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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
アタックナンバーワン?
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8-15 本筋へ戻ろう

 さて。思わず師匠らしいことをしたくなってしまったが、今日は明日からの仕事に響かないように調整をしつつ生産行為に耽溺するつもりだ。特に、街中にはプレイヤーが少なくなっているはずだから、手を出していなかった生産分野を攻めるならいいタイミング。現状だと、職人街へ入っていくところとか、住人とのやり取りとかを見られると騒動を招きかねないし。


 ちょっと考え事をしたいので、単純作業として薬草のすりつぶし。手作業でずりずりとやりながら頭の中を整理しますか。

 毛皮は【裁縫】用に毛を紡いでもいいし、鞣してもいい。これからの季節には合わないけど、鞣し毛皮でも、革としてでも使い道がある。失敗しても練習用小物の素材にしても、なんだったら中になんか詰めてお手玉やボールにしてもいい。あ、枕もありか。翼膜も同じだな。ミル・クレープに言った手前、袋を作るか。

 スライムゼリーや核は【薬剤】で。あ、ゼリーって食用に使えるのかな?これはメイに聞こうか。

 棒や木盾は【細工】や【木工】の試しに。剣とかは【鍛冶】。この辺りは成功すれば儲けものとして期待しない程度にしよう。なんだったら、本職に渡したって良い。そっちに本格的に手を出している時間があるとは限らないからな。この量だし。でも、素材としては持つから後回しでも可。

 そうなると、まずは大量に余りそうな骨片の使い道か。ぱっと思いつくのはスケルトンキラーやゴブリンキラー。“鑑定”で見分けたから混ざってはいないし、問題なさそうだ。……ただ、生産方法の基礎は大体確立してもらったから、そこまで試行錯誤は不要そうだ。そうなると大量に製作可能だけど、実用性がなぁ。今回のウェルカムイベントがなくなったら無用の長物になりそうで怖いな。ほかの用途も見つけておかないとゴミになりかねん。


「そうなると、まずは図書館かな」

「おや、お出かけですか?」

「そこの骨片の使い道を調べに行こうと思って」


 セバンスは、俺が考え事をしていたので声をかけず、音もなく作業所へ入り片づけをしてくれていたらしい。しかし、つぶやきに対して驚かさないように言葉を返してくれる。片付けについては、品質がかなり低い素材は優先して生産メイド隊――いつ作ったんだそんなもの――に使わせる用に分類し、袋詰めまでしてある。もちろん、使っている袋は古めのからだ。

 今回の利益の大半を費やしてギルドで処理に困っている薬草や魔力草を買いあさらせたはずなのに、思いのほか数が少ないので疑問だったんだ。

 現実の3倍速で進んでいるから、新人のメイドもこっちの時間では雇い始めてからもう数巡経ってる。雑貨屋も本格稼働しており、そこそこの客が来るそうだ。こっちの店は専門店が主で、コンビニっぽい色々揃う店が少ないため、ちょっと必要なものがある住人とかが気軽に寄ってくれるそうな。俺がいなくても大して困らない店になりつつある。より良い物を求める人は専門店に行くそうだし、客層がばらけたので胸をなでおろした。既存店とトラブルは困るのだ。

 俺の成果物は大半がギルド行き。ちゃんとギルド員として活動している証拠にもなるし、実績にもなるからだ。うん。そこまで配慮してくれるセバンスには感謝しかない。

 つーことで、当面は気分転換に作る程度で何の問題にもならない。好き勝手に試作できる状態なので、新しいレシピでもなければレベルが上がらないだろう【薬剤】ではなく、【裁縫】や【皮革】なんかを優先できる。

 メイドさんたちの独立採算制を目指して本当に良かった。俺が好き勝手やっても、周りを気にせずに済む。こんなゲーム設定だと単純に楽しむのはハードルが高い。


「おや。それでしたら、専門家が近くにいらっしゃるかと。

 【農業】の分野では、確か、肥料にしたり、家畜化したコッコの餌に入れたりと活用している地域もあるようですよ」


 スケルトンなどの骨片は、素材としては活用先が限られているとのこと。魔力により生み出される場合もあるけど、生ける屍系と同じく死体が動き出したものと区別がつきにくいし、イメージも悪いので、研究も敬遠されがちとか。よく知ってるな、ほんと。

 うーん。それ以外だと、スケルトン系の従魔がいたら強化に使えたりしないかと思ったんだけど。前、そんなゲームをやったことがあるし。そういうのは魔石とかかな?選択肢に強化がないって落ちは悲しいのでやめてほしいな。

 素材には全て何らかの活用先があってほしい。


「それなら行ってみるか」

「しかし、残念ながらこの周辺ではまだまだ使われていないようでして、ちょうどドン殿がセックに学びに行っているそうです。なんでも、今までにないような案を出した冒険者がいるらしく、数名のお仲間と連れ立って旅立ったそうです。

 長くはかからないでしょうが、それなりの期間、セックに滞在されるかと」

「それは逆に運がいいって言うべきかもな」


 次にやるべきことが決まったな。セックに行くか。

 でもまあ、独力では正直無理なんで、前に話を貰った『名無し』のみんなに協力してもらって、護衛付きで行くしかないんだが。

 えーっと。シロとクロに……って、一応知ってる全員に送っておくか。確か、リリーさん以外は知ってるからっと。うん。文面はこれでいいや。簡単にセックに行きたいことと、時間があるときに連れてってもらえないかとの依頼。そいつに挨拶やらほかのメンバーにも送ってあることを付け加えればっと。あ、複数への一斉送信ができるんだ。こいつを使うと楽だな。

 うん。間違えてない。送信っと。


 みんなはイベント中か否ダイブだろうから返事は遅くなるはず。骨片とかは後回しにして、今はたくさんある皮系を処理しようか。ちょっと作りたいものがあるんだよね。

 ついでと言っては何だけど、毛を集めて糸も作るか。

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