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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
ひとりでできるもん
47/236

4-12 『魔術狂』クローバー

 我こそは魔術の申し子。偉大なる魔法の使い手【魔術狂】クローバーである。


 ……ノリが悪いであるな。ふむ。

 我はこの中では唯一のβプレーヤーである。我が二つ名はその当時より我が元にあるが、我としては、韻を踏んでマジック・ホリックと呼んで欲しいと思うである。

 ん?その時の話の方が面白そうであるか?

 では、そちらをメインで話すである。


 我は最初から魔法メインと決めていたので、βの頃から取得しているスキルは全体で見るとあまり変わらないであるな。しかし、βでは【火魔術】【風魔術】【水魔術】と取得したが、今回は【風魔術】【魔力操作】【魔力増加】である。違いの理由は後で説明するである。

 我はスキルは使えば使うほど成長するとはじめる前から考えていたである。しかし、運営から事前にNPCへの暴力行為や他プレーヤーへの攻撃に関しては注意が流れていたである。

 そこで、最初のダイブしたときに、まず空に向かって“ウインドカッター”を解き放ったのである。街中での魔法は禁じられていなかったであるからな。それからは、街中では人には当てないように常に大空に向かって“ウインドカッター”を使い続けたである。

 思えばβの時分、ほぼ常に我のMPは半分程度であった。街中では空に。外ではモンスターに。ソロでもパーティーでも変わらずに魔術を使い続けた我は、いつしか【魔術狂】と呼ばれるようになったのである。


 ん?ジンは何を笑っているのである?『剣術バカ』?迷惑バトル?よく知ってるであるな。有名人はつらいである。

 我は魔法使いであるが、ソロでも活動できる。つまり、前衛も可能な魔法使いなのである。これはあるシステムを活用したからである。それは、フレンドリーファイアがないことである。

 なぬ?フレンドリーファイアを知らぬと。ふむ。簡単に言うと、このゲームでは、プレーヤーはプレーヤーの攻撃でダメージを受けないのである。だから、戦闘中に我が範囲魔法を使っても、誰も傷付かないのである。ま、ダメージがないだけで衝撃はあるので、気を付けないと戦闘の邪魔になるのであるが。

 それを利用して、βでは一時期PVPもどき、プレーヤー同士の戦闘訓練が盛んに行われたである。初撃を与えたら勝ち、圧倒したら勝ち、色々な条件で戦うのである。死なないから積極的に行われたである。我はそこでソロでも戦える技術を学んだのである。忌まわしき『剣術バカ』をそこでボコボコにしてやったである。

 戦績?……我の方が勝っているである。


 何故に迷惑バトルと呼ばれたかであるか?

 避けられた攻撃が他のプレーヤーの邪魔をしたり、物を壊したからである。街中でやろうとした馬鹿どもは衛兵につかまったりしたである。街中で考えもなく魔法を使った者も同じ運命をたどったである。我は風魔術を使っていたので問題なかったであるが、火や水、土を使っていた者は、危険が目に見えるので衛兵に怒られていたである。

 街中では戦闘禁止だからだと思っていたであるが、ギースト殿の話を聞くと当然であるな。NPCなら当たり所が悪ければ死ぬであるから。

 ……今思うと、我も危ういことをしていたものであるな。これはさっそくに広めないとマズイである。

 『剣術バカ』などは衛兵に迷惑をかけた筆頭である。まさに馬鹿である。人気のない所で素振りをして怒られたり、買った果物をその場で上に投げて、剣で四つに割ろうとして怒られたりと、幾度となく迷惑をかけたである。

 挙句の果てに、あやつは魔術を剣で切る暴挙を行ったである。なぬ?信じられないと?

 あやつは確かに我の魔術を剣で切ったである。それも、偶然ではなく狙ってである。そうでなくば、大幅に勝ち越していた我が、逆転などされないである。


 ……どうやって再逆転したかって?そうか。聞きたいであるか。

 では教えて進ぜよう!我は機動魔法を編み出したのである!

 説明しよう!機動魔法とは、動きながら魔術を使うことである!それにより、通常の固定砲台的魔法使いから、移動砲台に大幅ランクアップするのだ!

 ……やはり、ノリが悪いである。せっかくの大ネタであるから、もっと驚いてほしいである。

 うむ。当然ながら、βプレーヤーは知っているである。今の情報交換掲示板でも噂レベルで流れているはずである。何故に噂レベルだと?それは実現できたのが我のみだから仕方ないである。普通に動くとどうしても魔力が散漫になって失敗するである。

 スキル構成が肝である。【魔力制御】だけでは駄目で、【身体魔術】も必要なのである。身体強化にしか効果がないと言われていた【身体魔術】であるが、自らの体に魔力を巡らせるその効果が【魔力制御】と合わさることにより、激しく動きながらでも魔術が使えるようになるである。

 ……ゲーム世界に比べて単純だと思われていたスキルであるが、スキル同士の組み合わせで様々な効果がありそうだと判ったのである。魔法系以外でも効果がある組み合わせはあるはずである。

 しかしながら、この発見はβ終盤で、かつごく僅かしか知らないであるから、都市伝説扱いで未だにあまり知られておらず、検証も進んでいないのである。


 しかーし。我は正式版でもできることを実証したである。そのために最初の獲得スキルに【魔力制御】を入れ、初スロットで【身体魔術】を取得したのである。

 何故にそこまで検証するのかと?すなわち、我こそは偉大なる【魔術狂】であるがゆえに。

 β時代から魔術に関する検証に我は力を注いだである。まあ、我だけでなく、200名からなるβ勢が色々なやり方で色々な物を検証したのであるが。

 練習でも経験値が上がることも、モンスターに当てた方がより経験値が稼げることも、良い所に当たったりラストアタックを取った方が経験値が良いことも、検証の結果判明しているである。

 【魔力制御】があれば弱くした魔法も使えるであるし、【水魔術】と【風魔術】が共にレベル30を超えると【氷魔法】スキルに統合できることも我が発見したである。

 我はそれら情報を惜しげもなく公開しているである。

 なぜなら、他の者がいかに追随し、研究し、発展させようとも、我はその先を歩むであるから。

 我こそは魔術の申し子。偉大なる魔法の使い手【魔術狂】クローバーである。


 ……拍手ありがとう。ありがとうである。


 と言うことでギースト殿。我は貴殿に心から感謝しているである。

 おかげでスキル枠にとらわれない、いや、スキルにとらわれないで更なる研究に邁進できるである。夢は広がるばかりである。

 そのためにも、早く【言語】を取得するである。フィールドボスを倒して農業都市セックに行くである。

 そうだ!『戦乙女』が戻り次第、皆で倒しに行くである。んー後1度迷宮をクリアしたらダイブアウトをすれば時間的に丁度良いである。そうと決まれば、最後、ジーンの話である。

 ハリー!ハリー!!

個性を出すのは難しいです

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― 新着の感想 ―
[良い点] クローバーさんカッコイイですね! 拍手を受けるのも分かる気がします
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