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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
12章 持つべきものは友?
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12-10 イベント?なら生産だ!

 さて。誰といつ参加するかは、正直どうでも良い。と言うか、最初から、ほとんどの時間は一人キャンプをするつもりだった。他の人と行ったら、絶対的に探索したり、戦闘したりと、どう考えても「まともな冒険」になってしまう。非戦闘系の俺としては、せっかくの純粋に楽しめそうなイベントを、きつい物にはしたくない。

 もちろん、友人を含めた他のプレイヤーとの交流だって、楽しみではある。だから、声がかかれば二つ返事で参加するし、それはそれで楽しめるだろう。ただ、何かの映像で見たような、独り森の中、月明かりの下でキャンプするってのに、憧れるってだけだ。

 リアルでできないことが体験できる。VRって本当にありがたいね。


 そうと決まれば、まずは準備だ。むやみやたらに作り始めるよりも、まずは、リストアップ。

 絶対に必要なのは、テント。何せ、泊まりがある。気温によってはマントがあれば一晩くらい何とかなるだろうが、そんな冒険はお断り。できれば、寝袋とはいかなくてもマットくらいは作りたい。綿はなくても、中に入れる代用品をなんとかすればできるんじゃないだろうか。うん。なんとかなりそうな気がしてきた。

 使う食器は現地で作るとしても、こっちでも何度か試作は必要だろう。それなりの木を伐採するのは……ここじゃ、練習は難しいな。でも、木材から器を作るのはできるな。端材からスプーンと箸も大丈夫。最初は不格好でも、使えればいい。作っていくうちに良いのができるようにもなるだろう。

 レンガでも焼いて持っていけばかまどだってできるだろうけれど、せっかくだからそこは現地であるもので作りたい。つまり、石。後は、念のため木。良い大きさの石が必ずあるとは限らないからな。

 あと必要なのは、調理器具。深めのフライパンなら、色々と代用が効く。可能なら鉄板。いや、網と串か。この辺りは、俺の【鍛冶】の腕がどこまで上がるかだな。

 考えるのはここまでにして、作業に入ろう。


 じゃあまずはっと。

 大量にあるウルフの毛皮を片っ端から毛を抜き、なめし革へと変えていく。抜いた毛は、毛皮で作った袋に詰め、まずは枕に。おぉこれはなかなかに心地よい。外側に高品質の毛皮を使ったからか?これならマットにもなりそうだ。

 ……うーん。ふわふわし過ぎでちょっとあれだな。皮の切れ端も入れてみようか……これなら、適度な硬さもあるな。いや。快適さをもっと……そうだ!昔話に出てきた枯草のベッドなんてどうだろう。

 外にある雑草を抜きまくって、干しまくる。セバンス達に奇異の目で見られたことは、少ししか気にしてない。うん。開拓者はいつだって孤独だ。気にしたら負けなのだ。

 干している間に、器作り。売り物にするわけじゃない。削って形を整えれば終わりで良い。漆……はあまりに工程が大変らしいので却下。あるかどうかも知らないけど。イベント用に数回使うだけだからこだわるのはやめよう。習作として何回か形作るうちに、なかなか持ちやすく軽いものができた。今の俺の力量だと、これ以上薄くは難しい。

 持ち上げて眺めると、我ながら良い物ができたと思えるな。箸やスプーンもできたので、イベント前に一度使ってみようか。よし、これは別にしておこう。


 入り口脇の机に、いくつか作った食器とカトラリーを置いておく。外に干した草を確認してみたけど、さすがにこんな短時間では干し草にはならないな。【料理】の“乾燥”が使えればよかったんだけど。

 じゃあ、気を取り直して、革を使ったテントの作成だ。ここで活きるのが、セックで手に入れた新しい素材、柔らか草。これから作られた液体を革に塗るとそこだけ柔らかくなり、簡単に加工できるようになるのだ。液体は煮出すだけなので作り方は簡単だが、これまた温度や入れるタイミングなどで品質が変わるみたい。高品質なら柔らかくなった際の能力低下が抑えられるなどの効果もあるんだとか。今は加工する革もありふれた物だからそこまで気にする必要はないけれど、今後研究したいな。

 骨組みは木の棒で良いだろう。練習のため、三角に立てた棒を左右に配置し、長めの一本を屋根の背骨にする簡単なテント組みにしてみた。荷物がそれなりに想定されるから、単純な三角テントではちょっとな。

 簡単に言えば、テントの必要性は、雨風を防ぐ。つまりは、外と中を分けること。……わざわざ骨組み作らなくても、張り出した枝に革を吊るせばできるんじゃないか、これ。端に穴開けて周りを補強して紐を通す。上は枝に括り、下は石にでも括れば、ほらできた。……そういえば、こういった簡単な日よけとかはタープって言うんだっけ。テントは確か、ちゃんと個室的にできなきゃダメなんだよな……そもそもダメじゃん。もっと、ちゃんと作らないと。

 さっき作った骨組みに、下まで含めた6面をきちんと覆えるように、毛皮を当ててみる。うーん。横の広めの所だけじゃなく、下の部分ですらちょっと足りない。左右の入り口的場所なら問題んないんだが。しょうがない。2枚つなげるか。

 問題は強度だが、防具じゃないんだ、ちょっとくらい大丈夫だろう。全部繋げて一枚にすると設置が大変だから、タープと同じく骨組みに結ぶ形に。上の背骨部分を2本使って左右の壁革と結び、上で重ねるようにすれば……小さな虫は入ってくるかもしれないけれど、雨は大丈夫だな。三角柱部分は何とでもなる。下は、ちょっと大きめに作るか。他の革も大きめにして内側に折って……その上に重ねるようにした部分を置けば完成!

 うん。先に骨組みを立てて内から結ばないと無理だな……全部結んだら出れないだろうが!。えーっと。入り口部分は上だけ結べば……まあ、問題なく出られるな。ちーとばかし不格好だが、これでテントは完成としよう。タープは予備として、荷物に余裕があればかな。

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