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ELEMENT 2015秋号  作者: ELEMENTメンバー
テーマ創作「月」+「紅葉」
7/17

人と狐の邂逅(作:仲遥悠)

その世界においてかつて、八百万やおろずの神々の存在がまだ、人の知るところであった頃。 “日の昇る國”と称された國に住む天部あまのべ 晴明はるあきは一念発起した。

 「今日こそ盗みに入ってやる」と。

 彼の家は代々陰陽術と呼ばれる不思議な術を扱う、陰陽師の名家であり、その認知度といったら、これまで数多くの名だたる陰陽師を輩出してきた、知らない者は居ないと称される程だ。

 しかし、何故か彼は生まれつき、影が薄かった。 物理的ではなく、単に比喩であるのだが、家の中に居ても忘れられ、人に話しかけても気付かれない。 それは両親でさえも例外でなく、よく置いて行かれたり、「あ、あんた居たの」と一日に十回は言われる始末。 悪意があり過ぎるあまり面白企画の一種かと疑った時もあったが、本当に気付かれていないと分かった時の絶望感たるや、想像を絶するものなのだ。

 さて、陰陽師と言うからには当然、あやかしと呼ばれる存在が居ることも理解出来るだろう。

 妖とは、俗に言う魑魅魍魎ちみもうりょうの類で、人に害をなすことから陰陽師の敵である。

 また陰陽師は、この妖を討ち滅ぼすことで、帝から報奨金をもらう、霊力を生まれつき持っているという資格が必要な職業だ。

 だが、それなのに、何故か、彼の影は薄いのだ。 それこそ、妖にも気付かれない程に。

 これ程惨めなことはあろうか、これ程残念な陰陽師が居て良いのかいや、良くない。 だからこそそう考えた彼は、(よわい)五にして、一念発起したのだ。

 さてさて、次にその一念発起の内容になる訳だが、彼の独言通り、盗みである。

 彼は現在町を北に離れ、『荷稲(にいな)山』の山頂にある『荷稲神社』へとやって来ていた。 神社というからには何らかの、神様をまつっているのだろうが、幼い彼にとってはどうでも良いことだ。

 当然怒られるとは思うが、たまには怒られたいという気持ちもある。

 構ってちゃんで結構、これまで構ってもらえなかったのだから。

 ここに来るまで何度妖の前を通り過ぎたことか、何度手を振ったり触ってみたりしたことかーーー妖は普通の人には見えないのだが、その妖からも見られなくて、先程で黄昏ていたが、それも今日で終わる、かもしれない。


「…今度こそ絶対…盗ってやる…!!」


 既に鳥居が並ぶ内部の構造は、自分の家のように知り尽くしているので、堂々と目的地に向かって行く彼はその途中でふと足を止める。

 「今度こそ」の発言の通り、彼は何度もここに盗みに入り、何度も失敗している。


「……」


 一方踏み出すと足が何かに触れる感覚があったので、それを蹴る。


 だーーんっっ!!


 眼の前に(たらい)が、騒がしい音を立てて落ちてきた。

 これだ、これなのだ。 流石は神の社というべきか、目的の品までは厳重な罠が仕掛けられているのだ。 今のように凶器が落ちてきたり、ある時は踏み入れると粘着して暫く動けなくなるような床があったり、ある時はいきなり吸盤付きの矢が飛来したり、またある時は床が抜けて熱湯に落とされたりーーー様々な、種類に富んだ罠の数々に彼は驚き、恐れ、悔し涙を流しながら再訪を誓うのだ。

 さらに、彼を恐れさせる要素はもう一つあった。


ーーーくすくすくす。


「ひっ!?」


 笑い声だ。 どこからともなく聞こえくる年若い女の子の笑い声。

 幼い彼にとってこれ程恐ろしいものはないであろう。

 しかし、この日は違った。

 「男子三日会わざれば刮目して見よ」という書物の言葉を証明せんとばかりに、小さな身体を勇気で奮い立たせて奥へと歩く。

 ーーーそうしてどれだけ進んで行っただろうか。

 前も、後ろも薄暗い明かりが照らすのみの通路を進んでいると、何か嫌な音が足下でしたような気がした。

 足下が無くなる感覚の直後に襲う、浮遊感。


「うわぁぁぁぁぁっ、覚えてろよぉぉぉぉぉっ!!!!!!」


 ざばーんっ!!


「熱っ、熱つ、熱いっ!!」


 どうやら今日の落とし床の下は熱湯だ。 足は着くので必死に足を動かして飛び出ると、


「い``っ!?」


 丁度その先にも、落とし床。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


 ざばーんっ!!


「ひゃっ、冷たっ!?」


 熱湯の次は冷水。 身体が締め付けられるような凍える感覚を覚えながらも、飛び出ようとして、思い留まる。

 冷たいのを必死に我慢して、少しだけつま先に体重を掛けてみると、普通の床なようで、ゆっくりと脱出する。

 一歩一歩慎重に足を踏み出し、緊張の糸を緩めることなく、歩みを進める。


「よーし、もう大丈夫そうだ」


 しかしそこは子ども、緊張状態を維持することなど出来ずにその足は速くなる。


「ごっはん、ごっはん、ごっ…は?」


 そして落とし床は忘れた頃に、現れる。


「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?」


 本日三度目の落下に必死に身体をもたつかせていると、どこかから響いてくる笑い声。


ーーーくすくすくす…!!


 妙に弾力があるような床に叩き付けられた時に、とうとう頭に来た晴明は大声で、「ふざけんなよ!!」と叫んだ。

 しかし笑い声は止まらなく。 そんな彼を嘲笑うかのように大きくなっていく。


「…っ!!」


 それが、限界だった。

 人間の基本的な感情の一つ、恐怖ーーーこれまでの状況下において、彼の感情が恐怖に支配されるのは、いわば確実であった。

 不思議なもので、いつもより速く走れているような気がする彼は、山を降りるために鳥居を潜っていく。

 赤褐色の鳥居の隅を通って行くのは、人間としての本能なのか。

 顔をぐしゃぐしゃにしながら彼は、今日も無念の内に山を降りて行った。


「…???」


 気の所為か、昇る時よりも鳥居の数が少ないような気がしたが、数え間違いなどよくあることなので、深く考えなかった。


○ ○ ○ 


 翌日晴明は、朝食の皿を洗ってから部屋で巻物を広げていた。

 影の薄い彼はこの通り、陰陽の学習機関である、陰陽寮にわざわざ行かなくても、欠席にならない。 これまた不思議なもので、彼が巻物の写しをやっていても、普通は誰も気付かないのだ。 自分が居ることを眼の前で言わないと、出席扱いにならない。 それは天部 晴明幽霊説が出る程の辟易もので、負けた気がするものの、こうして部屋で巻物に眼を通している方がよっぽど楽しいのだ。

 遠い國の妖、難しい陰陽術、歴代の筆頭陰陽師の手記の写しーーー彼にとって、どれもが心躍る内容だ。

 それを読んで簡単なものがあったら、その効果、注意事項、を熟読して試してみる。 出来たら嬉しい、出来なかったら原因究明。

 紙に念を込めて式神として、少し飛ばしてみたり、小さな炎を起こしてみたりーーー陰陽の名家、天部の血が流れているのが幸いしてか、中々に、出来た。

 きっと他の子とは違うということを示して、自分の存在も認識してもらいなかったという、子どもなりの魂胆があったのかもしれないが、そこまでの思考を求めるのは酷というものだろう。

 この日は夜に、六壬式盤りくじんちょくばんを用いた六壬神課りくじんしんか式占しきせんの準備である天地盤の作成等をしてから、彼は家を飛び出す。 召使いが居るので戸締りはしないが、「さわるな」と書置きを残してきたので、問題は無いはずだ。

 人にぶつからないように町を歩きながら、町の守り手である防人さきもりの横を悠々と通って、外の世界に繰り出すと、「今日こそは、夕方までに終わらせてやる…!!」と意気込み駆け出した。

 よく町の大人達が子どもに、「外は危険だから出るな」と言い聞かせているのを眼にするが、何故危険なのかがまったく分からない。


「おーい」


 妖の近くで手を振っても反応は無い。 小動物の近くに行っても、逃げず、抱き上げることで初めて反応を見せる。

 虚しくなってきたので、気を取り直して彼は、数えながら鳥居を潜り、鳥居が並ぶ、長い長い山道を登った。

 その途中で、色鮮やかなものが視界に入った晴明はその足を止めた。

 最近妙に肌寒く感じる日が増えたと思ったら、葉々が赤や黄色の衣へと、衣替えをする季節がやってきていたらしい。

 右へ左へと交互に視線を動かしながらふと、せせらぎの音が耳に届くーーー滝だ。 上から下へと、摂理として止め処なく流れ落ちる清らかな流れと、跳ねる水飛沫が木々に潤いを与えている様子が乙なもので、もし清明が歌人であったのならば一句詠みたくなる程に風光明媚な景色であったが、彼は歌人ではない。

 陰陽の知識に関しては明るくはあるが、句をしたためることは流石に苦か。

 しかしこの小さな発見を、大きな感動である内に何かに残したくて狩衣の袖を探ったが、もしもの時の護身札ぐらいしかないので、紙に認めることは出来ないようだ。

 どうしたものかと考えあぐねている彼に、澄み切った風が吹き抜け、赤と黄色の紅葉をそれぞれ一枚連れて来た。

 どこか意思を持っていたかのような風の中に何形のある何かが見えた気がしたが、取り敢えず感謝しつつも、彼は二枚の葉をそれぞれ指の間に挟んだ。


「伏して、願い奉る」


 念を込めると紅葉が重なり、小さな茜色の短冊に変化したそれに文字が現れる。


「よし……あ!」


 満足そうに掲げた手から短冊を、風がさらっていった。 高く空へと舞い上がり、とうとう見えなくなった渾身の一句に肩を大きく落としながら、失意のままに今日も、彼は荷稲神社に向かった。


○ ○ ○


 今日も住職らしき人物は見当たらない神社の入口に立って、鳥居を潜ると周辺の雰囲気が変わった。

 普段に増して霊気を強く感じることを不思議に思いながらも、いつも通りの入口から侵入。 今日は時間制限があるため通路を急ぐ。

 そしてある程度進んだ所で、深呼吸をする。 ここからが、罠が仕掛けられている通路だ。

 慎重に一歩踏み出す。


「…?」


 いつもはあるはずの、足に何かが触れる感覚がない。

 もう一歩踏み出す。


「???」


 やはり、何も反応が無い。

 あることが当たり前だと思っていた手前、何とも珍妙ではあるが、これぞ正に重畳なり。 踏み出す足の感覚も速さも、一歩毎に大きくなり、遂には走っていた。


「これ、行けるかもしれない!!」


 建造物の中にある、彼からしたら不思議な鳥居を通って、歓喜に顔を綻ばせる。

 この試みを初めてまだ、それ程長い時は経過していないが、随分と道程が長いように思えた。 いつもいつも影が薄かった自分に訪れた絶好の機会。 絶対に無駄にしないという確固たる意志の下に走る彼はとうとう、とうとう辿り着いたのである。


「うわぁぁ… っ!!!!」


 目的の品が安置されている場所に到着した清明は、神聖な霊気に感嘆の息を零した。

 ここは狐を祀っている神社なのだろうか。 燭台の炎が小さく揺れながら照らすのは、見上げる程に大きな狐の像。 それが二体あり、それぞれの間にある段ーーー正確にはそこにあるであろう、祭具を見ている。

 清明の目的の品というのは、『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』と呼ばれる祭具であり、巻物の中にこれについての記述があったのだ。

 なんでも現存する八百万の神々の力が込められた神具であると書かれていたが、何故この神社の最奥に納められているのかが謎だった。

 しかし、それ程に大層な物を盗んだとあったら否が応でも影が薄いなどとは言われなくなるだろう。

 いずれにせよ後々返すつもりなので、臆することなく階段を上って行くと、何かに軽く押し返されたような気がしたが、無事に祭壇に辿り着く。


「凄い霊力…これが八尺瓊勾玉か…! 少しお借りします。 別に悪いことに使う訳ではなくただ持ち運ぶだけなのでお許しを…「待て小童」」


 空間内に響いた声に晴明は、反射的に手を引っ込めて振り返る。


「気無しに触れるでない。 如何に天部の血の者と云えども、裁きが落ちようぞ」


 まるで突然現れたかのように彼の背後に立っていたのは、齢四十程の男であった。 身なりを見るに、この神社の宮司だろうか。

 だが、それよりもっと驚くべきことが彼にはあった。


「お、俺が見えるのか?」


 見詰める眼には彼が焦点として結ばれており、それは、今までに彼を見詰めてきたどのような瞳とも、違う眼差しであった。

 宮司は胡乱気に眼を細めると、その瞳に微かな動揺を帯びさせ小さく「解」と呟いた。


「戻るが良い。 此処を訪ねるのは結構だが、やしろの鳥居はもう潜ろうとするでない。 現世げんぜの者で在りたければな」


「うつし…よ?」


隠世かくりよの対語、此の世の事だ。 解せたのならば去れ」


 色々疑問があったが、それよりも、こうして自分のことを認識してくれる宮司の存在が嬉しくて、「また来たら会えるのか」と彼は訊いた。


「二度は云わぬ。 去るが良い、天部の小童」


 「ありがとう!!」と頭を下げると、清明は来た道を戻って行く。


「?」


 一瞬だが何か、尻尾のようなものが宮司の後ろから、見えた気がして振り返ったが(かぶり)振ると、紅葉散る中、山道を下って行った。

 そしていつも通り、誰にも見つけられることなく家に帰った晴明は、天地盤の前に腰を下ろして一人、月と交互に睨み合いをしている。

 陰陽師にとって、式占は必須技能の一つであり、彼はこうして気が向いた時に色々なことを占っているのだ。 もっとも、的中率が保証されているものではない。

 しかし陰陽師の見る夢には何かしらの意味が、必ずあるように、正しい手順によりより行われた式占も、何かしらの意味がある。 例えば運命が揺れてしまっていることや、そこに至るまでの過程で自分が関わっている可能性だ。

 六壬式盤によって彼が得た答えは、“凶兆”。 これから良くないことが起こることを示していた。

 では何故彼は月を眺めているのかーーーそれは、星の位置を確かめているためだ。


「北辰…」


 北辰(北極星)かげりがあるということは即ち、この国の主に災いが降り掛かる凶兆だ。

 しかしそれだけではない。


「違う…全て…ん、あの星は…」


 晴明は部屋の隅に置いてある渾天儀こんてんぎを自分の側に寄せて、指標となる星の並びが現在と同じになるように調節してから、その配置を見比べる。

 北辰が翳り、その周りの星々が翳っていく。 それは、国に災いが降り掛かることを意味する。

 しかしその中で大きく、観ていて不安感を覚える輝きを放つ星が、四つあった。 晴明がその星を見つめている中で、星は、僅かにだが位置を変えている。

 すると、星が流れた。


「ーーー!!!!!!!!」


 すると、その流れの軌道上にある星々の輝きが、消えた。

 不意に、町の外が慌ただしくなり始めている。 おそらく他の陰陽師がこの途方も無い凶兆を騒ぎ立てているのだろう。

 だが彼らは騒ぎ立てるだけで、その凶兆の意味が分からないようだったが、ふと彼の脳裏に“四つの凶星”という言葉が引っ掛かった。 最近何かの巻物で読んだ覚えがあるような気がするのだ。

 すぐに巻物を全部引っ張り出して中を読んでいく。


「これは確か…精霊、桜龍の…いやこれじゃない」


 凶兆について調べているのに、吉兆について調べてどうするのであろうか。

 今求めているのは、いつも読んでいるこの巻物ではないので、閉じて別の巻物を開く。


「あった!!」


 程無くしてその巻物は見つかった。 勢い良く現れた内容に眼を通すと「四凶現天哭地叫人滅…」と書かれていたが、彼には読むことが出来なかった。

 しかしその隣に、凶々しく書かれた四種の化生けしょうの絵、それを見て言葉の意味に思い至った。 難し過ぎて名前は読めないが。


「…どう読むんだ…「饕餮(とうてつ)檮杌(とうこつ)渾沌(こんとん)窮奇(きゅうき)」…?」


「左から順に饕餮(とうてつ)檮杌(とうこつ)渾沌(こんとん)窮奇(きゅうき)と読むんだ」


「父上、母上…」


 優しく耳に届い声に視線を向けると、そこには両親がどこか、誇らし気な面持ちで立っていたのだが、これまで一度として、自分に対して結ばれていなかった視線の焦点が、確と自分に結ばれていることに対して、彼の頭は混乱した。

 そんな彼の様子を見てか、二人は居心地悪そうに視線を交わすと、その理由を短めに語ってくれた。

 曰く、誕生した時より既に、二人に比肩する、類稀なる霊力を持っていたことで、晴明を喰らい、自らの血肉としようと、毎刻のように妖が押し寄せて来たこと。

 妖自体は討滅出来るものの、一分一秒足りとも気が抜けず、一人で外出すら出来ないことは最早、軟禁にも等しいので、一計を講じることにしたそうだ。

 それは、晴明の霊力を極限にまで封じ込めることであり、二人はとある神の許可を得た後に、『八尺瓊勾玉』に彼の霊力を封じ込めたそうだ。

 結果、無事に成功。 封じ込められた晴明の霊力は神の名の下厳重に管理されることとなり、彼は妖に襲われることなく、自由に外を出歩けるようになった。 そしてそこに、晴明の存在感が薄い原因があったのだ。


「神様って、眼の前に居たら誰でも分かっちゃうぐらいに霊力、存在感があるの。 つまりね、霊力が大きければ大きい程、存在感が増すことになるのね」


「極限にまで封じ込められた晴明の霊力と、存在感は既に人が存在を認識出来るその、下限を優に下回ってしまったということだ。 だから父さんも母さんも、余程意識を集中させないと、お前がどこに居るのか分からなかったんだ……? この妖気は…」


「あなた…!!」


「じゃあどうして今はちゃんと見えるのですか?「すまん、話は後だ」…?」


 話の途中で何かに思い至ったらしい両親が睨む視線の先で、


「ーーー!!!!!!」


 突如として望月が二つに割れ、雷鳴が北の方角で轟いた。


ーーー招集ーーっ!!!!


 一瞬の静寂の後に、國中に響き渡るような招集の命令。


「父さんと母さんは内裏に向かうから清明、絶対に家から出るな、良いな」


 それぞれ赤い刺繍が入った白と、白い刺繍が入った赤の狩衣に身を包んでいる二人は、晴明の存在を確かめるかのように頭を撫でると、家を出て行った。

 その二人を見送っていた彼であったが、北の方角ということが妙に気に掛かった。

 今思えば、『八尺瓊勾玉』を盗もうと思ったのは、その中に自分の霊力が込められていたことに、無意識的に気付いていたのかもしれないと考えながら巻物をしまおうとして、その手を止めた。


「北…北? まさか」


 荷稲山は、ここから北にあるーーー嫌な予感がした。

 夜空を静かに照らしていた月は二つに別たれ、それぞれ青と赤に光を放っている。

 だが、蒼月はその輝きを徐々に失いつつあるように見え、それに対して赤月はその凶々しい輝きを増していく。 その輝きは正に、妖しい。

 厳かな光と、妖しい光それが、霊気と妖気ならば、意味することは一つ。


「っ!!」


 妖気が、霊気を喰らおうとしているのだーーーその考えに至った時点で彼は、町を出ていた。

 見かける妖は、その力を増しており、その奇怪さも増している。 それらを見ていると、汗が吹き出てくるような感覚を覚えた。 恐怖の感覚だ。 しかし幸いなことに、向こうがこちらに気付くことがないので、何事を無く彼は荷稲山の麓に到着した。

 足を一歩踏み入れると分かる、重圧感。 身体が受け付けまいとする妖気が彼を押し潰そうとしているのだ。

 彼は袖に手を差し入れると霊符を取り出し、それを入口の鳥居に二箇所貼り付けた。


「これでよし」


 貼り付けた札は記憶が正しければ、妖気を遮断する札だ。 人の手が入った山道は一本道なので、これで凶暴化した妖を遮断しようと考えたのだ。 実際にはそれ程意味が無いのだが、彼なりの知恵なのだろう。

 陽のある刻に訪れた時とは、まるで正反対の不気味な山と変貌を遂げている、暗闇の山道には、美しかった紅葉が枯れ果てて落ちている。 滝の流れも干上がっており、評するのならば死の山だ。

 赤月の下跋扈(ばっこ)する妖は、我が物顔で山を徘徊しているが、彼に気付く妖は居ない。 存在感の薄さはこんな時でも、作用し、彼の気配を妖気の中に紛れ込ませているのだ。

 また、入口の鳥居に貼り付けた霊符も所謂、囮の形で一役買っていた。

 頂上の方から微かに漂ってくる霊気を道標にして、不明瞭な視界の中息を殺して登って行く。


「っ!!」


 赤月が大きく光を放ったかと思うと再び、雷鳴が轟いた。

 驚いてしゃがみ込み、耳を塞いだ彼の鼻に何かが焼ける香りが届く。

 木が焼ける臭いだ。

 人体にとって有毒な香りーーー身を縮込ませながらさらに進むと、妖とすれ違った。


「!?」


 すれ違った妖が立ち止まり、静かに、木蔭に隠れた彼の居る方向を向く。

 …。

 ……。

 ………山を下って行った。


「ふぅ…」


 思わず安堵の息を吐きながら、気を引き締め直し、小さな身体に勇気を奮い立たせて進み、ようやく辿り着いた山頂の惨状に、眼を見張った。

 無残に壊された神社の前で“何か”が、“何かだったもの”を貪っている。 既に原型を留めておらず、ただの生々しい肉塊となったそれを、気色の悪い音を立てて喰らい付く“何か”は、およそこの世の存在とは思えない程ーーー否、存在とすら評せない程に、生物進化の過程から外れた醜悪な体躯を妖しく動かしていた。

 さらにその凶々しさと歪さは、肉塊を喰らえば喰らう程、増す。

 喰らい終わる。 すると、身体が膨れ上がった。

 新たな腕が二本生えた。

 顔の下に新たな顔が生えた。

 最も純粋な悪であり、最も存在として純粋でないその姿こそ、凶。

 四凶が一柱、饕餮(とうてつ)。 巻物で読んだばかりの、神喰らいの大妖がそこに、在った。

 赤く光る眼らしき部分が、獲物を探すかの如く、静かに動き、止まった。

 最初は自分が見つかったのかもしれないと考えた清明だが、すぐに違うことに気付く。

 純白の子狐だ。 予想するに、先程喰われていたのは、親狐なのだろうか。 見つかったと気付いて怯えたように後退りするその首元に、青白い輝きを放つ勾玉を彼は見た。


「っ!!!!」


 反射的に清明は駆け出し、狐と饕餮とうてつ、その間に躍り出た。

 対峙すると改めて分かる、その恐ろしさが。

 自然と身体が震え、膝から崩れ落ちそうになる中、その巨躯が動き出した。 獣のように飛び掛かる姿に、清明は、自分が死ぬのだと自覚し、眼を強く瞑った。












 (まぶた)の隙間からでも分かる、眩い閃光が弾ける中、清明は眼を(おもむろ)に開ける。


「!!!!!!!」


 時が止まったように思えた。

 あの饕餮(とうてつ)の姿が眼の前にあったからだ。

 …しかし、その巨躯を叩き付け、血に塗れた、腐臭が香る鋭い牙で喰らい付こうとしているはずなのに、何かにそれを遮られているかのようだ。

 否、何かではない、障壁だ。 いつの間に出したのだろうか、伸ばした手には札が握られており、こうして妖気を遮断していることはつまり、鳥居に貼り付けた霊符は別の札だったようだ。

 だが幾ら当代一と称される両親の霊符であるとはいえ、ここまでの効果があるものなのか。 仮にそこまでの霊力が込められていたとしても、霊力を封じ込められている自分が霊符の能力を、完全に引き出せる訳がないのだ。 自らの霊符でなければそこに霊力の相性が関わるからであり、霊符はあくまで発動者の霊力を増幅させ、より純粋な陰陽術を発動させるための触媒。

 要するに、これはおかしいということであり、思考の海で溺れていた清明も「兎に角おかしい」という結論に落ち着いたのだった。

 しかしここでもう一つ疑惑を抱いたのは他でもない、異様な精神の鎮静だ。

 自身の感覚が狂ってしまったかのような冷めてしまった感情。 そして、湧き上がる力ーーーそれが背後に庇った狐が首に着けた『八尺瓊勾玉』によるものであると理解するのには、それ程時間を要しなかった。


「貸して!!」


 気付いたら空いた方の手を伸ばしていた。

 その手が勾玉に触れると、力が解放されるーーー!!!!


「………」


 せきを切ったように溢れる霊力で弾き飛ばした饕餮(とうてつ)に向かって霊符を投擲する。


「縛!!」


 その巨体に深々と刺さった霊符は言葉(ことのは)を受けて、戒めの縄となったことを確認せずに、これまでとは別の裾から新たな札を取り出すと、それを指に挟み眼を閉じる。


天枢(てんすう)


 それは、彼が一番最初に覚えた呪文であり、流暢にその言葉は紡がれた。


天璇(てんせん)


 それは、七曜の星をなぞるが如く。


天璣(てんき)天権(てんけん)玉衝(ぎょくしょう)


 それは、大地を踏みしめるが如く、一句毎に一歩前進する。


開陽かいよう


 呪縛を解いた饕餮(とうてつ)の顔が歪み、狐の面が現れる。

 血肉とした神の力を取り込むーーーそれも、四凶が神喰らいとされる所以だ。


揺光(ようこう)!!」


 最後の言葉と共に清明を中心として、練り上げられた山の霊気が紅葉と共に爆発する。

 同時に放たれた紫炎がそれに拮抗し、互いに衝突する。

 頭上では赤月が輝きを増し、夜空を妖気で満たしていくーーー蒼月は依然、その輝きを(かげ)らせていくばかりであり、それに合わせるかのように、清明の身体を異様な脱力感が襲う。

 背後の子狐が心配そうに鳴くが、身に余る力の行使により増していく脱力感は留まることを知らない。


「はぁぁぁぁぁーーーっ!!!!」


 せめて気合いで負けないように声だけでも大きく張り上げる。

 しかし、気合いだけではどうにもならないことがある。 事実、こうして拮抗しているだけでも奇跡的なのだ。

 気を抜くと、一瞬にして呑み込まれてしまう妖気の奔流が、追い討ちを掛けるようにその烈しさを、増すが、それでもなお呑み込まれないのは、山の霊気が浄化され高まり始めているからだ。


「ーーー!!」


 もう限界だ。

 大人が来る前に、晴明の意識が飛んでしまうその時が、訪れようとしていた。


「かはっ!?」


 喉に溜まった何かを咳と共に外に出すと、覚えたことのない味が口の中で広がり、赤いモノが吐き出された。 拮抗していた状態から妖気が徐々に押していく中、國を出た陰陽師の誰かが先行させていたらしい式神が、衝撃の余波に消し飛ぶ。 生き残った式神が力を貸してくれているのか、微かに身体が楽になる。


『ーーーき』


 その中から、父の声が聞こえ、それだけで安心してしまうのは、彼もまだ幼いということだ。

 しかしそれ以上の言葉を交わすことはなく、代わりに晴明の額に文字が書かれた面を触れさせると、発火して消えた。


「……力を借りる?」


 たった一つの勝つための方法を、教えてもらった。

 力が足りなければ。

 どうしようもなければ。

 それでもどうにかしたければ。

 そんな時の最後の最後の手段。


「…っ!!」


 悩んでいる(いとま)はない。 霊符を取り出し、負けてしまわないように、ただ、お願いする。

 しかし、悪神の力を借りてはいけない。 善神の力を借りなければ。

 だが願ったところで力を貸してくれるのだろうかーーー願うしか、ない。


「伏して、願い、奉る…」


 自分の声を聞き届けてもらえるためには、正しく言葉を紡がなければならない。


今此地(きんこんじ)我召候(がしょうこう)


 彼が思う以上に、その言葉は容易に浮かんだ。


其春司(そしゅんじ)其春守(そしゅんしゅ)其春望(そしゅんぼう)


 紅葉が彼を中心に、舞い飛ぶ。


時水如流(じすいにょるい)想変不続(そうへんふぞく)降注桜下(こうちゅうおうか)龍蘭共在(りゅうらんきょうざい)


 足下に現れた五芒星が大きく光を放ち始め、妖気を押し返し、闇を裂くように、赤月を貫かんと、彩られた葉々を巻き上げていく。


龍天(りゅうてん)拠吼鳴(きょこうめい)蘭地拠天仰(らんじきょてんぎょう)蘭花(らんけ)咲誇春(しょうこしゅう)龍煇(りょうき)散桜成(さんおうじょう)……花蘭王花春(からんおうかしゅう)……っ!!」


 霊符を天高く掲げる。

 片手で攻撃を抑え、片手を真上に上げると、相当に不格好ではあるが、命の瀬戸際にそのようなことを気にしてはいられない。

 晴明は溢れる霊気を感じながら閉じた眼を見開き、声高らかに叫んだ。


急急(きゅうきゅう)如律令(にょりつりょう)ーーーっ!!!!」


 解放された霊気が妖気を押し返していくーーーが、饕餮(とうてつ)はもう二つ、狐の面を増やし、三倍の妖力でそれを押し返していく。

 “万事休す”か、そう思った時。


『お届けものなの〜!』


 声と共にどこからともなく現れた二つの風が、晴明を囲むように渦を巻く。


『想いは届くの、伝わるの〜!』


『『だから諦めちゃ、駄目なの〜!!』』


 渦を巻く風に巻き上げられていた紅葉のその姿を、別のモノに変えさせる。

 それは、淡く色付いた花の嵐。


「ーーー!!!!」


 一瞬にして紫炎を押し返し、饕餮(とうてつ)を呑み込んだ桜吹雪の中に晴明は、淡い桜色の龍鱗を持つ美しい龍と、そのたてがみに埋もれるようにして乗っている、天真爛漫の形容がよく似合う異国の装いをした、可憐な少女の姿を見たような気がしたーーー


○ ○ ○


 霊力と身体を酷使した晴明が眼を覚ましたのはそれから三日後のことであった。

 未だ酷い倦怠感を覚えつつも、身体を起こすと、


「あづっ!?」


 頭上から落ちた盥が頭頂部を直撃した。 突然の衝撃で布団に沈み込むと、「くすくす」と笑い声が聞こえたような気がしたが、視線を動かしても誰も見つけられなかった。


「眼を覚ましたか、清明」


 代わりに、彼が起きたことに気付いた父、晴臣はるおみが隣に腰を下ろした。

 もう以前のように視線を彷徨わせることがない父に安心しつつも、あの後何があったのか、彼は訊いた。


「あぁ、お前のお蔭で饕餮は無事、退かすことが出来た。 荷稲の(やしろ)も半壊状態だが狐神(きつねがみ)様も…いや、それよりも身体は大事無いか?」


「……身体が重い」


「勾玉に封印した霊力はまだ今のお前に御しきれないと今回の件で分かったからな。 改めてお前の霊力は封印させてもらった。 なに、時が来れば戻すさ」


 晴明の霊力は、あの事件の後すぐに『八尺瓊勾玉』に再封印された。 今回は前回の失敗を踏まえて、封印量を調節したのでもう両親に認識され難いということはなくなりそうであった。


「しかしお前が降霊術を使えるとはな。 あれは確か…人の想いを受けて精霊から昇華した神だと聞いたことがあるが、よくもまぁ、一からの呪文であそこまで、完璧な状態での降霊を行えたものだよ、立派だったな」


 頭を撫でる大きく優しい手の感触、親の温もりというものだろうか、心が安らいで嬉しかった。


「今度桜が咲いたら、お礼を言いに行かないとな。 遠い所から来て下さったのだから、言わないと天罰が落ちるぞ」


 晴臣は誇らしそうに笑うと、真面目な面持ちに戻す。


「……気になるか?」


「え、何が?」


「庇った子狐がどうなったか、だ」


 盥のことも含めて確かに気にはなっている晴明だ。


「……行って来い。 沢山の罠を仕掛けて待っているそうだ」


 間が妙に気になる言ではあるが、取り敢えず許可を得たので、ゆっくりと身体を起こす。


「あづっ!?」


 再びの盥により布団に沈む。

 「寝とけということか、ふむ」と一人頷く父は、出仕の時間ということで内裏へ。

 その後何度も起き上がろうとしたのだが、その都度盥が襲来するので、その日一日中、彼は布団上で蒼月と赤月、二つの月を眺める生活を強いられるのだった。


○ ○ ○


 美しい紅葉と滝が望める、荷稲山の絶景を晴明は眺めている。

 今の彼にとってこの山を訪れる目的は三つ。 一つはいつも通り『八尺瓊勾玉』を盗むこと。 二つはこうして自然の中に身を委ねることである。

 鳥居が並ぶ長い長い山道を登る。

 山の頂上にあるすっかり元通りになった神社の中に足を踏み入れる。

 数をこなせば何とやら、何度も繰り返して罠に掛かる内にその配置の規則性も、把握出来るようになってきた彼は、奥の方まで突破出来るようになったのだ。

 そして今日この日。

 彼は再び最奥の間まで辿り着いていた。

 入り口付近とは違い、最奥部は被害を受けた訳ではないので、代わり映えのない光景に、思わず安堵する。

 しかし代わり映えのない光景というのは、若干の語弊がある。

 確かに、在る景色は変わっていない。 だが、見える景色は、変わっていた。


「もう良いんじゃないかー!」


 ここまで辿り着くまでに季節が一巡りした。

 それ程身長が伸びた訳ではないが、それでもあの時以来一度足りとも見る機会がなかった晴明からすれば、その感覚も頷けるであろう。

 三つ目の目的、あの時の子狐に会うこと。

 しかしあの時以来、一度もその姿を見たことはない。


ーーーくすくすくすくす……


 姿を見たことはないが、あの時以来、笑い声がより楽しそうなものへと変わっているような気がした。 

罠も内容こそ変わっていないものの、その配置が、完全に彼の思考を読んでいるためにその先を読まないといけなくなり、気が付けば先を読むことに長けるようになってしまっていた。

 因みに碁では既に、晴臣に完勝している。 初めて一勝した後の静寂、再戦後、再び勝利した後のあの

寂し気な表情が未だ、脳裏に浮かぶ。


「……」


 笑い声だけで反応が無いので、取り敢えず勾玉の下へと向かう。


「……あ」


 その前を塞ぐようにして、小さいながら、その身体から強い霊気を放つ、あの時の狐が現れた。


「…触るなってことか?」


 幼い晴明が予想するには、以前ここで会った宮司は狐神の眷属だったのかもしれない。

 この子狐はきっと、その役目を引き継いでいるのだろう。


「なら止めないとな。 取り敢えず目的は全部達成したし、俺は帰…!?」


 そこで子狐が、何かを咥えているのに気付いた晴明は、それを見て踵を返そうとして身体を戻す。


「…あの時の風…お前の仕業だったのか?」


 咥えられている札を凝視しながらよくよく思い出してみると、紅葉を届けてくれた最初の風と、折角完成した札を攫っていってしまったのは、別の風であるように思えた。

 しかしこの子狐が起こしたというのなら頷けなくもない。

 ふと、「もしかしたら、眼の前の子狐が狐神の最後の一体ではないか?」と、彼はここで仮説を立てた。

 もしそうなら、構ってほしいのだろうか。 あの笑い声がこの子狐のものであるとするのなら、それが十分頷ける。


「…遊んでほしいのか?」


 その言葉を待っていたと言わんばかりに子狐は床を蹴ると、晴明の脇を通り抜けて向こうに消えた。


「そっか…そう言えばこういうもの、あまりやったことがないな。 よし、絶対に捕まえてやる!!」


 それを追い掛けて晴明も外に出る。


「居た!」


 大きな霊力は自然に作用する。

 紅葉が舞うその場所に、必ず狐は居る。

 それを彼は追い掛けるのだ。

 紅葉舞うその場所へと追い掛けていくのだ。

 鳥居が並ぶ長い長い山道を登って、そうして一人と一匹は戯れ、日々を過ごして行く。

 しかし時は、清流の流れと共に止め処なく流れていく。 一人と一匹はいつの間にか、一人になり、残された一人の神ならぬその身体は成長していく。

 あの時以来赤月が輝きを強める日は訪れず、『八尺瓊勾玉』に込められた霊力を、全て受け入れられるまでに成長した清明はそれでも変わらず、一日一度、必ず荷稲神社へと向かうのだ。

 赤と蒼、双月の望月が夜空を照らす下、紅葉が舞い上がる場所を探し、再会の日を夢見て歩みを進めていく。

 そう、鳥居が並ぶ、長い長い山道を登って……











今作を執筆するに当たり、長谷川様の『桜守りの龍と春待ちの少女』より、「花王」と「春蘭」をお借りしましたのでこの場を借りて、謝辞の言葉を書かせて頂きます。 本当にありがとうございました。

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