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生産だって冒険だよね  作者: ネルシュ
アタックナンバーワン?
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8-6 取引

 話の主導はミナのようだ。雰囲気が仕切るタイプだもんね。


「じゃあ、まずはギーストさん。あなたが提供できる情報をもう一度お願いできる?」

「えーと、途中で止められたけど、出せる情報は全部出した方が良いかい?」

「……そうね。そうしてもらえるかしら?

 大丈夫、こっちで出せる情報だけじゃ足らなければ、考えがあるから」


 ミナは、ちょっと不安そうな顔をしたツヴァイ達に向かって一言断る。

 うーん。俺としては別に秘匿したい情報じゃないから必要な情報が貰えればそれで充分なんだけど。必要なら、俺の代わりに彼らが広めてくれる上に、検証までしてくれるんだから。煩わしいことなく俺が楽しめるんだから、ホント気にしなくていいのに。ま、何か貰えるなら貰うけどさ。


「欲しい情報については、後で言うとして、まずはスキル系からかな。

 スキルとは別に技術が覚えられる。レベルが上がって自動的に覚えるアーツはないし、生産なら手作業、戦闘でもリアル系だけど、効率アップや成功の補助はあるね。アーツっぽいのも覚える?開発かな?できるし。数に制限がなさそうなのも良いよね。

 で、俺の実感では、教えてくれる人がいるとかなり早く覚えられるかな。俺は【短剣】とかを初日に覚えたし」

「もしかして、あの後かい?βだとマイナス補正がなくなるまでの訓練だけだったと思うんだけど」

「そ。グリフと会った冒険者ギルドで、ギルド長に教わったんだ。ログアウトまでに覚えさせられたから。……ほぼ使ってないけど。

 なんとなく動けるようになって終わったんだけど、次の時に見たらレベル0で覚えてた。多分、βでもレベル0で身についてたんじゃないかな。

 スキルはレシピがないとあまり使えないけど、技術はレシピ関係ないから。あった方が良いのは確かだから、図書館で情報収集した方が良いけど。あ、本を読むには【言語】必須だから。レベル低いと読めないし」

「そのためだけにスキル枠を使うのはちょっと考えてしまうな。プレイヤー間でレシピを教えられればいいんだが」

「できるんじゃねぇか?」

「できてもおかしくはないわね。

 これも、検証お願いできる?」

「伝えとくよ。

 で、情報としてはこれくらいかい?」

「いや、まだあるよ。

 これは、実感の話だけど、生産系で物を作るとスキル経験値が貯まってレベルが上がるんだけど、同じものを作り続けても駄目なんだよね。貰える経験が減ってって、たぶん、最後はゼロになるみたい。

 反面、魔術とかは少なくなっても経験が入ってくる感じ。俺は一種類しか使ってないけど、結構レベル上がったし。

 で、技術でも似た感じかな。同じものだけを作ってると、成長しないみたいだし。

 便利系のスキルも魔法と同じだと思う。【言語】なら店のメニューとか読めるようになるんだけど、それでもレベルがあがったはずだし」

「へぇ。魔法じゃ、なんもねぇとこに唱えるのとモンスターに使うんじゃ、違ってるってのは言われてたけど、そんな感じになってんのか。

 ま、初期魔法を使い続ける理由もねぇけどさ」

「そうでもないわよ。これが本当なら、レベル上げを考えれば、無駄打ちでもできるだけ使い切った方が良いってことだもの。検証必須ね」

「ま、俺がそう感じたってことだから。

 で、続きだね。俺が覚えた技術とレシピは具体的に説明した方が良いかな?」

「ふむ。……それは一旦横に置いてもらえると助かる」

「そうだね。俺達じゃ情報に見合うだけのリターンが難しいからね」


 攻略に密接にかかわる情報は結構な金額で取引されるようだ。特に、レシピなんて、セック以降の街にある生産ギルドである程度の依頼をこなさないと教えてもらえなかったらしい。……βキツクね?

 技術も、俺が覚えてるのなんて誰でも思いつくようなのが大半だけど、まだまだ検証前どころか知られてない状態だから、大まかでも取得条件付きの情報なんて桁違いの価値だと。

 うーん。どうせすぐに価値がなくなる情報なんだけど。それに、攻略に使うんじゃなくて、広めるための前段階としての検証のためだし。まあでも向こうがそう判断するなら良いけどさ。


「じゃ、他の話だね。俺は街の住人に知り合いが多いんだけど、正直、区別がつかないくらい人間らしいよ」

「それはわかる。ここのギルド長しかりってやつだ。でも、そういう人ばかりじゃないぞ」

「いかにもNPCって感じでしか対応しねぇ奴だって結構いるぜ。必要最低限しか話しゃしねぇし」

「……そりゃあそうでしょ。俺だって、知らない人と和気あいあいと会話なんてしないよ。

 他のプレイヤーの買い物も見たことあるけど、入り口入ってすぐメニュー開いて購入でしょ?あれじゃあ、店員さんだって会話する気にならないよ」

「ねえ、グリフ達は街中の依頼を結構してるじゃない。そこのところどうなのよ」

「やってるとはいえ、ごく最近だよ。でもまあ、最初はつっけんどんな人も、何度か顔を合わせてるとってのはあったな。

 友好度が設定されているってのは確かだな」

「サンペイ。おめぇは確か」

「あ、うん。……途中だけど話して大丈夫かな?平気?ならいいや。うん。俺は結構街中散策が好きだから、仲良くなった住民も結構いるし、親しくなると対応が変わるのは実感してる。それどころか、その友好度の設定は、個人だけじゃないよ」

「どういうことよ。詳しく説明しなさいよ」

「説明途中に突っ込まないでよ。

 うん。現実でも同じだけど、ほら、今どきの若いもんはとか、政治家はどうだとかあるじゃん。ある特定のグループに対する感情ってのかな。例えば、態度が悪い冒険者が多ければ、初めて会う街の人だって同じ冒険者だからって厳しい目でこっちを見るし。そんな感じで、いくつものグループに対するパラメータ設定が態度に影響してるんだと思うんだよね。

 検証したわけじゃないけど、それなりに親しくなった住民にグチ言われたり、態度が変わった経験を踏まえると、そんな気がする」

「ならおめぇが書きこんでりゃ良かったじゃねぇか」

「冒険の合間にぶらついてるくらいだから確証もないし。検証だのなんだのって面倒でしょ。

 まだまだ検証班もそっちに手を伸ばせないでしょ」

「第二陣が入ったから何とかなるさ。逆に、攻略が停滞している今が一番いいかもしれないな。暇なプレイヤーが手伝うだろうし」


 うーん。このゲームは人気の割にはプレイヤー数が少ないんだよな。今までにないほど作りこまれてるから、恐る恐るプレイヤーを増やしながら調整してるんじゃないかってのが須佐見の意見。俺もそれには同意する。ここまでのゲームならどこに不具合が生じるか予測もできない。

 それにしても、好感度か。うーん。最初からトルークさんとかはごく普通の対応だった気もするけど。ん?でも、最初はあっちからだっけ声かけてきたのは。まだ始まったばかりだったし、プレイヤーに対する住民の感情も悪くはなかったのかな?何しろ、ここは始まりの街。冒険者自体にはなれてる。

 その辺りが上手に作用したのかもしれない。

 そんな考えをよそに、取引という名の情報交換は長く続いた。

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