13-22
これにて、13章の本編はお終いです。
活動報告で行っているアンケートは、登場人物掲載の翌日に締め切らせていただきます。
よろしくお願いします。
「はい。そろそろお終いね。お疲れさまでした」
「最後のロックストーンははずれだったね。石の欠片を落とされてもねぇ」
「いい加減眠いよね。撒いたゴブリンの牙回収もきつかったけど、何気に罠回収が地獄だった」
「壊れてても、下手したらゴブリンの牙より価値があるってのは反則よね。まあ、苦労には比例してるけど。
せっかくだから回収して直したけど、インベントリ入れる?」
「インベントリの占領具合を考えると、袋に入れた牙類の方がよっぽどポイントが高いと思うな。袋がなければ、手に入った皮で即席の作れば良いし」
「そうしましょ。もうひと頑張りね。
ギースト、手助け要る?」
「種類ごとにまとめてくれたでしょ。じゃあ、大丈夫。
あ、袋はいくつあっても問題ないから、皮で袋作れる人がいるなら助かるが」
「さすがに特殊なアイテムはドロップしてないわね。もったいないからできるだけ持ちましょ」
「あー、こっち、ご飯作るから手が空いてる人お願い」
「……だってさ」
「私が行くわ。どうせポイント数はたかが知れてるもの。食べられる物は食べてしまいましょ」
いくつかあった肉系のドロップと残しておいた野草系で作られた炒め物とパンが早めの昼食。食べながら、今回のイベントの感想を言い合う。このイベントは期間内なら何回でも挑戦できるから、いい成績を取るために情報のブラッシュアップは欠かせない。
ま、俺には関係ないんだが、考察するのも楽しかったと語り合うのも、参加した者のだいご味。楽しい時間ではある。
それにしても、今回の夜の襲撃はきついと思ったけれど、数自体はそこまでじゃなかった。半分も行かないくらい。一番多かったのがゴブリン系で、次はアンデット、昆虫、隠れる系の順番。昼間に倒した数が多い順でもある。推測でしかないが、昼間戦った方面の魔物が襲ってくる設定なんだろう。なんで初日はそれがなかったのかは不明だが、初心者向けと考えると、野営を経験させたいからなのかもしれないな。
昼間との大きな違いは、数以外にもあった。夜専用の魔物だ。肌の色が濃く、闇に紛れやすいナイトゴブリン。体毛が闇色に近いナイトドッグ。月の光を受けるとキラキラと幻想的に光る幻惑蝶。闇色烏やスリープモス、木尺取、草もどき、フォレストスネークにモスキート。名前だけでなんとなるわかるものもいれば、聞いただけじゃわからないのもいる。俺はドロップアイテムから名前を知っただけで、実物を見てないのが何とも悔やまれる。
まあ、持ち帰れないから、毛皮系は鞣して様々に加工を試す。爪やら羽やらは武器に使えそうなのは武器に、難しそうなのは工芸品や装飾品にしてみる。まあ、結構な数失敗したけれど、ある程度は満足いく物ができた。
『幻惑のワッペン』 幻惑蝶の羽を使ったワッペン。見る者の目を幻惑させることがある
『闇烏』 闇色烏の羽を使った矢。矢じりにナイトドッグの牙を使ったことで闇への親和性に富む
『森蛇皮のバッグ』 落ち着いた色合いの蛇皮バッグ
『ナイトマント』 タイトドッグの毛皮を鞣したマント。裏面にはフォレストスネークの皮が用いられており、リバーシブルに使える
この辺りは成功作品と言える。水をはじく木尺取の皮やねばつく体液、スリープモスの鱗粉なんかは数が少なくて成功作品まで到達できなかったのが本当に残念だ。
「結構たくさん作りましたね。持って帰れないのが残念なくらいです」
「ああ。今まで見たこともない素材ばかりだったからな。そっちもなかなか良さそうなのがあるじゃないか」
「一本だけ槍肌樹が丸太になってたんですよ。中の木自体は普通の木に近いんですけど、皮が槍の穂先にできるぐらいに硬く尖ってて。でもしなりもあるんですよね。
今回は槍の穂先に使ってみましたけど、木の皮鎧、特にスケイルメイルっぽいのが作れそうなんで、ちょっと先が楽しみです」
「どうせ、イベント中に何回か参加するんだろ?繰り返しやってみれば良いんじゃないかな?」
「せっかく長時間ゲームができる機会なんで、スキルとかも伸ばしたいってみんなと話してるんです。師匠もどうですか?」
「タイミングがあったらお願いするよ。
でも、スキルレベル上げか。有りだな。なんなら、ソロで参加してひたすら生産するとかでも良いかもな」
「そこまでストイックにはしませんよ。楽しんでこそですから」
「明日のダイブが楽しみ。どこまで上がったかな?」
「レンジャー系の訓練には最適の森。また来たい」
「私はアンデットがこれだけ出てくれると“ブレス”がたくさん使えるので助かりますわ。これなら、イベントが終わるころには“ターンアンデット”や“ホーリープレイス”が使えるようになるかもしれませんね」
「アマは気が早いな。でも、本当、次が楽しみだな。
ギースト。お世話になりました。君ならいつでも歓迎するよ。また必要なら声をかけてくれ」
「こっちこそ助かったよ。みんながいたおかげで最終日まで経験できた。俺一人なら2回目の夜は乗り越えられない。
それに、良い経験だったさ。まだ見ぬ世界はこんなに広いって知れた」
「……はははっ。
まだこのゲームは始まったばかり。今経験しているのは本当に最初の一歩のはず。このまま続いてくれればと思うよね」
「じゃあ、またね」
「また作業所借りに行きますね」
「おう。またな」
TIMEUP 今回のあなたのポイント 合計1,642,429ポイント
チーム順位 …… ランク外
個人順位 …… 89位
ポイント見た時はすげぇ好成績だと思ったけど、チーム順位はランク外。ま、個人で100を切っているから、チームの場合はランクインは少数なのかも。
ま、楽しかったな。
これならまた参加しても良いかも。
今度は、『名無し』を誘ってみようかな。恩返しできるかも。