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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界
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14-12

「……石投げても、それなりにスケルトン倒せるんだな」

「ギーストの狙いは良いと思いますよ。上手に頭蓋骨を飛ばしてます。あ、ほら。消えましたよ。後続に踏まれたんでしょう」

「ゾンビに効きが悪いからなぁ」

「そこは、二人に任せましょう。“ブレス”にバフ付きです。当たるを幸いでしょう」

「あーあ。時間があれば罠とか逆茂木作ったんだけど。あれにも“ブレス”効果あるって知ってた?」

「知ってる?それだけじゃなくて、実は、落とし穴にもかけられるんだよ。適当だよね?」

「バフも?」

「バフも。

 だから、罠さえ作れればソロでも簡単にスキルレベル上げができるんだよ。割とよく知られた小ネタね」

「“ブレス”も似たようなものですが、実際に使われた方が経験値が貯まると言われています。だから、こういったイベントの参加は欠かせません。自分がわざとかかるのもあれですから」


 みんな情報収集に余念がないな。自分が攻略するなら積極的に調べても良いんだけど、まったりと、この世界観を楽しむためにも、今のやり方は変えたくない。えっ?うだうだ言ってるのはもちろん、羨ましい部分があるからだ。人間、選択した後に、残りの選択肢について後悔するもんなのさ。

 まあ、効率的に、良い情報を集めているプレイヤーは、二陣、三陣など、いつ入ってきたかに関わらず、トップ勢になっている。成長速度が段違いだからな。ただ、そこから先に行けるかどうかはその人次第。生産職だって、トップ層の入れ替わりは結構あるんだぜ。

 それにしても、グリフとサラムの動きを見ていると、改めて自分が戦闘メインにしなくてよかったと思うわ。無理です、あの動き。スキルのサポートがあったってできそうもない。

 俺にできるのは、MP回復を待ちながら石を投げ、薬やら何やらを作り、石を投げることだけだ。会話しながらも補助魔術を使い分けるユニックやチュパにもなれないし、なろうとも思わない。今は生産職が本当に楽しいから。


「あ、ゴブリン発見!ギースト、石で退治、退治」

「チュパの方が威力があるでしょ。やらないの?」

「あっちの奥にアンデッドの上位種が見え隠れしてるの。あれ狙おうかと思って。二人にばっかり戦わせるのもちょっと、ね」

「二人はっ。戦いたいんじゃっ。ないかなっ」

「手ごたえがないので戦闘と言うよりも作業になってますからね。あそこの上位種でもあの数ではあまり手ごわい敵とは言えませんから、倒してしまって良いと思いますよ。

 できればそれ以外もたくさん倒してもらえると……」

「短時間でも眠れれば嬉しいもんね。わかった」

「っよし!

 ゴブリンも倒したし、俺もそっちを再開するよ」


 後衛となった三人が本格的に投石で参戦したからか、かなり余裕をもってアンデッドも、追加できたゴブリンも退治できた。ユニックが回復させる必要性も、回復薬を使用することもなかった。辺りが明るくなるほどの時間もかかってないから、今からならちょっとくらい寝られるんじゃないかな?

 グリフ達もそう感じたらしく、ドロップアイテム拾いもそこそこに防壁内で睡眠をとることにした。ゲーム内とは言え、寝不足は作業効率を落とすからね。外に出しっぱなしのアイテムなどもほったらかして、寝具にくるまり次第、意識が途切れた。……ああ、鳴子設置しなかった。




 はい、無事でした。ちょっと外が明るくなったので目が覚め、テントの外に出たら昨日の惨状が目に入る。まあ、血やらなにやらはないので、放置されているドロップが目に付くくらいだけど。ちなみに、鳴子の設置はグリフ達がしてくれてたみたい。ありがたやありがたや。

 ドロップアイテムは防壁の外にあるから拾いに行けない。まずは、簡単に朝食の用意だ。残っていた熾火を使って焚火にする。簡単な竈に鍋を設置して“クリエイトウォータ”。具材は持ち込んだ肉と野菜。香りづけの野草とキノコ類はここで採れた物。

 作ってあった大き目な木の器に小麦粉を入れ、少量の水で練る。そこに香草を混ぜ込んで、木の串に巻き付けて焚火のそばに刺す。焚火の熱でナンもどきが出来上がるまでにみんなを起こす。さすが、旅慣れているだけあって、すぐに起きて、朝食ができていることを喜んでくれた。

 そのあとは、俺は引きこもった。グリフ達は近場の採取と、特殊攻撃方面への探索――別名、ドロップ集め――に精を出して素材を集めてくれた。チュパはこちらに残って、俺にステータスアップ系のバフと、成功率アップのバフをかけ続けてくれた。空いた時間はちょこちょこと何か作っていたけれど、見せてはくれなかった。残念。

 俺が作ったのは、主に肥料。ゴブの牙や骨が大量にあったからね。MP回復待ちの間に、チュパと一緒に畑を耕してその辺の雑草やいくつか薬草類を植えてみた。まあ、単なるお遊びだけど、万が一成長したら面白い。


「時間制限があるから結果わからないでしょ」

「……あっ」


 良いんだ良いんだ。家に戻ったら庭の畑を広げて試すから。

 そこそこの数集まったぼろい武器類は【鍛冶】のレベル上げに使った。手入れをして、修理をして、打ち直してと、まあ、完成品の質を考えなければ数回は手を入れられるから。その分、スキル経験値が貯まるのだ。

 毛皮とかが手に入っていたら他のスキルも試すんだけど、今の手持ちだと【鍛冶】【薬剤】【木工】【料理】が精々。ま、それでも十分価値あるんだけどね。

 時間終了まで作り続けて、今回の冒険は終了。幻獣旅団は、また別のプレイヤーと参加するらしい。そうやって、プレーの幅を広げていくんだと。さすがだな。

 ちなみに、今回は前回よりも獲得ポイントは多かったが、チームでも個人でもランキングには、ちらりともかすりませんでした。まる。

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