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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
13章素晴らしき世界
201/236

13-11

 朝の目覚めはすっきりとしたものだった。枕も布団も、現実で使っているものと比べるべくもないレベルだが、もしかしたら向上したステータスがそこをカバーしているのかも。

 まだこれで一泊。ただ、イベントエリアに入った時間を考えると、昼になる前にイベント終了の可能性が高い。

 イベント自体は、トータルで3時間、たしか通常3倍が、イベント中はさらに7倍で、1時間が1にちになるわけだから……あれ?2泊3にちじゃなくて、3泊か?なら、まだよゆうがあるか。

 いや、それでも、探検するにも、往復だけでかなりの時間がかかるため、森の中で野営しない限りかなり厳しい。野営を提案……って、何考えてんだ。その辺りは、全方向調べてからで十分だろう。


「これで三分の一が過ぎましたね。初日は散々でした」

「もう当分ゴブリンは要らない」

「じゃあ、反対側行ってみる?私も当分見たくないし。ドロップもあれだし」

「賛成。

 まあ、牙は、低レベルの鉄鉱石でも出てくれれば、矢じり版ゴブリンキラーで消費するよ」

「他に消費できれば良いんですけど……カルシウムってことで肥料とか?」

「砕いて混ぜればできなくないかも。まあ、捨てるよりはマシかもな」

「イベント終わるとポイントになっちゃうのでここでしか試作できませんよ。ここに残ってやります?逆方面に行きますけど」

「ゴブリン祭りならぬコボルト祭りになったら後悔するから一緒に行くさ。回復の手伝いくらいはできるからな。その分、夜番の時にゴリゴリと作業させてもらうよ。音が出る分、少し離れて」

「妙なフラグはお断り!あれだけの数はなんであれ面倒くさいもん」


 そう言えば、このイベントで経験値ってどうなるんだ?まあ、普通に考えればちゃんと貰えるんだろうけど、寝てもレベルアップした気配はないし。スキル使いまくっても、敵を倒しまくっても意味がないんだったらちょっとなぁ。

 そんなことを考えながらも、一歩森へと足を踏み入れれば意識が切り替わる。正面の昆虫・植物系と右のゴブリンは相当数減らしたが、左側は今回が初。どう考えても、気を抜いて良い場所じゃない。


「斥候、サンズ。フォーメーションは継続。接敵時は、まずは様子見だけど、行けそうならやってOK。声掛け忘れないで」

「了解」

「……さ、進みましょ」


 小さく返答したサンズが木々の間に消えると、リムリラ号令の下、ゆっくりと先へと進む。最初は、他と同じく何も出てこない。最初に出会ったのは、フォレストウルフ……にしては小柄だな。

 群れできた奴らを倒してドロップアイテムを見てみれば、森犬だった。山犬じゃないんだね。


「ドロップもしょぼいけど、能力もあれだね。ウルフの劣化版」

「でも、最初から群れで来るのは大変かも。ソロだときついんじゃない?ウルフほど強くなくても、森の中って危ないし」

「でも、やっぱり初心者向けに手加減されてるよね。連携が全くと言ってできてないもん」

「このパターンだと、奥に行くと群れの数が増えて、連携も上手くなって、大きな個体が増えてくるんだろうな」

「ドロップはそこまで細かい違いがないと思うんで、大きさとか、質の違いが精々かな?微妙な変化を出すのは大変だよね」

「……この先、川がある」

「へ?……あ、確かに音がするね。昆虫、ゴブリンときて、犬メインかなって思ったんだけど、違ったのかぁ」

「サンズ、お願い。

 無理しないで」

「了解。待ってて」


 水辺があるってなると、出てくる敵も、気を付けるべきことも違ってくる。水辺での戦いは足を取られやすいし、倒れたら陸上よりも死が近くなる。バランスが肝だ。盾職は厳しいかもね。

 それだけじゃない。敵の位置も重要だ。こんなところにいるかわからないが、ワニやカメなどの爬虫類や魚系は、巨大な奴じゃなければ位置は足元付近。これまでとは戦い方ががらりと変わる。近寄らないことにしても、鉄砲魚系やトビウオ系などの遠距離攻撃ってのは考えられる。他にも、水を求める多種多様な獣系モンスターが森側から襲ってくるかもしれない。

 それにしても、本当にこのイベントはプレイヤーの質を高めるために作られたっぽいね。草原しかなかった最初のフィールドに比べて、本当に多種多様。出てくる敵も、シチュエーションも。

 水辺側にはサンズが見に行っているから、警戒すべきは森側。そちらに意識を向けても、森犬や他の気配は全くしない。昆虫や蛇の類もいなけりゃ、鳥の鳴き声すらしない。森の中なのに。


「向こうに渡れるだろうけど、深さはそれなり。流れはそんなでもないけど、水はきれいで底が見える。

 獣類の足跡があるから、動物の水飲み場かも」

「そうなると、肉食のやつらが狩場にしているかもね」

「ワニいた?」

「見た限りじゃ、魚くらい」

「鉄砲魚とかフライングフィッシュじゃなければ、一休みしても問題なさそうね。川遊びとまではいかなくても、汚れた足が洗えればうれしいわ」

「森側に気を付ければ休むのは大丈夫。魚影の数は少ないから。

 川を使うのは確認してからが良いと思う」

「何を?」

「肉食魚じゃないか」


 群れで泳いでいないなら戦闘としては問題ないと思うけど、確かに攻撃される可能性はあるな。思いつかなかったぞ。

 知らない場所に行く冒険者って、気にしなくちゃいけないことが多いし、本当に大変な仕事だな。リアル追及系のゲームだと、マジ厳しいわ。

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