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13 嘘の初恋

『そろそろもう1人上がる人が出てきそうだな』

『誰が上がってもおかしくはないね』

『いや、俺が上がらないとおかしい』

『自意識過剰すぎるだろ』


「次の世界に、いこう」


 しばらくの間、♣︎Jだったものを見つめていたjokerだが、ようやく決意がついたようで次の世界に行くことを決意した。

 彼女にとっては4つ目の世界。

 今のところ4つ全ての世界を周ったのは彼女だけだ。


 新しい、4つ目の世界に降り立ったが、もう1人のjokerはいなかった。

 しかし、悲しみなどは一切ない。


「入れ違いになったのかな」


 静かにそう、呟いた。


『ここでペアができれば僕の勝ちかな?』

『だな』

『絶対に引かせるものか……』

『とりあえず力ずくでカード引かせないのやめよう?』


 ♠︎8。彼女は今まで恋心というものを抱いたことはなかった。

 しかし、❤︎Qのように恋に興味がないわけではない。

 いわゆる、恋に恋すると言ったものだ。

 もしかしたら素敵な出会いがあるかもしれない。

 そう期待して世界を渡った。


 そして、世界を渡った♠︎8は❤︎8に恋心を抱いた。

 正確にいうと、消えたいという欲望が同じ数字をもっている❤︎8を見た瞬間に増幅して、それを恋心と勘違いしただけなのだが。

 それでも♠︎8にとっては恋心同然だった。

 彼女に触れたい、彼女を独り占めしたい、彼女と……消えたい。

 欲望が抑えられなくなっていく。

 ❤︎8は♠︎8の存在に気付いてはいたが、逃げられなかった。

 彼女は消えたい欲が強く、逃げなくてはという意識はあるが身体がそれを許してくれなかったのだ。

 このことを♠︎8は自分のことを受け入れてくれると解釈してしまう。

 

「大好きだよ」


 ♠︎8はそう呟くと、ゆっくりと❤︎8と身体を重ね合わせる。

 抱きしめて、これは自分の物だと言わんばかりに首元にキスをする。

 ああ、幸せだ。

 ♠︎8は今まで感じたことのないくらいの幸せを感じながら❤︎8と共に消えていった。

 

『これで僕の勝ちは確定だね』

『……俺のカードいるか?』

『いらない』


ーーーーーー


Aの世界 0枚


Bの世界 4枚

♦︎A ♠︎5 ❤︎6 joker


Cの世界 1枚

❤︎A


Dの世界 2枚

♣︎6 ❤︎5


ーーーーーー

 物語のヒント

世界はjokerの存在を認めていない

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