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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界
223/236

14-9

 曲がり角から飛び出しながら、最初に投げたのは笑い薬と混乱薬。どっちもキャンプ地周りで採取ができた。でも、笑い茸も混乱草も群生してなくって、点在してたんだよな。自然に考えると群生しそうなんだけど、イベントフィールドだからかな?

 簡易な行動阻害系は、毒薬や麻痺薬よりも効きやすいってことだから、それを優先して投げている。本来ならこっちへと攻めてくるはずのゴブリン達も、立て続けに投げられる薬によって、手前のゴブは右往左往するばかり。後衛はどっしり構えているか、下っ端が邪魔でこちらへと寄ってこれていない。

 これはチャンス!

 罹れば効果が高い毒薬や麻痺薬、それと、とっておきのこれ!蔦で作った投網!

 全筋力と【投擲】レベル、全身のばねを使って投げた投網は、右往左往するモブゴブの頭上をなんとか超えることができた。まだまともだったこちらへと向かって来ようとしていたゴブリン――多分上位種――の半数を絡めとる。それを見たグリフ達が、素早く広間へと入っていった。……ふぅ。一仕事終わり。次は、掃討戦だ!

 数歩遅れて、チュパと一緒に広間へと足を踏み入れた。グリフは右、ユニックとサラムは左方向へと、投網を避けて進んでいる。手の届く範囲を手早く倒しつつも、奥に構えるボスゴブリン――ここのボスはホブゴブリンソルジャーとのこと――へと歩みを進めている。


「素早いわぁ。さすが、網から出てきそうな個体まで倒してくれてるし」

「今回は、ギーストが雑魚をまとめてくれたから簡単に終わりそうね。でも、いつもより敵数が多いかな。人数増えたからか、ここに残敵が全部集まってるのかも。うーん、こうやってても暇だし……遠距離攻撃とかMP大丈夫?」

「【投擲】は問題ない……が、今投げれるのは足元の石くらいかな。MPはまだあるけど“ウォータボール”の乱発は難しそうだな。帰りもあるし」

「まあ、念のためにある程度は残しておいた方が良いよ。あ、魔力回復薬(小)ならあるけど」

「それはさすがにそっちが使って。ボスにみんなが近づくか、ちょっと手間取ってるようなら横からちょっかいかける位のMPはあるから。

 よっと」

「ナイスコントロール!」

「こんだけ、ひしめいてたら、当たるでっしょ!チュパも投げなよ。【投擲】生えるかもよ?」

「あ、確かに。貸して貸して。

 えいっ!」

「……十分に攻撃として通用するよ」

「バフのおかげね」


 今回拾った武器もあるけど、そっちは【鍛冶】用にとっておくことは事前にみんなで決めてあるから、投げられるのは落ちてる石くらい。まあ、洞窟内だからたくさん落ちてるし、当たると痛そうだ。

 投げると、ぶつけられたゴブリンたちものたうち回り、見た感じ、ダメージもでかいみたい。暇そうなチュパに渡したら、そりゃまあ見事なフォームで投げられましたですはい。俺が投げた倍くらいの威力。のたうち回るっていうか、ピクピクって痙攣してる。

 思わず目をそらすと、グリフ達は快進撃。装備がしっかりとしたゴブリンソルジャーや一回り大きなホブゴブリン相手でも、ほとんど手間取ることなく倒している。今のところは、手伝いもいらなそうだけど念のため。


「“ウォータボール”

 からの、っと。よしっ!」

「じゃあ、こっちも。っと」

「……デバフ系も投げとくか。使い道ないし」


 売買金額があまり高くない毒薬とかのデバフ系アイテムも併せて投げる。入れ物の関係でちょっと山なりになったけど、グリフの方を向いていたボスにぶつけることができた。成果は、こちらを一睨みさせることができたくらい。実質的には効果なしだけど、意欲をそぐことはできたかな?

 “ウォータボール”はボスに、石はゴブリンに、と目標を分けて、フレンドリーファイヤーを回避。俺の【投擲】レベルじゃ、まだまだ外れることがあるからね。チュパ?いやもう、リアルチートを傍から見てる気分。絶対に、技術で【投擲】取ったわ。

 順調に投網内のゴブリンが減り、後ろからのゴブリンおかわりの気配もないので、けっこう余裕をもって戦いを見物できている。うーん。やっぱり速さって重要なファクターだな。昔から小説とかで速さ特化型のネタがあるけど、こう見てると理解できる。

 こん棒や錆びた剣を振りかざして迫ってくる敵に対し、時に振り下ろされる前に腹を薙ぎ、時に攻撃を避けてから首を狩る。まるで向かってくるゴブリンの動きがわかっているのか危なげないし、身体の動き一つ一つの速さが一段上だから先手を取られても2手目は許していない。防具を装備しているやつ相手なら、腕や首、足などのむき出しの部分を軽やかに切り裂いている。

 特にグリフがすごい。重そうなこん棒を持ったホブゴブリンが重量級の振り下ろしを繰り出している間に太ももと肩を、再度振り上げる前に無防備な腕を傷つけ、痛みに停滞した隙にとどめを刺している。さすがに、二人組班に比べたらせん滅速度は遅いけど。


「こっちのゴブリンを全滅させるよりも、あっちが早くないか?ほら、そろそろサラム達がボスと戦うぞ」

「もう、壁になる部下が居なくなったね。いつもより早いかな?これなら、キャンプ地の整備をしつつ、アンデッドもそれなりに倒せそう」

「……おしゃべりしながらでその球速ですか。“ウォータボール”」

「もうゴブリンも少ないし、この網インベントリに入る?」

「……敵が絡んでると無理っぽい。使用中のアイテムは手で持ってないとダメなのかも」

「じゃ、どんどん倒しますか。向こうは、グリフが雑魚倒せば挟み撃ちになるから即終わっちゃうし」

「やべっ。見てる場合じゃなかった!」

「大丈夫。終わったら手伝ってくれるから」

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