表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界
224/236

14-10

 ボスの最後はあっけなかった。こちらのせん滅速度に合わせてくれたのか、無理せず防御重視で戦っていたユニックとサラムがチマチマとホブゴブリンソルジャーのHPを削る。二人に意識を持って行かれていたボスの太い首を、後ろからグリフが跳ね飛ばして終了。

 こっちは全雑魚ゴブを倒して投網を回収していたので、ドロップも拾わず観戦状態で楽しませていただきました。横からの支援も必要ないくらいにあっさりとボスを倒した三人が、ドロップした古ぼけた王冠をこちらに投げてきた。本物の金なら高価だろうけど、ゴブリン程度がそんなの持ってっこないし、素材位にしかならん代物だろう。思わず受け止めてしまったが、そのまま首をかしげる。三人ともインベントリが満タンって訳じゃないだろ?

 いぶかし気な俺の表情を見て、三人が笑う。


「それがここのクリアアイテム。誰か一人でも入手すると全員にクリアポイントが入るんだ」

「あ、加工しても、なんなら捨ててもポイントは入るぞ。すでに検証済み」

「残念ながら金ではなく、偽金です。黄光鉱石で作られてます。それだと質が悪すぎて効果が低いですが、加工すると暗闇との親和性や【夜目】のスキルアップなどが付きます」

「柔らかめの金属だけど落ち着いた色だから、こじゃれた感じのアクセサリーが作れると高ポイント。その量なら人数分作れるでしょ?」

「……失敗込みでもなんとかなるかな?最悪、ピンか紐止めにするさ」

「頼んだ。あると無いじゃ、夜の大変さが違うからな」

「どう見ても、無くても問題ないだろ?一撃だって貰ってない」

「敵の動きが制限される洞窟と、どこからでも迫れる広場じゃ戦い方も変わってくるさ。いつもより敵数も多くなるし」

「ゴブリンはほぼ全滅したと思うけどね。いても数匹?」

「そうなると、夜襲は二十もいかないか。さっさと帰ってアンデッドを削るか」

「そうしましょう。これならアンデッドの襲撃を最大にもできそうですね」

「無理はしたくないな。防衛施設もきちんと作りたい」

「ったって、どうせ伐った木で柵か壁作って、時間があれば堀でも掘ってお終いだろ?アンデッド方向以外は簡単で十分だし」

「簡単に作って、時間があれば強化しましょう。効率を考えればその方が良いでしょう」

「ほら。話がまとまったなら行くぞ」

「ほーい」


 まあ、何があっても俺は生産活動するだけだから良いんだけどね?相談中も、拾った武器防具のメンテを【鍛冶】のスキルアーツでしてたし。

 ドロップアイテムを一通り拾ってから広間を出る。時間があれば採掘ができないか試したいところだけど、たぶん誰か既にやってて、かつ、何も手に入らなかったんだろうなとは推測できる。『幻獣旅団』が誰もやろうとしてないからね。

 帰りの洞窟内は、特に何も襲ってこなかった。拍子抜けだ。

 ただまあ、自分達の足音しか響かない洞窟ってのも不気味なもんだ。来た時よりも、暗闇から敵が襲ってきそうな気がしてしまう。細っこい脇道、特に、来るときは分かれ道に思えた場所なんかは、逆側からだと通り過ぎる瞬間に視界の隅に穴が現れるのでビクッとなる。噂レベルだけど、奥に入るとアイテムや鉱石があることがあるっぽい。ただ、内容や質は微妙なので特に進んで入りたいもんじゃないとか。

 洞窟を出る前に、グリフ達が足を止めた。おもむろに足元の石を拾うと、出口へと放り投げる。


「……待ち伏せはなし、かな?念のため、慎重に出よう。

 俺が出て、十数えたら来てくれ」

「気を付けろ」


 もう一度石を投げ、続けて走り出すグリフ。俺達は油断なくグリフへの襲撃がないか身構えていた。が、十を数えても特になかったので小走りで外へと出る。もちろん、グリフは油断なくこちらを向いて構えてくれていた。

 一番危険な洞窟への出入りは無事済んだ。この洞窟方面の攻略は終わったと考えていいだろう。全員が無言で頷き合い、早速にキャンプ地へと戻ることにした。基本襲撃がないと判断して、常時小走りで。時々ある野草や薬草類の群生地では息を整える休憩を兼ねて採取を。そうして、キャンプ地へと戻ったころには全員のインベントリもほぼいっぱいになっていた。


「まずアンデッド?」

「いや、数本伐採していこう。必要分を大体の場所においておけば、最悪、加工する時間がなくっても防壁に使える。

 その間に、ギーストはドロップとか加工してくれるか?」

「了解。回復とか、必要そうなものを優先して作るよ」

「アンデッド対策の魔術は私がやりますから、MPのほとんどは使ってもらって大丈夫ですよ」

「じゃ、数と時間を優先するよ。採取品とかこの辺りに置いてって。できるのからやるから」

「丸太を板にはできないが、枝打ちくらいはできるぜ」

「杭があれば柵の下準備はできるよ」

「……転がらないように丸太の上下を削って重ねれば十分に防壁になるでしょ。それなら私達でもできるんじゃない?」

「あ、時間あるならそこの肥料を畑に撒いて。水やりもお願い」

「よしっ。

 丸太運びと水やりやったらアンデッド方面に行こうぜ。残りは帰ってきてからで」

「そうだな。方針が決まったら動くか。時間がもったいない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ