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※注意:この異世界には呪文が『ステータス・オープン』な自爆魔法があります。

作者: かずゐ

 気が付くと俺は見たこともない草原のど真ん中に立っていた。


「なるほど。どうやら俺は異世界転移しちまったらしいな」


 道理で身体の中に凄まじいエネルギーを感じるわけだ。

 そうと分かればさっそく現状把握といくか。


「ステータス・オープン!」


 そう叫んだ直後、急に身体の中のエネルギーが膨れ上がり、俺の身体ごと爆発した。


(なん……でだ……?)


 わけが分からない。俺はただステータスを確認しようとしただけなのに。

 おそらく隠れ潜んでいた何者かによる攻撃だろう。

 これから始まるはずだった俺のなろうテンプレばりの勝ち組人生を邪魔しやがって!

 卑劣な攻撃をしてきた何者かに対して怒りを抱きながらも、身体を失い魂だけとなった俺の意識は徐々に遠のいていった……


   ― ― ― ― ― ―


 気が付くと俺は見たこともない屋敷の中で見たこともない美人に抱きかかえられていた。


(なるほど。どうやら俺は異世界転生しちまったらしいな)


 道理で身体の大きさやら何やらに違和感があるわけだ。

 そうと分かればさっそく現状把握といくか。


(ステータス・オープン!)


 そう念じた直後、急に身体の中のエネルギーが膨れ上がり、俺の身体ごと爆発した。


(なん……でだ……?)


 わけが分からない。俺はただステータスを確認しようとしただけなのに。

 中世の貴族の屋敷らしき場所でそうタイミング悪く賊が現れて攻撃してきたとも思えない。

 そもそも赤ん坊の俺を爆殺する理由も分からない。

 とにかく困惑しながらも、身体を失い魂だけとなった俺の意識は徐々に遠のいていった……


   ― ― ― ― ― ―


 気が付くと俺は見たこともない純白の空間に佇んでいた。


『なるほど。どうやら俺は神のいる空間に来ちまったらしいな』


 道理で身体がなく魂だけの状態でいるわけだ。

 そうと分かればさっそく現状把握といくか。


『ステータス・オープン!』


 そう念じた直後、特に何も起こらず静寂に包まれ、妙な恥ずかしさを感じた。


(なん……でだ……?)


 わけが分からない。俺はただステータスを確認しようとしただけなのに。


【我は神。本来であれば下界の魂に干渉することは無いが、其方が愚かにも自爆を繰り返し下界を乱すので、我が直々に其方の過ちを指摘しよう】


『こいつ直接脳内に……!』


【下界には自爆魔法という禁呪が存在する。そしてその自爆魔法を発動させるための呪文こそが『ステータス・オープン』である。地球と呼ばれる世界の言葉とこの世界の言葉とでは意味が異なる。それに気付かず先ほどの念も合わせて三度も過ちを繰り返すとは、やはり下界の魂は愚かである】


 神だか何だか知らないが、人のことを馬鹿にしやがって!

 そもそもそんな対異世界人特化のデストラップが仕掛けてあるなんて気付けるわけがないだろうが。


【我が慈悲に感謝せよ。二度の自爆で其方の魂は摩耗し限界に近い。多少の補強はしておるが、次にまた自爆すれば其方は肉体だけでなく魂までも爆散するであろう】


 わけが分からない。俺はただステータスを確認しようとしただけなのに。

 そう驚愕しながらも、身体を持たず魂だけである俺の意識は徐々に遠のいていった……


   ― ― ― ― ― ―


 気が付くと俺は見たこともない怪物に飛びついていた。


「なるほど。どうやら俺は走馬燈を見ちまったらしいな」


 道理で世界がスローモーションに感じるわけだ。

 そうと分かればさっそく現状打破といくか。


「ステータス・オープン!」


 そう叫んだ直後、急に身体の中のエネルギーが膨れ上がり、俺の身体ごと爆発した。


(なん……でだ……ろう……な……?)


 わけが分からない。俺はただなろう小説の主人公みたいになりたかっただけなのに。

 なろう主人公ならこんな怪物にもチートで圧勝できるのに。

 最強格だけどチートな別格にはなれなかった俺が怪物を倒せる可能性はこれしかなかった。

 手が届く程度の近距離に圧縮されたような超破壊を引き起こす、自爆魔法しか。


 大切な仲間を守りたい。

 最愛の女性を守りたい。

 まさか俺がそんな風に思う日が来るとはな。


 ぎこちなく苦笑しながらも、身体を失い魂までも崩れた俺の意識は徐々に遠のいていった……

 ステータス・オープン。

 この異世界ではどういう意味の言葉だったのでしょうか……?

 答えは皆さまの胸の中に。


(良い感じの答えを思いつかなかっただけ)

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