繋がった先は
同じ職場で働いていた篠崎さんの話。
仕事の合間に、篠崎さんは所属派遣会社の営業担当者に携帯電話で連絡を入れた。
電話をしたのは派遣会社の事務所ではなく、営業担当者の携帯電話だった。
何度かコールされた後、繋がった。
とたんに、男が何かわめいている声と、犬がギャンギャンと悲鳴をあげている声が耳元で炸裂し、ブツリと切れた。
電話番号を間違ったのかと思った。しかしかけたのは携帯電話のアドレス帳に登録している、いつも連絡に使っている番号だった。
もう一度かけた。
電話が繋がるや、何かドンドコドンドコという太鼓の様な音と、誰かが低い声でブツブツ言っている声が聞こえてきた。
また切れた。
なんだかもう電話をかけるのが怖くなっていたが、しばらくしてからまたかけてみた。
今度は担当者が出た。
しかしそのとたん、
「あーっ!」
という男の叫び声とともにまたブツリと切れた。
驚いていると、担当者の方からすぐに連絡が入った。
「もしもし。いやすいません、途中で切れまして」
と言うので、大丈夫ですか?何か叫び声がしましたけど、と篠崎さんがいうと
「え?叫び声?いえ、こっちは別に……いやすいません、この電話、時々変なんですよねぇ、会社の電話なんですけど。すいません」
と担当者は言うばかりだった。
それから数日後、担当者から、前の携帯電話が壊れたので電話番号がかわった、と連絡があった。




