間「それぞれの思考」
疑問がふと浮かぶ。
奴らはどこにいたのか。どこにいるのか。どこから攻めているのか。
そもそもなぜあのような、推定三百ほどの大群がいるのにも関わらず関東遠征では見つからなかったのか、見当たらなかったのか。
そしてなぜ我々が無事に遠征を行うことができたのか。
彼らに関する疑問の発端はやはり関東遠征から生まれるものである。
ライフラインの管理施設、そのどれもに奴らはいなかった。が、施設は正常に作動し今なお水道、電気、ガス、インターネット、どれもが繋がったままだ。
あの時奴らはどこにいた? どうやって管理していた。
今もなお進軍し続ける奴らはどこから進軍しているというのだ。
扇の先端から約十キロの範囲はすでに偵察済み。そこにはなにもなかった。というのに彼らはどこから来ている。どこに身を置く。
スパイが潜伏していたというのなら本体がいたはずだ。親玉が巣があった筈だ。やはり宇宙か?
人間はどこへ消えた?
死んだのか?
消えただけなのか?
消えたのなら出現も可能?
消えられるのは人間だけ?
出現可能ならば奴らも?
奴らまさか────、
原和の思考は止まらない。
◆◆◆
やはりついて来て正解だった。
■の存在はしっかりと相手に知覚されている。少なくとも囮くらいには使えるな。
残った■たちに怒りや哀れみはない。■たちも曲がりなりに人間に似せて作られてはいない。人間のように恐怖する。
ここに長くいすぎたせいだな。遠き日の目的はもうない。今はただ■さえ救えればいい。
だからリスクをおかした。大きなリスクだ。巻き込んで死なせたものもいる。だから■はここにいる。
ここで■ために。
■は思いを馳せる。
◆◆◆
正直、負けると思ってしまっている。
あいつにはあれだけ突っかかったけれど、それはなにか自分の中にある醜いなにかのせいで、誰か人の敷いたレールの上で死にたくなかっただけなのだろう。
詭弁と言われても仕方がない。
本気で戦う、戦える進が羨ましかっただけだ。俺はどこかで諦めてる。それは天鳴地動の直後からいや、ずっともっと前から。
勝つことを諦めてる。
六輔は終末にため息をつく。
◆◆◆
彼のことが好き。
そう思っていた時期もある。
ただそれが憧れとか信頼とかそういうものなんだとわかった時からは彼に尽くそうと思うようになった。
自分を見せようとか、見てもらおうとか、そういうことじゃなくて、彼がみるべきものを見れる手助けをしようと決めた。
それが私の初恋の行方。
だから、今も、彼の視界を塞ぐものをどかしてみせる。
氷見はそう、誓う。
◆◆◆
正直言おう、冷静さは欠いている。
今の俺に正解を求める力はない。
頭を過るのは原先生と柊の顔ばかり。
俺はお膳立てしかしていない。デカイ顔をしてみんなに手にいれた模範解答を読み上げているだけ。答えのほとんどは彼らが導き出したものだ。
今も彼らからの答えを待ってる自分がいる。
この状況から脱却しうる答えが見つからないからだ。
どうしてもわからない。この状況では攻めることも退くことも判断できない。だから保留の指示。
誰か俺に正解をくれ。
進は己を信じない。
◆◆◆
最初に感じたのはほんの違和感だった。
少しの気付き。■ばかりに攻撃が集まっていた。
だがそれが致命的で、虚構の壁がボロボロと崩れ真実がむき出しになる。
俺はこのときから気付いてたんだ。
なのにそれを隠したんだ。
彼は後悔をすることになる。




