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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界

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14-15

「やっぱり、レベル上げてると違うなぁ」

「そうですね。基本的なステータスがかなり上がりますから。動き一つとっても、早さも正確さも向上しますね」

「スキルがなくても、これだけのものが作れるんだから……」

「やりすぎである。まったく、やつらは加減を知らんである」

「……はぁ。貴方が言いますか……」


 ん、まあ、すごい。さすが、有名チーム『名無し』のメンバーだ。関連スキル持ちのジンがガンガン伐採するのは良いとして、クロが魔法で、ジーンが剣で次々に斬り倒していく。ミラは枝葉を落としたり、加工に飛び回ってる。【木工】とか【伐採】の範疇?違いそうだな。たぶん、力任せでやってるだけだぞ。あれじゃ、万が一技術で習得しても、たいして経験値貯まらないんじゃないかな?

 MPが切れたのか一番最初に戻ってきたクロが、呆れるほどの森林破壊風景を他人事のように評価するのを聞いて、シロが呆れた声を出す。

 ねぇ、シロ。君だって、クロのことをとやかく言えないでしょ。辻ヒールしてるだけじゃなかったの?次から次へと湧いてくるアンデッドを、それも、俺が経験した数よりも多いはずのやつらを、どうやってこの短時間で倒したのさ。やりすぎ、加減を知らないのは君も同じだと思いますよ。

 類は友を呼ぶ。

 なんつーか、突き抜けたヤツの周りにいるのは、やっぱりどこか突き抜けてるんだなと思いました。

 真似なんかできないので、俺は俺にできることをしよう。俺は、今ある素材で生産活動。MPが切れたら、さっきまではジン相手に訓練してもらってたけど、シロとかとやっても俺には相当な訓練になりそうだから、次からはそうしようか。

 なんて感じで考えてたら、寄ってきたクロが話しかけてきた。暇なんだろう。


「ところで、ギースト殿。【言語】のレベルは上げているであるか?」

「あー。最近図書館に行ってないな。進化するかしないか程度だったと思うけど。

 クロは結構上げたんだろ?」

「聞いて驚くである。実は……」

「溜めるなぁ」

「じゃじゃーん。レベル60を超えたである。新たな街の図書館のおかげである」

「進化させてないのか?」

「そこは迷ったのであるが、実は、ここのところ技術でも【言語】を習得したこともあり、戦闘中は外すことを考えると進化させ辛いのである」

「……進化させると外せなくなるのか!」

「同じスキルとは判断されなくなるようである。もちろん、技術も進化させれば外せるのであるが、それもなかなか大変なのである」

「手ぇ広げると大変だなぁ」

「進化だけでなく派生先も考えると選択肢が多くて迷っているというのが本当のところであるがな」

「【言語】に派生が?古代語とか方言とか?」

「【古代語】に【上級言語】、【精霊文字】や【魔術文字】、【エルフ語】や【ドワーフ語】などもあるのである。これが、もう、楽しくて」


 目が輝いてますな。なんと、この世界内の言語は英語とフランス語を基本に、ドイツ語などを適当に混ぜてるとのこと。混ぜ方に法則は見つかってないみたいだけど、文字が違うのと、母音と子音の数を増やしているらしく、35文字で表現されていたので、解析までそれなりに時間がかかったらしい。

 スキルレベルが高くなると本を読んでもほとんど経験値が得られず、主に“模写”することでわずかでも稼ぐことができるんだとか。何度か間違えずに写せると経験値がなくなるらしく、このままでは上がっても60は超えられないと思っていたところ、商業都市テツエンの私設図書館に初邂逅の本が多数あって、今テンションが上がっているとのこと。

 アーク図書館の本は、閲覧制限があるもの以外は複数模写し、なぜか俺の書庫へ納品されている。セバンスが買ってくれているらしい。おかげで、ちょっと手の空いた時に読むための本が常に作業所に置かれている。読み終わると、いつの間にか違う本になっているのがすごいというか、怖い。なんでわかるんだろ?

 技術の方もレベルアップさせるために、最近は手作業でも模写しているらしく、自分の中で納得いく写本になったらうちに売りに来るんだとか。そちらは保存用として購入し、大切に保護されている。

 ……なんで、そんな話を俺(主人)がクロ(客)から聞くんだ?はい。俺がセバンスに聞かないからですね。つーか、報告されたけど聞き流していた可能性大。まあ、そこらも含めて任せてるから無問題だけどね。


「そうなると、今は技術のレベルも上げて【魔術文字】狙いですか、『魔術狂』殿?」

「世界各地に残る謎を解明する手立てと言われる【古代語】、精霊魔法の基礎【精霊文字】、各部族の特殊魔法の手掛かりになる言語と選択肢が多くて迷ってるである。

 が、【魔術文字】を学んで、スキルで覚えた各魔術を外せるようにするのが、今後のことを考えると一番だとはわかっているである」

「わかっていても」

「やめられない、である。今は、【言語】のレベル上げが楽しいのである。

 写本の作成が終わって新しい本が見つからないようであれば、仕方なし【魔術文字】に進化させるである」

「ぜいたくな悩みだな」

「やりたいことをやりたいようにするのには、色々と大変なのである。しかし、我にとって、魔術の探求こそ冒険なれば」

「楽しそうだな」

「もちろんである。現実ではできない、魔術を追求できることが何よりも嬉しいである」


 少しばかり羨ましくなったが……よく考えたら、自分も現実でできないことを追求してるのは俺もだった。……俺も、同じような表情をしているのだろうか。何よりも楽しそうな表情を。

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