3-8 いざ!イベントへ
残り接続時間を調整して本日3回目のダイブ。
今日はあと5刻ほどしか残っていない。ま、それくらいなら明るいうちにログアウトになるから丁度いいけどさ。
もちろん、負け惜しみだけど。
戦闘したからレベルが2上がって、手に入れたボーナスポイント4を、筋力、体力、精神力、幸運力に1ずつ割り振る。
これでかなり強くなった、気がする。時間がもったいないので、スキルやレシピは後回し。
まずはMP消費のために雑草と水で肥料(微)作りをちょっとだけ。
10回で2回も成功。今日は確率が良いや。
買い集めた木材と一緒に、残った雑草を庭の隅に。数えたら雑草が440、木材が55。
こりゃ、イベントが終わったら【錬金】祭になるな。
まだ手持ちのお金は6,221Gある。忘れないうちに、ギルドで薬草と魔力草を買ってくるか。
ダッシュで冒険者ギルドへ行くと、見知った顔はなし。普通に買い物といこう。
薬草と魔力草を100、木材を11も買うと残金は21G。すごい初心者風のお金だな。
ちなみに、手持ちの大袋があったので、それに入れてもらった、つまりマイバッグにしたら安くしてくれました。
ま、安くなった分、木材が増えたんだけどね。
……どうやったら、この木材が袋に複数入るんだろうか。ゲーム的にはありがたいけど、ちょっとおかしな感覚。
買い物が思ったよりも早く終わったので、ちょっとだけ時間が余ったな。
ついでなので、図書館まで走り、レシピ本を軽く読む。……ちょっとだけ説明が読めるようになりました。
読めていなかったコツらしき文章も読めたので、品質が向上する。と、思いたい。
また作業所へ行き、荷物の整理。とは言っても、ただ置くだけだけど。
そんなことをしていると、MPが半分回復した。
これなら、陽炎迷宮に着く頃には全快かな。
そう考えてダッシュで南門から街道をひたすら走った。
このまま行けば、噂のフィールドボスと戦う羽目になるんだろう。
その手前にある陽炎迷宮付近(推測)までは俺の脚で50細刻ほど。
何組ものパーティーを追い越したけど、たぶんみんな俺と同じ場所に向かってるんだろうな。
うーん、通常なら走りはしないだろうから、2刻はかかるのかな?
冒険としては正しいのかもしれないけど、ゲーム的にはどうなのかな。
それにしても、昨灯に比べて草原の人数が減って、街道を歩くパーティーが増えたな。
これだとすでに結構な人数がいるかもな。ま、まずは見学だから良いか。
たしかここだったような。
ちょっと左手側に繁る草に見覚えがある気がする。
場所に確証がないので、ほかのパーティーが来るまで一休み。
追い抜かしたのは結構前だったから、ちょと待つ感じかな。
ただ待つのもあれだから、薬草でも探すか。
休み休み【採取】と【鑑定】を鍛えていく。
自然回復がもったいないからMPは常に8割以下をキープしてるけど、HPも何か考えるか。
うーん。毒草食って毒耐性がつくか試しても良いけど、薬草じゃHP回復しないからなぁ。
なんか加工しないと毒状態にはならなそうだよな。……でも、毒草から毒薬ができるか試す価値はあるか。これはToDoリスト入りだな。
そんなことを考えながら草むしり(採取)をしていると、アーク方面から来たパーティーが休む俺の横を一瞥もせず通り過ぎて、躊躇いもしないで左の藪へと入っていった。
良かった。ここでいいんだ。
じゃ、俺も続きますか。
邪魔しない程度の距離でついていくと、草むらの中にぽっかりと広場があった。
広場の隅にある小さな洞窟から伸びた列は、それほど待たずに次々と入っていく。
「ここは初めてかい?」
次々と入れ替わる列を眺めていたら、横から声をかけられた。
ダンジョンから出て休憩中のパーティーから抜け出した軽装の男だ。
耳が尖っているから種族は亜人族でたぶんエルフ。
ぱっと見、戦士とも魔法使いとも思えない優男。生産系かな?
「ダンジョンどころか、戦いも先日デビューしたばかりさ。
あなたは何度か入ってるの?」
「ああ。僕らはここのところ入りっぱなしさ。時間制限があるから休憩がてらこうやって回復してるんだ。
それにしてもイベント様々さ。これだけ効率的にレベル上げできるのは助かるよ。入るのも簡単だし」
イベント仕様でダンジョン内で他の人に会わないようにできてるからこの速度。
いつもなら1組30分は待たされるとのこと。そうしないとダンジョンが切り替わらずに同じ所へ送り込まれるらしい。ふーん。そういうもんなんだ。
「それじゃあ、入るだけでも大変じゃないか」
「普通なら入っても赤字って事もあるほどさ。今回は200Gの入場料も半額だし、宝箱も敵もパーティー毎だから助かるよ」
……忘れてた。
つい、orzになる。
「ど、どうした「金持ってこなかった」」
しらーっとした空気が流れる。
うしっ。切り替えよう。そう思って立ち上がる。
「復活?」
「ま、金持ってもう一回来るわ」
残念。今回は縁がなかったということで。
採取しながらここにいる人を鑑定しまくって、初心者魔力薬(小)を使い切ったら一度帰ろうか。
皆様。情報収集は怠りませぬように。