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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
初めてのたたかい
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3-7 街中にて

 そろそろ現実でも夕方になる。

 夕食も食べたいし、接続時間制限もあと2時間ちょっとなので、10時くらいに再ダイブした方が活動できそうだ。

 ダンジョンにも惹かれるけど、それは次のダイブで試してみよう。



 ダッシュで街に戻るのにはそれほど時間がかからなかった。

 行きは、なんだかんだと戦闘や採取しながらだから時間がかかっていたけど、ただ突っ走るなら1刻も必要ないな。

 ダッシュの効果が出てると信じたい。

 アークに近づくにつれ、どんどん人が増えてきた。遠目に見ると、街中はさらににぎわっている。

 夕暮れ間近に街に着くと、一直線に東道へと向かう。

 いるかな?いたいた。


「よう!ギースト」

「おっちゃん久しぶり。コッコ肉を持ってきたよ」


 俺に気がついたコッコ焼きのおっちゃんことペルさんは、客の相手をしながらも声をかけてきてくれた。


「おっありがとよ。助かるぜ。

 そこに……なんだ、ウサギ肉もあるじゃねぇか」


 さすがだなぁ。ちょっと見ただけで何の肉かわかるなんて。

 それにしても、やっぱイベントはいいね。

 会った時とは違い、人通りが多いので作る端から売れていく。会話も焼いたり売ったりしながらだ。

 俺が持ってきた少しばかりの肉に喜んだのは、そろそろ材料が終わりそうだったらしい。

 もうすぐ夜になるし、追加で買いに行くには時間がなく、かといって早仕舞はもったいない。そんな心境だったらしい。

 コッコ肉13にウサギ肉8。この店の串焼きは、どちらの肉からも5本つくれる。多くはないが、それでも105本できるしな。

 コッコ肉と同じく、ウサギ肉もギルド売りの6.5割とさせてもらった。

 手が離せないおっちゃんだから、交渉は楽でした。

 〆て188G。まいどあり。



「良ければ手伝おうか?」


 忙しそうにしているおっちゃんが大変そうなので、つい声を掛けてしまった。

 さっきから焼いてばかりで、渡した肉に手をつけていないんだもの。


「そうだな、焼いてくれるか?ちゃちゃっと仕込んじまうから。

 ……そろそろひっくり返してくれ」


 横で仕込み作業をしながらも匂いで焼き具合がわかるのか、細かく指示が飛ぶ。

 満遍なく焼くためにこまめに回転させると良い匂いが漂う。

 炭火焼きの焼き鳥は良いよね。

 ちらっとおっちゃんの手元を見ると、コッコ肉が手早く大きめに切り分けられていた。

 次々と串に刺してから、刷毛で下タレが塗られる。あ、タレ壺につけるのは一度焼いたヤツのみか。

 一通り刷毛で塗ると、焼き台の端に置かれる。

 そのままウサギ肉の仕込みをするのか。

 うーん。おっちゃんの作業は丁寧だけどすばやいな。


「こっちのはそろそろひっくり返してくれ。

 そっちのは焼けたから、タレにつけてお客様にだな」


 おっとっと。手伝うからには、きちんとしないとな。

 タレの焦げる良い匂いの串を、再度タレにつけてからお客様に。


「1つ3Gなので、5本で15Gですね。まいど!」


 注文をこなしていると、下焼きしていたコッコ肉に火が通った。焼き台から下げてタレ壺に漬け込む。

 ん?ウサギ肉の串は手元の色が違うんだな。これなら間違えない。

 商売の知恵だな。


 次々とくる注文に従って、タレに漬け込んだ串焼きをあぶる。

 2度目のあぶりなので時間は短め。漬け込まれているから味はしっかりしていて、匂いも良い。

 こりゃ、人通りがあればいくらでも売れるな。

 夜の帳が下りる頃には、持ち込んだウサギ肉すら完売。

 助かったと追加報酬を渡されそうになった。いらないのに。

 報酬代わりに頼み込んで、いくつかのレシピと串や炭の作り方を教えてもらった。保存食系もそれなりに。

 残念ながら教えてもらったけど使えないレシピもいくつか。

 干し肉の作り方はちょっとファンタジー。干し肉魔法(仮)って初めて聞きました。基本は日陰干しらしいけど。燻製ってないのかな?

 なんにせよ、これで野営もできそうだ。帰りがけにテントを買っていくか。

 そう思い立って、おっちゃんに挨拶してから露店へ。冒険から帰ってきたプレイヤーでまだまだにぎわっている。

 これなら、テントも売ってそうだな。どうせだから大きいのを買うか。


 大きめなテントを買い込み、図書館へ行こうかと思ったけど思い直して冒険者ギルドへ。

 だって、一度図書館へ行ったから、レベル変わらないんで今行ってもそんなに読めないし。

 混雑している冒険者ギルドで魔力草と木材と薬草を買い集める。

 これで手持ち資金は6,500Gちょっと。

 魔力草はやっぱり高い。ってよく考えたら100枚も買ってるわ、俺。そりゃ金もなくなるわ。


 作業所に帰って、物の入れ替え。

 特に、袋に入っていた物を大袋に変更し、余った袋はいつでも売れるようにお金と同じ袋へ。

 作業中にお腹が空いたから、1個だけあったコッコの卵を使って卵スープを食す。うん。旨い。

 MPがもったいないので、買ってきた薬草と魔力草を、それぞれ薬に。

 毒草も消費して、初心者回復薬(小)100と初心者魔力薬(中)100を作成。もっと魔力草を買っとけば、(大)が作れたのに。失敗した。

 まあ、いいや。

 リアルで夕食を食べてたり風呂に入ったりして、また夜に再ダイブするか。

 ではログアウト。

戦闘パートよりも、街中の方が筆が進む気がします。

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