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9 重ね合わせる

『残り2枚かー。早いな』

『このまま1位の座はいただくぜ』

『いや、ここから僕が逆転して見せるよ』

『ふーん、まあ頑張れ?』


 ❤︎Q。彼女は♦︎Qと♠︎Qが消えていくところを一瞬だけ、目撃していた。

 ……遅かった……

 彼女に想い人という概念がなく、ただただ消えたいという思考回路の持ち主だった。

 だから「♦︎が……」「♠︎と消えたかった……」と言った思考は抱かず、「間に合わなかったかぁ……」という思考になった。

 でも、世界を周ればいつかは残っていQ、♣︎Qと出会える筈だ。

 彼女はそう思い、世界を渡った。

 次の世界に♣︎Qはいないのだが、それでも彼女は受け入れて次の世界にいく準備をするだろう。


『揃わなくなってきたな』

『だな』

『……ここで僕が流れを変える』

『急にどうした?』


「次の世界にはいるのかも」

「待ってて、すぐに行くから」


 jokerはそういうと、再び世界を渡るようだ。

 だが、もちろん次の世界にも、もう片方のjokerはいない。

 彼女はそのことを知らずに、世界を渡った。。


「……この世界には、いるの?」


 そう呟くが、いるはずがない。

 彼女の中には不安がどんどんと溜まっていた。

 ……3つ、世界を渡ったのに会えない……

 4つ目の世界にいるのかな……?

 もし、いなかったら……

 そう考えると不安に押しつぶされそうになる。

 

「どこにいるの……?」


 か細い声でそう呟く。

 もう、彼女の心は限界に達そうとしていた。

 元からある本能か何かが不安から逃れようと感情を閉ざそうとしている。

 そのときだった。


「どうしたの?」

「……え?」


 見上げると、そこには自分の探している人物によく似た人物が立っていた。

 一瞬、探していたjokerなのではないかと勘違いしてしまいそうになる。

 服装が違うため、すぐに違うとは気付けるのだが。

 

「泣きそうな顔してたから……何かあった?」

「ずっと探してるのに……いないの……もう世界を3回もまわったのに……」

「そっか……でもきっと4つ目の世界にいるよ! 元気だそう?」

「そう……だよね」


 本来ならば消えたくて自分のことで精一杯のはずなのに、自分のことを気にかけてきれるどころか励ましてくれる。

 その優しさや、そっくりな容姿からjokerは無意識のうちに彼女を探しているもう片方のjokerと重ね合わせていた。


「私は♣︎J。貴女は?」

「joker」


 彼女と一緒にいれば、いつかは見つけられるかもしれない。

 なぜかそんな気がする。

 jokerにとって♣︎Jはもう片方のjokerと同じくらい大切な存在となっていた。


 

ーーーーーー


Aの世界 2枚

❤︎5 ♣︎Q


Bの世界 4枚

♦︎A ♠︎5 ❤︎6 ❤︎Q


Cの世界 5枚

❤︎8 ♣︎J ♦︎10 ❤︎A joker


Dの世界 5枚

♣︎6 ♠︎8 ♦︎J ♠︎10


ーーーーーー

 物語のヒント

少女たちはjokerが1人しかいないことを知らない。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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