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第三話「松田と北村」
「おーい松田、松田ってさ、予備校とか行ってないの?」昼休み中に突然そう声をかけて来たのは北村だった。
北村総一郎、コイツは成績優秀でスポーツ万能の秀才、美容整形でカスタムされたその顔は端正で美しく
女子からのみならず一部のや教員や他校の女子からの認知度も圧倒的。まさしく羨望の的、文字通りの「スター」であり「学園のアイドル」といったところだ
ろくに関わったこともない人間からの、訳の分からない突然の質問。同じクラスという関係性はあるにしろ誰だって警戒する。質問してきた本人が学園のスターともなれば尚更だ。
しかーし、俺はいたって冷静だ。瞬時に思考の網をクモのように巡らせ、この問いに隠されている本質を捉えた
「コイツ、何かを探りに来たな・・・」
なぜそんな恐ろしい答えを捉えてしまったのか、理由ならある。なぜなら俺はコイツを知っている。そして、コイツも俺を知っているのだ
正確にはとうとう知ってしまった。というところであろうか