石をギルドで買えば良いんだろうけど……他のも買ってやらないと気がとがめる。

 つーか、俺の感覚では今の収入は完全にあぶく銭。それに、ため込んでいるとこの世界に良くない影響がある気がする。ほら、局所的なインフレとか。だから、街のために使いまくろうと思う。大金を持つ羽目になった俺の心の平穏のためにも。

 つまり、材料はいくらでもある。イベントのおかげで街中にもあふれているから消費こそ正義だ。


「しょ、正気っすか?

 手が足りるとは思えないっす」

「最初はバランスがわかれば良いから、小ぶりのダガーで、無理しない範囲でやろう。

 もちろん、俺も協力するよ」

「……ありがたいっすけど、一人で鍛造できるっすか?」

「……できませんねぇ」


 お互いを見つめ、ため息を一つ。消費したくても、手が足らないか。まあ、でもやるしかないけど。


「……俺が手伝うってのは決定っすから。

 やるっす」


 悪いけど、確かに俺にはまだ技術もないし、実は時間も無い。なにせ、そろそろ現実で日が変わるから寝ないと明日に差し支える。

 本当に申し訳ないけど、トライ&エラーはお願いしよう。


「悪いけど、そろそろ俺は時間なんだ。ここの材料も道具も使って良いから、色々試してもらえる?」

「了解っす。遠慮無く色々試すっす」

「ウルフの牙もあるから、ウルフキラーダガーから問題なくできるか調べないとかな。俺も戻ってきたら手伝うから」

「うっす。任せろっす」


 さて、そろそろログアウトして、寝るとしよう。





 早めに目が覚めたので、食事をして、出勤のために早めのアラームを設定してからダイブ。

 ゲーム内の住人とはいえ、無茶なお願いしたし、確認しないと。

 ダイブして目を開ければ、そこはいつもの作業所。所狭しと、材料が積まれている……ってなんで?こっちじゃ一日経ってるのに、ほとんど変わってないじゃん。

 俺に気づいたアロが机に置かれていたダガーを見せてくる。念のため“鑑定”すれば、確かにウルフキラー(ダガー)だ。上質では無いけど、品質値は92。店売りより遙かに良い。攻撃力も、長剣を超える13で、店売り鉄ダガー(攻撃力8)からすると5割増し。1番弟子ってのは伊達じゃない。


「あ、お疲れっす。ウルフキラーダガーはできたっすよ。

 あまり質は良くないっすけど」

「でも、できることは確かだね。

 ……俺達が提出するのは見本だから、今は質はこだわらなくて良いか。

 じゃ、ちょっとの間だけど、手伝うから教えてくれるか?今は何をしてるんだ?」


 生産ギルドが活動するのは、少しでも早いほうがいいだろう。そう思って聞いてみても、アロの回答はあまり芳しくなかった。


「うーそうっすねぇ。何してもらいましょうか……【鍛冶】の基本で良いっすか?」

「ん?何でだ?アロが作って、俺が雑用のほうが効率がいいだろ?」

「……」


 アロが無言で出してきたのは、少々質が悪そうな短剣。量産品にしか見えないが……もしや。


「そうっす。試してみたっす。んで、これを作ってる途中に倒れたんす。今は一休みっす。

 ……いやぁ~こんなに大変だとは。あはは」


 無理に笑ってるな。そりゃそうか。自分ならできるって大見得を切って、実際出来はしても、使用した鉄鉱石の量はダガーなら長剣の四分の一。半分の短剣は無理だったと。実力と見る目の足りなさを物理的に突きつけられたと。

 ……でも、作れたことは確か。それだけの実力があるってことだろうに。うらやましい。


「俺からしたら、ダガーを作れるってだけでもすごいんだけどな。さらに追加効果つきだろ?

 大して役に立たないだろうけど、手伝わせてくれ。

 生産ギルドの象徴を作るんだ。一人じゃできないだろ」

「……そう。そうっすね。みんなで作るんすよね。

 んじゃあ、これをやって欲しいっす」


 そういって案内されたのは、鉱石の山の前。物は銅鉱石。

 【鍛冶】修練の最初は、鉱石の識別・分類とのこと。そうか、まだ雑用すら出来ないか。初心者よりも手前だもんな。

 アロは無造作にいくつかの銅鉱石を取り出し、並べる。十個ほど並べていると、なんらかの理由があって分けていることくらいは理解できる。

 新たに鉱石を一つ、右寄りに置かれていた鉱石の横に並べながらアロはこちらを向いた。


「こうやって比べて、同じ大きさのを重さで分けるっす。これは重要なんすよ。品質が同じ鉱石を使った方が良い物ができるっす。鉱石は同じ重さだと似た品質っすから、作業がだいぶ捗るっす。

 鉱石判別の練習にもなるっす」


 そう言われると、重要な感じがするな。何々……まず慣れないうちは、同じような重さでいくつかに分けて、さらにその中で細かく分けていくと。技術習得のためには、“鑑定”しない方がいいんだろうな。よし。時間が来るまでやってみるか。



 ……ログアウトの時間までに一山の半分も終わらなかったけど、ある意味充実した時間でした。まる。

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