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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界
206/236

13-16

「いやぁ~面倒だったね」

「臭いが、もうヤダ。なんかまだ臭ってる気がするよぉ」

「手に入るのも、精々錆びた武器ですし。せめて宝箱でも落としてくれれば……」

「触りたくないわね」

「ゾンビは本当にただの邪魔キャラだよな」

「グールとかになって強くなったら、もう絶対に会いたくないわね。強いのにリターンがないなんて」

「その辺りは何かフォローがありそうだけどね。ま、今回終わってアマのスキルがどれだけ伸びたか次第よね、今後は」

「“ヒール”の効果アップは今後に必要ですから頑張るけど、私だって近寄りたくないなぁ」

「早く、浄化系のスキルアーツ覚えて。お願い!」


 言われなくてもってアンが返したところで、ドロップアイテムの整理が終わる。錆びた剣や盾、珍しい所では錆びた兜……【鍛冶】スキルがそれなりになっていると、効率は悪いがインゴットにできるんだが、技術しかない俺にとっては使い道がない。うーんそうか!スキルアーツを使えるのはかなりのメリットなんだな。

 俺みたいに常に携帯用キットを持ち運ぶなんて、技術が増えれば増えるほど現実的じゃない。緊急で使いたいときのために、スキルでも持ってると助かるんだ。

 まあ、出歩かなければ関係ないが。……って言っても、今みたいなこともあるし、今後も遠出する機会がないとは言えない。せっかくなんで、今取っちゃうか。


「何してるんです?あ、もう薬草とか無いんですか?採ってきましょうか?」

「ん?ああ、いや、在庫は少ないけどあるから大丈夫。夜さえ越えれば必要ないし」

「個人的には、夜に襲撃があると思うので少ないのは気になります」

「あーそっか。夜襲ってのもありえるか。じゃあ、ちょっと薬草とか魔力草を見つけたら採取お願い。自分でも取るけど。

 で、今やってたのは、【鍛冶】と【薬剤】のスキル取得。取っておくと便利みたいだから」

「採取品の現地加工を考えてますね?じゃあ、【皮革】と【料理】、【木工】なんかもおすすめですよ」

「【皮革】はわかるけど、他のも?」

「ええ。【料理】は作成時間が短くなったり、器具が足らなくてもスキルでカバーできます。【木工】だと、その場で椅子とか机、食器類が作れるので重宝しますよ」

「その観点もなかったな。こんなイベントでのドロップアイテム処理に役立つかなって。

 でもまあ、それも良いなぁ。最近じゃアイテム作っててもMPは余り気味だし、手作りじゃちょっと時間がかかるアイテムを、スキルアーツをガンガン使って作ることでレベルアップと作成個数を稼ぐってのも有りだな」

「スキル枠に余裕があるなら、戦闘系の技術はスキルを取っても便利ですよ。先にスキルを上げると、技術にして反復練習が捗るんです」


 上手な動きを体験して、それをトレースすることで本来の技術を上げる。まあ、高効率の物真似だ。反復練習のお手本としては最高だろう。見真似ではなくて、体感の上での真似だから。最善に近い動きが手に入るなら、すごいことだ。

 あ、それはそうと、まだ日はそれなりに高いけれど、この後はどうするのかな?

 そう思っていたら、やはり夜の襲撃の可能性を考えて、夕食の準備と、防御を固めるとの結論になった。まずは、ミルと俺の【木工】持ち以外は、焚火用の枝等と薬草などを採取。あまり遠くに行くとどんな危険があるかわからないから、近場で纏まって。ある程度取ったら広場に戻り、また別の方向へと入っていく。

 ミルと俺は、広場の拡張だ。広場周辺の木を伐採し、加工して板や杭を作っていく。正直、一本倒すのも、その労力と危険性を考えて躊躇していたんだが、レベルアップに伴うステータス上昇と、何よりもミルの【木工】と【斧】が高レベルだったことが効を奏した。

 それなりに太い、女の子だとなんとか抱えられるくらいの木が、一振り二振りで受け口ができ、十も振らずに一本を切り倒してしまう。俺は枝葉を払って丸太にして邪魔にならないところへ転がしておくのがメインになりつつある。少なくとも、乾燥もしくはある程度の加工をしないと、俺の【錬金】にあるレシピじゃどうにもならない。

 せっせせっせとお手伝いを繰り返していたところ、まあ、見事に丸太の山ができましたとさ。切り株も残っているので戦いづらいが、広場のサイズは倍以上になっている。ちなみに、テントの前には採取された薬草とかが小山を作っている。

 どうしたもんかな。


「さ、まずは食事の準備よ。ミル、貴女だけは、悪いけど丸太を加工しててもらえる?そうね、2メートルくらいの板でいいかしら?」

「それよりも、まずは木の棒にした方が良くない?きちんとした柵を作っておけば、板でいくらでも補強できるもん」

「それもそうね。ごめんね、ミル。えーっと、何本くらい必要かしら?百本?足りるかしら?」

「ま、これだけ丸太があるんだもん。二百本は作るよ。広場を囲うなら沢山必要でしょ。美味しいごはんよろしく!」

「じゃあ、俺は回復薬と魔力回復薬だな。他にも、デバフ系の薬は作れるだけ作っておくさ。MPか素材が枯渇したらミルを手伝うから」

「ギーストも悪いわね。代わりに、腕によりをかけて美味しいものを作るわ」

「夜食用に、サンドイッチ的なのも欲しいな」

「こぼれにくい、ピタパンとか巻きピザが良いんじゃない?小麦粉持ってきてたでしょ」

「誰が作ると思ってんのよ。まあ、作るけど」

「私は、切り株のところに罠仕掛けてくる」

「あ、蝶々対策で網掛けない?無理なら、要らない皮でも何でも良いから、邪魔になる物で遮ろうよ」

「あーそれ良いかも。乱戦になったら状態異常は面倒だもの」


 うーん。会話がポンポン進むな。その間にも、各々ができることをしている。なんつーか、慣れてるな。

 アマとリムリラが食事の準備、サンズが罠を仕掛けて、ミルが木の加工。ソフィーはインベントリを大活用して木の棒を広場を囲むように置きなおしている。それを大体終わらせて、サンズの手伝いをしてから三人で連れ立って食事に来た。タイミングピッタリ。


 食後、加工できる物の大半を加工し終わったので、柵作りのお手伝い。土魔法で掘られた穴に棒を差し込み、軽く穴を埋める。隣の棒と筋交い的なのや横の棒を蔦で括りつけて補強。それを淡々と繰り返す。今までの広場を一周囲ったら、今度は板柵へと発展させる。そこまでしたら、地面を踏み固めて倒れないようにしていく。板は胸程度の高さにした。簡単に乗り越えられてしまうけれど、高すぎても、こちらからの攻撃手段が限られるし、森が見えなくなるデメリットの方が厳しい。時間があったら、柵の向こうに空堀を掘って、逆茂木でもつけてみるか?

 早めに準備したから、夕闇はまだまだ先だ。この準備が無用の長物だと良いんだけど……。

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