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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界
211/236

13-21

「動いてるのいる?」

「蠢いているのはいるな。俺らの後ろに」

「空はいなそう。柵の向こうはわかんない」

「ゴブリンはいない。そこの岩は」

「言われなくてもわかるわ。昼間に会ったやつよりも大きいわね。移動がゆっくりで助かるわ。

 そっち終わりそう?アンデッドをあらかた倒したらこっちをやりましょ」

「なら手伝ってくれ。ほとんどが堀に落ちてるから追加もなさそうだし、終わりは見えた」

「やっと……やっとね。アマ、“ブレス”の余裕ある?」

「みんなの武器にかけたら、柵は無理かな。リムリラはどうする?」

「こん棒はないわよね……どうしようかしら」


 木材と言う木材は使ったからな。手ごろなものは残ってない。

 はぁ。それにしても大変だった。夜の襲撃は、最初の方は数がそれなりにいたが、全体でみると散発的な襲来だったと言える。ま、昼間と違って待ちの姿勢だったから、相手の移動距離の問題があったんだろう。近場を昼間倒しておいて良かった。

 それでも、全方向で絶え間なく戦闘があったため、誰もが疲れ果てていた。そこに、殴打系じゃないとダメージが通りにくいロックストーンだからたまったもんじゃない。

 HPは問題なくても、気力と体力が持ちそうにない。動きは遅くても一撃一撃が強力だからくらいたくないし。


「サンズ。悪いけど、ゴブリンドロップ拾ってきてくれる?こん棒があると助かるの。

 アマとソフィーはそっちで座ってMP回復。私とミルはギーストの手伝い。サンズが戻ってきてからロックストーンとの決戦ね」

「終わったらゆっくり寝たい」

「駄目よ。後始末して、アイテム整理してから」

「それでもダメでしょ。昼前にはイベント終了だよ?終了時間まで寝て過ごすってありえないでしょ。

 どうせ、終わったらすぐにダイブアウトしなきゃなんだから、それまでガマンガマン」

「最後の最後に別の何かがあるとは思えませんが、無防備も無為もありえませんね。荷物整理くらいはしましょう」

「時間が余ったら、探検行こうよ。どうせドロップは意味ないから、何かの経験値アップできる方向で」

「おいおい。まだ戦いは終わってないぞ。先のことは後で考えようや。

 それよりも、手伝ってくれってば。ゾンビめんどい」

「……下のって、最初の方からずっと皆に踏まれていたんですかね。もう肉がほとんどなくて骨ばっかりじゃないですか」

「ホントだ!あれじゃゾンビじゃなくて、スケルトンだよね」

「……マジでスケルトンだ」


 なんと、最初の方で堀に落ちて、朝まで踏まれ続けていたゾンビの成れの果て。それがスケルトンになっていた。ドロップアイテムに“スケルトンの腰骨”ってあるし。今回はゾンビしか襲撃に参加してないから、ゾンビがスケルトンになることが排他的に証明されたわけだ。この情報に価値はあるのか?

 ぱっと見蠢いているのはいなくなった。サンズが戻ってくるまで時間あるし、どうしようかな。


「リムリラ。敵の生き残りが他にもいるかもしれないし、アイテム回収を兼ねて、チーム分けて確認しない?」

「柵の外行く時間はないわよ?出入り口から回るとしたらサンズが帰ってくる方が圧倒的に早いもの。そこの柵越える?」

「内側だけ拾って回ったらどう?待ってる時間がもったいないじゃない。

 と言うか、止まってたら寝そう」

「……そうね。ただ、万が一を考えて、ソフィーとアマの護衛に私は残るわ。ギーストと一緒にドロップアイテム拾ってらっしゃい」

「はーい。

 師匠。眠気覚ましに歩いてきましょ」

「ま、他にできることないしな」


 ロックストーンの近くは避けるとして、まずは柵に沿って一周するか。

 柵自体は乗り越えられるけど、向こう側にある堀と、万が一森から敵が出てきたら困るので安全策を取りたい。

 ドロップアイテム自体はそんなに落ちてない。だって、柵の外側で倒したのが大半。それに、乗り越えられた後はさっきまでいた場所でみんな固まって迎撃だったから、ドロップは目と鼻の先に散らばっていた。そっちだって、すぐ使えそうなのを優先して拾い、即消費してたから価値ありそうなものはそもそも残ってないんだけど。

 もう空が明るくなってきているからテントは必要なかろう。女性陣用は手を付けずに、自分の分の持ち込みアイテムをまずはインベントリへ。これだけで約半分のスペースが埋まるんだから。

 落ちていたのは数個のゴブリンの牙、ボロボロの剣、珍しい所ではコガネムシの羽。盾の面に張り付けたりすると、皮の盾よりも少しだけ高性能の盾になるらしい。リアルよりも数段デカく、闇の中で音だけ聞こえる砲弾って感じで怖かったんだが、光があると反射して丸わかりだったのが嬉しいやら悲しいやら。ドロップした羽はちょっと変わった感じに光るので、加工次第では良いアクセサリーとか作れるかも。

 ナイトドッグの皮とか幻惑蝶の羽とかカクレクマノコの爪とかもあったんだけど、こっちは生で見てないからどんなのかわからん。名前から推測できなかないが、ゴブリンならまだしも、植物動物系と隠れる系のやつらはまともに相対してないから姿はなぁ。

 ま、どっちにせよ持って帰れはしないが、ロックストーンを倒した後に時間があるなら加工を試してみたい。“鑑定”の糧にはなったし、上手くいけば他の技術もレベルアップしそうだ。

 ちょっとばかし眠いのか、ミルは無言できょろきょろと見回しながら歩き、時々しゃがんで拾ってる。それならと大半の拾いはミルに任せて、俺は柵の近くを拾ったり、森側から何か来ないかを警戒している。あっという間に一周回れてしまった。まあ、狭いですし。


「見たことないアイテムがいっぱいですね。早く柵の向こうを確認したいです」

「まあ、そのためのイベントだからな。見たことない敵も多かった」

「夜にしか出ないからナイトゴブリンとか、あれなネーミングですよね。他のも、もう直接って感じですし」

「まあ、そう言うな。中にはこんなのもあるぞ」

「熊の爪?そんな大物いました?」

「隠れる系の子熊だろ。爪も小さい」

「ちなみに名前は?やっぱり潜伏子熊とかですか?」

「カクレクマノコ。ちなみに、全部カタカナだ」

「やっぱり、ネーミングセンスないですよね」

「胸に刺さるな」


 百や二百じゃないオリジナルのアイテムや敵に対して、わかりやすく、センスの良い命名を行うなんてそうそうできることじゃない。そこら辺の批判は手加減してあげてほしい。

 ほとんどが判りやすい名前の中、時々遊び心のあるネーミングをしようと頑張っているじゃないか。おっさんにはクスっとくる悪くない名前だと思うんだがなぁ。

 おっ。サンズが小走りで戻ってきた。まあ、お目当ての物が見つかったんだろう。いくつかインベントリじゃなく両手で持ってる。あ、鈍器投げてみるか。

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