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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
でっきるっかなでっきるっかな
18/236

2-4 順調

 7時間以上仕事をしても現実では3時間経ってないって、何かあれだよな。室内で時差ボケになりそう。

 月曜からの準備をする。仕事?違います。

 おかずを作り冷凍。ご飯を炊き冷凍。どちらも一食用に小分けにしておく。そうやって、忙しい平日の時間を節約するのだ!作ってくれる人も居ないのでね。

 早めの夕食と風呂に入り眠る。

 お休みなさい。


 狙い通り、5時には目が覚めた。朝食から出かける準備まで全て整えても、まだ1時間以上の余裕ができたので、早速ダイブ。

 ゲームの世界はまだ真夜中。

 こっちで1日居なかったわけだが、順調に作業は進んだらしい。

 なぜわかるって?机上の袋にメモがついていた。

「販売(小)100(中)201、私作成(小)230薬草20、冒険者ギルド100枚は私使用」

 ……袋の中身は見たくない。俺は小市民だ!


 虚しい自己暗示の結果、俺の所持金は15,922G、薬草残り208枚と相成りました。

 いいんだ、【鑑定】【水魔術】【薬剤】がそれぞれ1上がったから。

 それじゃあ、3時間(ゲーム内)でできるだけ作るか。

 今回は、残っていた初心者魔力薬5個使って、3種類を作りまくろう。これで、初心者魔力薬は残りは5個だ。

 ……魔力草も大量に手に入るなら、回復薬と同じように作りまくれるんだけどな。

 3時間で、(小)100(中)40(大)50。今回の成功率は高かった。

 ただし、(大)は売らないコーナーへ。売上配分を決めてからにしたい。

 残り時間は、あと30分。そこで止めて仕事に行かなくては。

 余った薬草はあと2枚。これで、ちょっとだけ実験だ。

 作るのは、(小)よりも効果の低い製品。(小)の考え方から、水を4倍入れればできるんじゃないかな。


ごりごり ピチャピチャ くつくつ どばどば かんせー


 はい。失敗。

 モノはできてますが、失敗です。

 結果は、ほのかに色づいた水になりました。効果はないです。飲んでも水と同じですが、なにか手を加えようとすると茶色くなります。

 そっか。(中)から(小)で倍に薄めたら効果が4割に落ちたんだから、更に倍だと薄すぎるのか。

 じゃあ、3倍で試そう。


ごりごり ピチャピチャ くつくつ どばどば かんせー


“鑑定”

 初心者回復薬(微)品質40 HP回復10 回復薬。一歩足りないため、力あるものには効きづらい。


 ……効果は狙い通りだけど、なんだ、この説明は?

 あ、もしかして、高レベルに効きづらいってことか。それと、工夫すれば普通の回復薬になるってことかもな。

 MPの許す限り(大)を“鑑定”してログアウト。

 説明文は同じでした。初心者回復薬系は同じように表現されている。【鑑定】のレベルが上ったから表示されるようになったんだね。ここのところ鑑定していなかったからわかんなかったよ。

 沢山鑑定したり製作して表示されるようになった内容は、“鑑定”で表示される情報よりもすくないんだな。

 時たま、既知のアイテムも鑑定するか。

 ではこれも売らないコーナーへ。

 さて、仕事に行こうか。




 仕事は順調だった。月曜とは思えないほどに気分がスッキリしている。

 午前中で今日予定していた仕事は終わったので、午後はまだ期限前の仕事を片付けられる。これなら、水曜の有休も無問題!

 昼飯もいつもより美味しく感じる。


「水曜の仕事終わりに取りに行くから」


 朝丁度会った須佐見には水曜に届くのでと伝えたら、食後にそう言われた。


「なんだ、木曜は有休か?」

「もちろん!」


 いや、冗談だったんだけど。


「会社辞めるなよ。企画のホープ」


 本気半分で忠告しておく。


「抜かせ!すぐに追い抜いてやるわ!」


 効率重視の廃ゲーマーではないが、須佐見はそれなりに情報収集をするタイプ。

 ゲームでは事前情報無しで始める俺とは違い、色々と調べているみたいだ。

 須佐見が本気でやれば、俺なんてすぐに超えられるだろ。


「勝手にしろ。俺はまったり派だから」


 よく考えたら、レベルも1だし、そもそもアークから一歩も出てないぞ。

 次の街への行き方も知らないや。

 外から見たら、まさにまったりプレイ。やってることは薬剤地獄だけど。


「まったり派でも、先行しているアドバンテージはすごいぞ。

 どんな感じだ?」

「まだ、はじまりの街アークだな。俺は生産系だから」


 【錬金】の評判が悪いらしいので、そう濁す。そもそも錬金成功してないし。


「生産かー。『冒険者達』じゃそっちは厳しいんだよな。でも、お前が順調って言うんだから、結構稼いでるんだろ?」

「なんだ、人を金の亡者みたいに」


 いや、堅実だから、なんてシドロモドロに弁解する須佐見。


「まあ、今はクエスト中だけど、資金は1万Gは貯まったな」


 使う宛もないから、溜まる一方だ。


「おぉ。じゃあ、もうスキルは7つか。早いな」


 なんだそりゃ?

 見てわかるほどに不思議そうな表情をしていたのか、呆れつつ教えてくれた。


「いくらなんでも基本情報くらいは調べろよ。スキルの開放条件は、最初3つ、時間経過で2つ、神殿への寄進で2つ、新しい街への移動で1つ、クエストで2つのスキルスロットだぞ。寄進は、累計5千と1万だ」

「ほーそりゃ知らなかった」


 俺の知ってる基本情報は、販売用の専用HPにあったやつだけだし。それもたいして読んでない。

 おかげで何でもかんでも目新しくて楽しいぞ。


「ま、寄進は生産系、クエストは戦闘系が獲得しやすいように工夫した結果だろ。スキルが全部埋まってからが本当の勝負だからな」


 そう言って去っていく須佐見を思わず拝む。ありがたい情報をもらった。

 帰ったら早速神殿で寄進をして、MP関係のスキルを取ろう。

 ……あれ?SPあったっけ?



 シャワーと食事をとってからダイブ。

 恒例のチェックでは、【鑑定】【水魔術】【薬剤】が1上がっていた。【水魔術】が5になったからか、SPも1に。

 レシピには初心者回復薬(微)が追加されていた。

 なお、薬草は残りがなく、机上には配分された売上だけ。これで19,622G。1G100円としたら200万円近いぞ。

 (大)の残りを“鑑定”してからお店へ。

 お客さんの数はある程度落ち着いたみたいだ。なにせ、平日昼間にダイブするプレーヤーには低レベル初心者が少ないからな。

 それでも、お店はトルークさんが手伝ってポム店長がギリギリ回せるレベル。

 って、おっさん。仕事は良いんですか?


「これも仕事の一環よ。ギースト、お主を待っていたのだ」


 どう見ても、ポム店長が狙いだと思っていました。お似合いですよ。


「まずは、冒険者ギルドから薬草を取ってきて貰えるかしら?」


 俺らの会話を遮りながらポム店長からの依頼。


「はい」


 さて、またダッシュで行きますか。

 神殿に寄って1万G寄進しつつ、冒険者ギルドへ。

 ギルド長にお小言を貰った後、倉庫で大量の薬草を頂きました。

 ……1000枚はないわ~。

 なんと、ポム薬屋大繁盛の結果、他の店での需要が激減。ギルドに集まる薬草がだぶついているらしい。

 それでも、普通であればここまで集まらない。いくら魔力を吸収して成長する薬草でも、そこまでの資源回復力はないからだ。原因のもう一つは、このあたりにインスタントダンジョンが発生。しかも、この街の領主が管理しているかららしい。

 ちなみにインスタントダンジョンは、別名陽炎迷宮。ランダム発生の迷宮だ。時間経過で成長して、ボスを倒すか、実時間3週間経過で迷宮モンスターを放出して消滅するお宝兼迷惑施設だ。

 宝箱の中身も迷宮と共に育つので、いつ倒すかも問題となる。

 位置情報もそれなりの金額になるから、祝福の冒険者プレーヤーには歓迎されるらしい。

 採取は難しいけど、インスタントダンジョンでは宝箱から手に入るから、かなりの数が納品されているとのこと。

 まあ、こっちの季節で夏の半ばには攻略されるから、それまでの辛抱だ。……今は春の3月だけど。

競争相手がいないと儲かりますね。

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