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迷宮戦闘(ダンジョンバトル)  作者: 轟号剛


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融合

"それでは引き続き魔物の取得、またはスキルの取得処理へ移ります。

こちら配分はどういたしますか?"


[Hランク 魔物

Gランク 魔物

Fランク 魔物


Hランク スキル

Gランク スキル

Fランク スキル]


目の前に現れた光の文字を賢は迷う事なく全て魔物を選ぶ。


自身のユニークスキルの特徴を考えるとこの選択肢しか無かったのだ。


"選択を確認。

これより魔物を召喚致します。

出口を出て大広間へ移動して下さい"


賢は突然の移動の指示に驚くがすぐにこの狭い一室に300体近くの魔物が召喚される事など不可能に近い事に気づくと納得する。


「それではこちらへ」


ホワイトマジシャンは出口へ恭しく案内するが、賢は目も合わせずに一人で黙々と出口を出ていった。


ホワイトマジシャンに絡んでも得が無いと判断したのだ。


「おやおや、もう嫌われてしまいましたか」


そんな賢の態度に対しても笑顔で受け入れると黙って賢の後を付いていくのであった。


出口を出るとだだっ広い一室がそこにはあった。


奥には巨大なゲートのような物が配置してあり、青白い光を放っていた。


「あちらのゲートは戦闘場へと繋がる門です」


ホワイトマジシャンの説明に賢は黙って頷く。


この門の存在は事前に説明されていたため知っていたのだ。


"光に触れて下さい"


再度賢の目の前に三つ光の水晶が現れると賢はそれを順に触れていく。


まず一番左にあった水晶が弾けると200の光に分裂する。


そして分裂した光は小さく形作り体を変化させる。


現れたのは小さな丸いフォルムで水水しい体を持つ魔物であった。


[Hランク:スライム

 戦闘能力は最弱クラスであるが、再生能力を持つ。スキル:再生]


続いて真ん中の水晶が割れ再び100の光に分裂し形作られる。


光は狼の様な生き物へと変化すると従順に伏せをした状態で主の命令を待つ。


[Gランク:ウォーウルフ

 一見普通の狼であるが、闘争本能はその10倍ほどありその牙と爪はより鋭くなっている。

 スキル:鋭利]


そして最後の水晶が割れ50の光に分裂すると巨大な魔物を形成する。


体長が5メートル程になる岩でできたその魔物は見るからに頑丈そうだ。


[Fランク:ゴーレム

 強固で大きな体を持ち、その巨大は心臓部にあるコアを破壊する限り壊れる事は無い。

 スキル:硬化]


三体の新たな魔物達が生成されると賢は騒然となる。


合計350体もの魔物が今、賢の目の前に整列しており賢の命令を待っているのだ。


その緊張感は言葉では言い表せないだろう。


「ふふふ、マスターも緊張するんですね」


そんな様子をホワイトマジシャンは揶揄うと賢は黙って睨む。


「スキルを使うのは確か言葉にするかイメージすれば良いんだよな。

 【融合】対象はスライムとウォーウルフ」


賢の言葉がトリガーとなり、一体のスライムと一体のウォーウルフの地面から紫色の煙が立ち昇る。


すると二体はそれぞれ紫色の球へ変化すると空中でぶつかり合い溶け合う。


そして新たな黒色の球を作り出すと中心からヒビが入る。


黒色の球から現れるのは一匹の狼であった。


他の狼と違うのは一点、全身が液体でできている事だ。


[G+ランク:スライムウルフ

体が液体でできているがウォーウルフの俊敏性は健在。再生能力も併せ持つが鋭利のスキルは失われた。

 スキル:再生]


スライムウルフの情報を見た賢は少し眉を細める。


「微妙だな」


確かにウォーウルフの素早さを持ちながら再生能力も併せ持つのは強いが、肝心の攻撃力が失われてしまっている。


実験(イリュージョン)に失敗は付き物ですよ」


そんな不機嫌な賢をホワイトマジシャンが茶化すように嘲笑うと構わずスキルを発動する。


「【融合】対象はスライムとゴーレム」


再び二体は紫色の球体となり溶け合う。


そして黒い球体から出て来たのは想像通り液体化したゴーレムであった。


[F+ランク:スライムゴーレム

 体が液体でできているゴーレム。

 コアが丸見えで弱そうに思えるが液体から金属へ体を一瞬で作り変える事もできる高性能なゴーレムである。スキル:再生・金属化・液化]


「中々使えそうだな」


今回は何なら弱体化しそうだと考えていた賢は思いのほか強い魔物ができた事に歓喜する。


「ちゃんと笑えるじゃ無いですか」


そんなホワイトマジシャンの茶々に一瞬で口角を落とすと最後の組み合わせを試す。


「【融合】対象はウォーウルフとゴーレム」


混ざり合いできた今回の魔物は他のウォーウルフ達よりも一回り大きな肉体を持ち、体を硬そうな鱗で覆われた狼であった。


[F+ランク:ウルフゴーレム

俊敏性こそ若干下がった物の肉体は強化され、その爪と牙はより強固な物へと変化した。

スキル:鋭利・硬化]


ランクこそスライムゴーレムと一緒になるが、その性能の高さに賢は満足した。


「私が現れた時もそんな顔して欲しかったのですが。

 私はこの子らよりも強いですよ?」


賢の正面にホワイトマジシャンが回り込んで顔を見合わせながら笑顔でアピールする。


「てめぇ、黙ってたら調子に乗りやがって!」


賢は我慢の限界が来たようで正面に蹴りを放つが、いつの間にかホワイトマジシャンは背後に移動していた。


「あめぇ!」


賢は振り上げた足とは別の足を軸としてその場で回転し、背後にいるホワイトマジシャンへもう一度蹴りを放つ。


しかし、それすらもホワイトマジシャンには当たらず、次の瞬間ホワイトマジシャンは賢の頭の上に土足で立っていた。


「ん〜、惜しかったですね」


自身の頭の上で嘲笑うホワイトマジシャンに賢は怒りを爆発させてしまいそうになるが、両手で自身の両頬を叩き冷静になる。


「ウルフスライム、ゴーレムスライム、ウルフゴーレム。お前らに命令だ。こいつを痛めつけろ」


賢は自身の上に指を差しながら先ほど自身のスキルで生みだした魔物達に指示を出す。


「お前、あいつらを殺すなよ」


賢はニヤニヤと様子を伺っていたホワイトマジシャンにも指示をだした。


「心得ていますよ、マスター」


ホワイトマジシャンは賢から飛び降りると向かってくる三体の魔物に対して構える。


「俺は奥で作戦を考える。

 お前はここでじっとしてろ」


そう言うと賢は先程までいた部屋へと戻っていった。


「ふふふ、揶揄いがいがありますね」


ホワイトマジシャンは軽やかな動きで攻撃を避けながらも、視線は賢の背中を見ていたのだった。

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