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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界
222/236

14-8

 左手にある狭い横穴に盾を向けたまま通り過ぎ……っと。ガツンと衝撃があった。またゴブリンか。二撃目に合わせて盾を押しやり、シールドバッシュもどき。小柄なゴブリンは簡単にバランスを崩す。

 狭い洞窟内だから簡単には剣を振れない。なので、突く。

 避けにくい胴を狙えば、俺にだって十分当てられるし、当たりさえすれば倒すことだってできる。もうすでに片手の数は倒したからな。慣れたもんである。……俺の中では。

 グリフはもとより、火魔術が得意なサラムも、回復魔術を使うユニックも近接戦闘はかなりのもの。まあ、三人で戦い続けてきたチームだし、個人戦闘もお手の物だよな。それに、チュパがまあ、すごい。

 いや、バフはすごいんだよ?バフのおかげで俺だってゴブリンと対等以上に戦えている。まだゲームとしては序盤のはずなのにこの効果だもの、引っ張りだこ間違いなしのプレースタイルだろう。特に、生産系やプレイヤースキルにそこまで自信がない層には感謝されるに違いない。

 でもさ、それ以上に、本人がやべぇ。ほら、今も。なんだありゃ?普通のプレイヤーにはあれは無理だろ?少なくとも、俺には無理だ。


「チュパ、見えてんの?」

「ん?何が?」

「……ほら、それ。ゴブリンの攻撃を軽くいなしてるじゃん」

「あ、そういうこと?音聞いてるのよ。風切り音とか、足音とか。後は気配ね」

「すごいもんだな」

「あれ?さっきギーストだってやったじゃん。盾の向こうのゴブリンを」

「そりゃ、攻撃受けたからそこにいるってわかるさ」

「同じよ。慣れると、盾の向こうでどんな動きをしているのかもわかるようになるの」

「「「「……(なるわけあるか)」」」」


 今は力も速度も、技術だって他のメンツの足元にも及ばないチュパだけど、レベルやらが追い付いたら一番強いのかもな。バフもあるし。他の三人もそれがわかっている表情だ。暗闇の中でもそれがわかる。呆れたような半笑い。

 つーか、俺からしたらあんたらも同じくらい変だからな?複数方向へスキルを伸ばしているのに、たった三人でトップグループとそん色ない結果を出してるんだから。リアルスキルがすごすぎ。

 うーん。やっぱ、それなりの戦闘力がないとダメなのかな?……でも、ゲームを楽しむだけなら今でも十分だと思う。これからも、不自由でない程度にレベルが上がっていれば大丈夫かな?

 【短剣】もまだまだ進化は先だけど、初心者の域は超えてきた。戦闘に使うようになったら【水魔術】もレベルが上がるになったし、他の技術やスキルもレベルが上がればステータスにプラスがある。だから、俺でも戦える。

 おもむろに、横穴に向けて魔術を放つ。


「“ウォータボール”」

「おっ。先制攻撃とはやるなぁ。レベルも高めだから当たれば一発だもんな」

「ドロップを気にしなければ、これもありだと思って」

「良いんじゃね?別にノーマルゴブのドロップなんて惜しくないだろ」

「経験値もたかがしてれますし、邪魔だから倒しているだけですし」

「夜はアンデッドメインにしたいからな。手早くここをクリアするぞ!敵を見逃すなよ!」

「あ、襲ってきた奴をきちんと倒せば問題ねぇから。気楽に、な」

「はいよ」


 時々、息抜きを兼ねた雑談をしながらも、順調な五人の洞窟探索が続く。時折横穴からこんにちはするのが、ノーマルのゴブリンから鎧付き、大きく、フル装備と進化したころ、広めの通路でグリフが皆を集めた。

 丁度良い機会なので、全員が回復薬と魔力回復薬を服用する。みんなは(小)なのに、チュパだけ魔力回復薬(大)である。やっぱり、MP管理が厳しいみたいだ。あ、俺?減ってるのは集中力くらいです。ほとんど周りのみんなが倒してくれたんで。

 ほぼ、最初の一撃を防御しているだけでした。自力で倒せたのはノーマルゴブまで。鎧着てると、俺の攻撃じゃ簡単には死なないんだよね。武器も短剣だし。


「そこ曲がったら大広間だ。それなりに強いやつらが待ち構えてるはずだ」

「そうだな。ここまでのやつらも強くなってたし、この分じゃ油断できないな」

「一人増えただけでこれですからね。フルだとどれくらいの大変さですかね」

「それをソロで簡単にクリアする人がいるんだからすごいよね」

「でも、うちらも消耗品ほとんど使ってないからな。そこまで差はないだろ?」

「大差ありますよ。そう思いましょう。目標は高い方が良いですから」

「……はぁ。ユニックは意外と戦闘狂だよね。

 よし。ギースト、もう一本魔力回復薬(大)頂戴。飲んだらバフかけちゃうから」

「……その前にさ、ちょっと相談」


 俺でもできる戦闘、いや、俺にしかできない戦闘方法で活躍したい。今のところ、こうやって不意打ち的に仕掛けるか距離のあるときにしか使えない方法だけど、そのうち通常戦闘でもできるようにしてやるぞ。そう思いながら、簡単にだけど説明といくつかの薬剤を取り出す。

 ……特に何の問題もなく了承されました。つーか、戦い方としては有名なの?王道?デバフ系やダメージ系の生産アイテム(主に薬)を投げまくるのって?え?生産職なら当たり前?【投擲】持ってるなら拾った武器防具も投げるべきだって?

 知るかそんなの!せっかく、ミル達とのイベントで実践したことで、自分なりの良い感じの戦闘方法が確立できたと思ってたのに。……まあ、いいや。効果的なら、俺だって役に立つんだったら誰が考えた方法だって構わない。せっかくのイベントだ。思う存分活躍してやろう。

 楽しむんだ!

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