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高3Labo  作者: 松田イルカ
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第二章「長くて早い一年が始まろうとしていた」

緑川事件から一ヶ月ほどが経った。俺はなんとなく居心地の悪い教室で、相変わらず何もしでかさないようにビクビクしながら獄中生活を続けている。


しかしながら、さすがに「人の噂も75日」と何かのことわざにもあるように、少しずつではあるが


俺の存在は影の薄さと比例して本来の気薄さを取り戻しつつある。善にも悪にもなれなかった幽霊、まさに魂の成れの果てのような気薄さを。


「本来の気薄さ」とは言ったものの、今の俺はサッカーで言ういわゆる「イエローカード状態」ポスト中村・吉田に一番近いホープのような存在


いままで二年間なんとなく、しかし着実に積み上げて来た「中の下」という安定株式が今回の事件を機に今まさに暴落中なのだ。


ちくしょー、せめて「親友」なるものを作っていたならば、あるいはこの最悪な状況から脱することができたのかもしれない。


例えるなら、戦後直後の日本を世界第二位の経済大国にまで導いてくれたアメリカのような存在が・・・


あああ、そうだまさにアメリカのような存在を!支配関係でもいい、指図されても良い、洗脳でも催眠でもなんでもいい


今の俺にはマッカーサー元帥のような人間が必要だ。。マッカーサああ元帥様ああ助けてえええ!



________________




まあいい。今はとにかく慎重に慎重に、特に授業中は意識というものを完全にシャットアウトし、悟りの境地で自分をコントロールしていくしかない。そう、ブッタのように。


いかんせん、今はまだ5月の上旬、記念すべき卒業という新世紀を迎えるには早過ぎる。なんせまだ丸々一年近く残っているのだ。


ちくしょー、せめてこれが下半期後半という大台に乗っかっていたなら話は別だ。来たるセンター試験に向けてコツコツと勉強をしながら


テキトーにクラスの奴らと協調性を保っていればいいのだ。しかし現実はそうではない。いくらカレンダーを睨みつけようと五月のまま、


いくら願おうと、イエスも釈迦もヤハウェイも俺の願いを聞き入れてはくれない。本当になんて奴らだ。


ちくしょー、先は長いぜ。体育祭やら文化祭やら修学旅行やらくだらないお遊戯会が腐るほど残ってやがるじゃねーかくそ。


にしても、問題なのは、いつまでこの悟り状態を続けるか、だ。なんてったって俺は今まさに「陰キャラ」だの「オタク」などといった不名誉な称号を受賞する寸前


なんとかイメージアップして陰キャラ予備軍から脱しなければ・・・


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