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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
12章 持つべきものは友?
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12-11 試行錯誤

 食器と寝床が完成したら、お次は食事。材料は脇に置いておいて、調理器具だ。

 キャンプと言えばバーベキュー。バーベキューと言えば網と鉄板。……鉄板はまだしも、網って作れるのか?まあ、まずは試してみるか。

 炉を熱し、鉄鉱石を用意する。この炉って使っていると魔力が消費する代わりに、燃料が少なくて済むんだよな。なんでも、石炭を使うよりも高温になるし、何よりも短時間で炉が温まるらしい。リアルで炉を見たことはないけど、ほんの数分で鉄が溶ける温度になるのはゲームだからこそだろう。ありがたや、ありがたや。

 まずは、鋳型だ。鉄が溶けだす前に網の型を作る。最初はお試しってことで小型にしよう。縦縦横横っと。うーん。厚みが、ちぃとばらけたか?試しだ試し。気にするな。溶け出た鉄を型に注ぐ。後は冷めるのを待つだけ。

 その間に、鍛造。叩いて伸ばして網の形に……って無理だろ。できても、精々棒一本……あ、串が必要じゃん。でもこれも鋳型の方が良さげだな。鍛造だと、厳しい。細く長いから歪みやすいし、太さも、ね。

 そんで鉄板。こいつはせっかくなんで鍛造してみよう。最後に縁を少し盛り上げてっと。あ、もう溶けた鉄がないや。

 炉がそこまで大きくないので、いくつか試作すると鉄が足らなくなるな。やっぱりインゴット作ってから本番が良いか。んじゃ、作りますか。


「鉄鉱石って追加で買えるかな?」

「今お預かりしているお金ですと、すべて使ってもここにありました量の半分ほどでしょうか」


 セバンスに聞けば、なんとも切ない答え。

 気が付けば、コツコツ買い集め、山と積んであった鉄鉱石をすべてインゴットに変えてしまっていた。もっと技術レベルが上がってからにするつもりだったんだけどな。まあいいや。品質はそこそこにしかならなかったけど、経験値はかなり上がっただろうから。でも、この先が困るな。

 でも、鉄鉱石って高いんだな。ここのところ結構たくさん商品を作ったのに、あれだけ売ってもそこまで買えないなんて。


「鉄鉱石って高いな。だから武器とか高いのか。納得」

「この辺りでは大して取れませんから。この間まで安かったのは、近くの迷宮で大量に鉄鉱石が手に入りましたからですね。その時の在庫ももうないようですから、どうしても輸送料が値段に乗ってまいります」

「……そう考えると、武器とか安いのか?剣一つ作るのにも結構な量が必要だろ?」

「銅や青銅に比べますとどうしても鉄は丈夫ですから、その分高くなります。それに、通常ですと、インゴットで輸送しますから。人によっては、古いのを鋳つぶしたことはあっても、鉄鉱石など長く見ていないなんてこともあるそうです」


 わざわざ鉄鉱石の状態で運ぶ必要性がないのか。まあ、輸送力が限られているなら、同じ重さ運ぶにしても、できるだけ価値が高くしたいんだろうな。初心者歓迎イベントでまた鉄鉱石が大量に手に入るインスタントダンジョンでもできないとダメかな。たぶんできると思うんだけど、今回はちゃんとしたイベントになってるし……。

 でも、鉄鉱石がなくても鍛冶をする他の方法だってある。うーん。でもなぁ。いくらレベル上げと割り切ったって、ぼろいのを買いあさって鋳つぶす気にはならないな。それこそ、住人の鍛冶師に喧嘩売るようなもんだ。

 さて。そうなると、鉄を節約したくなる。焼くときは鉄串じゃなくて、木の串ならどうかな?魚を焼くときには木の串だろ。バーベキューも何とかなるんじゃないか?

 試してみると、細すぎたりしなければ大丈夫みたいだ。ただ、食材に刺すのが大変なので、数本は鉄串を持っていく必要があるな。

 網と鉄板、鉄串は作った。あと必要なのはフライパン。それも、深めの奴。通常サイズでも一人飯で考えるなら鍋と兼用できる。持ち物制限があるからな。鋳型も良いけれど、せっかくなので鍛造してみよう。せっかく高温になった炉ももったいないし。


 室内の温度はどんどん上がっているはずだが、そもそも炉の前は高温なので個人的にはよくわからない。ただ、汗はとめどなく流れていく。ある程度熱した鉄のインゴットをトンカントンカンと打ち、温度が下がるとまた熱し、形を整えること幾星霜……そんなにかからんか。でも、一度や二度では満足いく物にはならなかった。焼きなおすと脆くなるとは言うものの、そんなに使い込むものでもなし、俺レベルではそこまでの差もわからんし……自分で言っててちょっとくやしい。これは試作。あくまで試作だ!

 なんて、いろいろと作っていたらそれなりに良い時間が経っていた。外に干した草は……すっかり乾いている。さっそく革の枕に入れて……入れて……入れて。思いのほかギュウギュウにしないと膨らまない。麦わらとかならもっと少なくても大丈夫だと思うんだけどな。触感は……ちょっと硬いか。でも、何もないよりは大分まし。もうちょっと入れたいけど……乾燥している雑草はないな。仕方ない。

 それにしても、手間暇考えると、干し草的なのは自分で用意するよりも、商業ギルドなんかで聞いてもらった方がよさそうだ。いつの間にかいなくなったセバンスへの、お願いすることリストに追加しとこう。


 テント作りで少しだけ革の扱いがうまくなった気がする。まあ、それだけ失敗したんだが。次はマント作り。必要なマントは2枚。日中使うのと、夜寝るとき用だ。寒いと困るのでこっちは厚めに。自分で作るんだから何の効果もないが、手触りに拘る一品。将来的には効果付きの装備ができるようになるかな。

 大きめのウルフの革であれば、サイズは問題ない。小さければ縫い合わせる必要もあるんだろうけど、その分強度も落ちるからちょっとなぁ。いくらイベント用でもせっかく自分で自分用に作るんだから、今は持ちうる材料の範囲で贅沢しよう。

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