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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界
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14-3

 さて、またまた来ましたこの広場。うーん。前回よりも少し森が近い。人数が上限の六人よりも一人少ないからだろう。

 『幻獣旅団』の面々は、素早く周囲を確認した後、今までのようにテントを南の大木の下ではなく、西側へと設置した。これは事前の打ち合わせの通りだ。それにしても、行動が素早い。この広場は大体同じような形だけどランダム性もあるので、きちんと状況判断しないと良いテントの場所とかは確定難しいのに。

 何気なく場所を選んでいるように見えて、守りやすく、過ごしやすい場所が選ばれている。風を遮る木があり、凸凹や角度ある地面は避け、テントの入り口から広場を見通せるように。


「慣れてるなぁ。テント設置も早いし。俺のやることがない」

「まあ、護衛依頼を結構受けたんでな。散々叩き込まれた」

「そこのスペースなら各道具を出せるだろ?あとで、木の椅子でも作らぁ」

「私たちが作業するときは、あそこの場所でやりますから気にしないでください」

「前回よりちょっと広いんで良いですね。次は六人集めませんか?」

「攻略メインでやってみても面白いかもな」

「それじゃあ、俺は役に立たんなぁ。攻略メインのメンバーだと、魔力回復薬以外に消費するアイテムもないだろ?」

「……その辺りは参加者によるな。雑魚相手だとノーダメで危なげなく戦う奴らも多いけど、速度重視でダメージは回復すれば良いってのもいるからな」

「インベントリを圧迫されるけど、マップも広いから攻略には速度も必要だし、まあ、どっちもどっちだな」

「ドロップも魅力がないし、集める意義があまりないよね。ポイントになるのは所持したものや加工した分だけだし」

「攻略ランキングを狙ってない限り関係ないな、その辺りは。ギーストは狙ってる……訳ないよな」

「作業する時間が十分に作れるイベントって認識だよね、生産系にとっては。ドロップよりも、採取の方が加工用の素材も豊富だし。あ、でもお願いしたのはよろしく!」

「武器系だよな。溶かしてインゴットにするんだっけ?どうせ牙なんかは価値が低いんだから、武具メインで拾ってくるさ」

「途中で余裕があれば、薬草とかもお願いね」

「はいはーい。了解しました!」

「よし!じゃあ行ってくる。洞窟前まで行ったら戻ってくるから。それまではなんか作業してて。敵も来ないし」


 早速に持ち込んだ素材で作成した大量の魔力回復薬を持って、『幻獣旅団』はゴブリン退治へと向かった。俺は、【木工】を活用して木を切ることにした。【斧】系統や【伐採】のスキルがないからミル・クレープよりも数段落ちるが、【木工】があるだけでもスピードアップするし。必要最低限を伐ったら、残りはみんなに任せよう。

 木を三本も伐り倒すと、魔力回復薬を作るときに消費したMPは全回復していた。うわぁ結構時間かかったな。MPの自然回復分がもったいないので、切っただけの木材を材木へと加工する。山になった枝葉だって薪や食器類、罠の一部になるので集めておこう。そんなことをしている間に、ちょこちょこと生えている薬草や食べられる野草を採取。きのこもいくつか見つかったのが嬉しい。これで夕食は豪華になるぞ。

 うーん。【鑑定】様様だね。初日は広場に敵が現れないって検証結果らしいので、気にせず作業できるので助かるわぁ。ま、今やるべきは、広場防衛の下準備と持ち込んだ素材(の残り)の加工だね。それと、ほぼすべての物がイベントアイテムだから“簡易鑑定”することで【鑑定】のレベルアップが捗る。うんうん。また大量にレベルアップの予感。



 ……みんな遅いなぁ。よくよく考えたら、薬系は一気に作れるから、素材を大量に持ち込んでも作業に必要な時間は短い。これなら毛皮とかも持ち込みで……ダメだな。利用価値が低すぎる。もっとスキルのレベルアップさせておけばよかった。

 つーことで、ここの素材で作業しよう。森の奥深くで採取?そんなことはしませんよ。浅い所はさっきほとんど採っちゃったけど、木材を作る過程で余った枝が今必要な素材。こいつをナイフなどで加工。今回は単なる食器類だけではなく、細かい細工をした芸術品を作成だ!カップの外側に花の模様や波……に見えるかなぁ、これ。あ、最初に絵を描いてそれに合わせて掘れば良いのか!いわゆる、下絵を付けるってやつだ。焚火の灰をインク代わりにすれば大丈夫そうだ。



 ……ぼくにげいじゅつせいなんてなかったんや。


 ん。ふぅ。よし、切り替えた!ここでスキルが大活躍。ガンガン作れば、ガンガンレベル上がって、作品の完成度も上がるはずだ。そこからは、こけしを作ったり、鳥を彫ったり、躍動感のある兎を作ったり。もちろん、熊も作りましたよ。どれもこれも、薪にしかならん品質だが。

 もうすぐ暗くなるから、そろそろみんな帰ってくるだろう。簡易炉を設置して、武器類のドロップを鋳潰す準備もしておこう。それに、料理。下ごしらえをして、インベントリへと入れておけば汚れないし、便利。柵の設置は明日で充分だな。後は、時間の許す限り、伐採と木材への加工。つまりは広場の拡張と、下草狩りと言う名の採取。使えない草類は肥料にしちゃえば無駄にならないし。

 うーん。少し攻略を進めて、森に行ける東門を突破できるようにしようかな?あっちはむやみやたらに伐採はできないだろうけど、採取はかなりできそうだし。なんかちょっと夢が広がるわ。

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