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雷親父と異世界魔王  作者: リョーサン
第一章
3/3

不死の骸骨と雷親父

「涼太郎様、魔族の襲撃のようですが如何致しましょうか?」


水月がうんざりした顔で聞いてくる、毎日の襲撃にかなりの嫌気が差しているようだ。


先ほど思い付いた作戦に対し具体的な指示を出す。


「まずは人質交渉に乗る事にして停戦を申し込もう。草薙剣は亜空庫にいれて私が魔王城に持ち込み、人質が解放され次第、直接魔王に手渡すと言う風に説明し、私、朔夜の2人で魔王城に向かうことにする。」


水月はかなり不安な様で内容について詳しく確認してくる。


「乗り込んだ後はどうするのですか?脱出の方法は?私もお供させてください‼️」


水月には一番重要な村の守りを任せると説明し一旦落ち着かせる。


「神器の剣はこちらの世界に何本あるの?」


水月と朔夜に問いかける。草薙剣は須佐之男命がヤマタノオロチを倒した際に尾の部分から出てきたはずだか、少なくとも日本の皇室が持っている物と創成の一族の1本の二本が存在することになる。ヤマタノオロチの尾は8本有ったはずなので最大で8本が存在したと考えるべきか。


「我が一族が保管している神器は7本合ったのですが、1本盗まれた為6本です、4本は四神獣使いが一本ずつ持っており、残り2本はこの神社のご神体となっております」


予想通りの回答だが、そもそも古い伝承によれば草薙剣は両刃の銅剣だったはずなぜそんなものを欲しがるのかが気になる。


「魔王が草薙剣を欲しがる理由はなに?剣としての性能は鉄剣の方が高いんじゃないの?」


朔夜が古めかしい剣を取り出しながら近づいてくる。


「直接見ていただいた方が早いです、少しだけ離れてください」


そういうと朔夜は、剣を両手で持ち剣に向けて力を込めるような素振りを見せる。


「剣よ、我が神力を糧に力を解放せよ、「神器解放」」


一瞬辺りが目映い光りに包まれる、光がおさまり朔夜が現れる、手にしていた剣はなく、変わりに手には白地に黒い虎柄のガントレットが着いている。一目見ただけで強烈なオーラを放っているのがわかる。


「私の神器解放は、白虎の爪をイメージしたガントレットが基本ベースです、ただし神力を注ぐ量によりいくつかの形状に変化します」


なるほど、魔王が欲しがるわけだ、ふとひとつ疑問が浮かぶ。


「盗まれた剣は誰の手元にある?何故取り返さないの?」


朔夜が悲しげな表情で答える。


「盗んだのは現在第八魔王を名乗っている者です」


月読様が話していた事を思い出す、確か私の前任者が裏切り第八魔王になったはずだ。朔夜が続けて話す。


「ヤツは、我々を裏切っただけではありません。先日も任務に向かう途中の朱雀の神獣使いと姫を襲い、朱雀の神獣使いと我が戦士達に瀕死の重症を与え、姫が誘拐される原因をつくりました」


そういうことか、あまりにも戦力が少なすぎると思ったが、その理由がわかった。


ミラとユラにゴッドヒールで朱雀の神獣使いや、怪我人を回復させるように指示を出す。戦力は一人でも多くする必要がある。


「神器は二本とも私が保管する事にしようと思うが、何か問題は有る?」


朔夜が困った顔で話し出す。


「御神体を持っていかれてしまうと、お祀りする御神体がなくなってしまいます」


なるほど、神官の立場としてはもっともな意見だ。


どうするべきかを自分の持ち物とステータスを見ながら考えているとよいアイデアを思い付く。


「ナヴィー、このスキルの習得と、亜空庫からこれを取り出して」


「了解しました、少しお待ちください」


目の前に日本刀(模造刀)が現れる、その日本刀を両手で握り神力を、付与するイメージで力を注いでいく、先程習得したスキルは付与魔法だ。ステータス上の種族が神になっているので、付与魔法を使い神力を付与することで擬似的に神器を作れないかという考えだ。

神力を注ぎ始めたところで異変が起きる、刀身が金色に光り輝いている。


ナヴィーに完成した模造刀の状態を聞くと、ただの模造刀が神剣に進化しているとのこと。ちなみに付与した能力は「切れない変わりに破壊不能」と言うものだ。紙切れすら切れない変わりに神器でも破壊不能という、最強の模造刀になったはずだ。朔夜にこの刀を、御神体にするように伝え神器二本を亜空庫に格納する。


準備は完了だ、神社の社殿から外に出る、こちらの姿を確認したのだろう、攻撃の勢いが増してくるが青龍のバリアに全て阻まれてこちらには届かない。ナヴィーにマップを表示させ敵の数を確認する、敵は4人しかいないようだが、一体は転生前に月読様に見せて頂いた映像に出ていた魔王の側近のリッチだ。


ナヴィーに魔法耐性(大)と身体能力向上のスキルを習得することを告げ、それらのスキルを自分に対し使用する。


「取引がしたいこちらの言葉は聞こえるか?」


リッチに向けて話しかける、一瞬の静寂の後今までの倍以上の魔法が飛んでくる、どうやら話し合いをする気は毛頭無いらしい。


リッチの回りの3人の魔族は、下級兵士のようだ、使用する魔法もリッチの魔法より格段に弱い。


「最後通告だ、そちらと取引がしたい、少し話しが出来ないか?」


また一瞬の静寂の後、激しい攻撃が始まる。仏(神)の顔も三度までだ、どうやら力ずくでわからせるしかないらしい。


私に行かせてくださいという、朔夜をなだめて自分の力を試したいから自分で行くと告げる。


リッチを観察すると完全にこちらをなめているのか約8秒に一度ずつ、火魔法と風魔法を繰り返し放っているだけのお粗末な攻撃だ。リッチまでの距離は約30mで下級兵士が左右と前方に立っている。朔夜がせめてこれだけでもと敏捷性アップの風魔法をかけてくれた。次にリッチが火魔法を放った瞬間に動くので一瞬バリアを解除するように告げる。


「今だ」


バリアが消えるのを確認し全力でリッチの目の前に突っ込む、重ね掛けされた強化魔法が強力すぎたのだろう力加減を完全に間違えた。勢いがつきすぎて止まれそうにない、しょうがないのでそのままの勢いでリッチの目の前の下級兵士にドロップキックをかます。


「ドゴォッ」ドロップキックを食らった兵士は凄まじい勢いでリッチに向かって飛んでいく、リッチはバリアが解除されたのを見て炎の大鷲を杖から召還しようとしていた。


「バキッ」乾いた音が響きリッチの持つ杖が飛んできた下級兵士にぶつかり真っ二つに折れた、杖先まで出ていた炎の大鷲が杖が折れたことで暴走しているのか勢いよく膨らんで行く。慌ててリッチが杖を放り投げる。


その瞬間を見逃がすほどお人好しではない、すかさずリッチが投げた折れた杖を空中で拾い、神力を注ぐ。醜く膨らんだ大鷲が更に勢いよく膨らむ。そのまま神力を注ぎ続け、リッチに向けて爆発させようとした瞬間、金色の炎の柱が大きく膨らんだ大鷲から上がり、炎の中から金色に輝く大きな鹿のような生き物が現れ私の目の前に止まった。

訂正する、頭は龍で角が一本、体は鹿のようだが足は馬に近い。ナヴィーにこの生き物?は何者かと確認しようと考えた瞬間頭のなかに声が響く。


「我は麒麟、強き人間よ、我を召還し何を望む?」


驚きながらも麒麟の目を見つめながら心のなかで強く念じる。


「世界を有るべき姿に戻したい、その為に力を貸してもらえないか?」


麒麟が近寄ってきて角をおでこにくっつける。そのまま数秒が経過した。麒麟の声が聞こえる。


「なるほど、月読様の使徒か、気に入った、我が一族はお主に力を貸すことにする、力が必要な時は我を呼ぶがよい」



どうやら、リッチの暴走し爆発寸前だった召還魔法に神力を大量に注いだことで魔法として成立したみたいだ。


左手のナヴィーの腕輪に麒麟のマークが現れる。契約完了のようだ。早速麒麟にリッチに攻撃するよう指示を出す。麒麟の角が青白く光り初める、次の瞬間凄まじい雷鳴が轟く。


勝負は一瞬で決したようだ。リッチと下級兵士は雷に打たれても辛うじて生きていたがもはや動けないようだ。頭のなかにレベルが上がりましたという、メッセージが流れたが後で確認することにする。


「最後のチャンスだ、よく考えろ。我が傘下として神の僕(ゴッドサーヴァント)に入るなら全員の命を助けてやる、ただし死にたいならこのまま放置する」


リッチに所属を神の僕(ゴッドサーヴァント)に変える場合、眷族の腕輪による契約により神の加護を得る代わりに制約が発生する事等を説明する。


リッチが部下の一人の状態を見た後話しかけてくる


「どうか部下を助けてください、助けてくださるなら神の僕(ゴッドサーヴァント)に入らせていただきます」


さっきまでの不遜な態度からの変わりぶりに少し驚くが部下を大事にする態度には共感が持てる。


回復の為下級兵士のもとに近寄る、全員虫の息だが、ドロップキックを食らった兵士は呼吸をするのもやっとで意識も既にない。


慌てて神回復(ゴッドヒール)をかける。みるみるうちに呼吸も安定しあり得ない方向に曲がっていた足の骨も元通りになっている。そのまま残りの3人にもゴッドヒールをかける。

回復した四人の左手には眷族の腕輪が光っていた。ナヴィーがハイテンションで神ガチャターイムと叫ぶ。どうやらガチャを引くまでが一連の流れらしい。


ナヴィーがステータス毎にガチャを振り分けていく、ドロップキックを食らった兵士は金ガチャなので上級兵士だったようだ、他2名は銀ガチャ、リッチは虹ガチャだ。


銀ガチャからはほぼステータスUPしか出ないらしい、当然二人もステータスUPだった様だ。

上級兵士は防御系スキル「守るべきもの」を入手していた、どうやら上級兵士の職業は壁役(タンク)でリッチとの付き合いはかなり長く、お互いにかなり信頼しているようだ、リッチがどうしても助けたかったのはきっと彼だったのだろう。


リッチがガチャの結果を見てかなり動揺している、中に入っていた紙を見ると「スキル 受肉」と書いてある。

リッチが恐る恐るスキルを使う、リッチの体に文字通り肉が着いていき、あっという間に赤毛の女性になった、年の頃は25~6才くらい、意思の強そうな瞳に気の強さが現れている。受肉したリッチにタンクの男が抱き付く目には涙が溢れている。


「セレイナ君をもう一度抱き締めることが出来るなんて夢のようだ」


どうやら二人は訳ありのもと恋人だったらしい。

「シアンあなたのぬくもりを感じる、リッチの時は世界が白黒に見えていたのに今は眩しいくらい色が溢れている、あなたの顔をもっと見せて」


二人だけの世界に入ってしまい今にも熱いキスをしそうな2人に咳払いをして注意する。朔夜には刺激が強かったらしく顔が真っ赤だ。


4人がこちらに向けて片膝をつき座る、エレイナとシアンはエレイナにかけられた不死人(リッチ)の呪いを解くため魔王の側近をして情報を集めていたらしい

。今回受肉出来たことで、無理に呪いを解く必要が失くなったようだ。


「改めてエレイナに受肉スキルを与えていただき感謝致します。生涯をかけてこのご恩に酬いさせていただきます」

シアンがエレイナの手を握り涙を浮かべながら感謝の言葉を告げる。


エレイナとシアンに人質交換に絡む一連の作戦を説明し、魔王の元に直接神器を持って行けるよう魔王に話をして欲しいと指示を出す。


連絡をしてきますので少しお待ちくださいと言い残し、二人が一度拠点に戻ったので、こちらも一度神社に戻る。


先程の戦闘中レベルが上がりましたという、声が聞こえたのを思いだし自分のステータスを確認する。


名前「清水 涼太郎」

レベル 「26」

職業 「神成り親父(ゴッドファーザー)

種族  「神」(月読の使徒)

称号 「不死殺し」

所属 「神の僕(ゴッドサーヴァント)」眷族数8人(眷族ボーナス、ステータスに80ブラス)


体力  730「Bランク」+80(眷族ボーナス)

力   730「Bランク」+80(眷族ボーナス)

神力  860「Aランク」+80(眷族ボーナス)

敏捷性 730「Bランク」+80(眷族ボーナス)

幸運度 1230「SSランク」

創世神の加護 すべてのステータスに+500 

月の加護   状態異常無効、幸運度+500 

契約召還獣 麒麟

スキル  親父の拳骨(ゴッドパンチ) 神魔法 付与魔法 言語理解 魔法耐性(大) 身体能力向上(中) 神器解放


流石は幹部、4人倒しただけでレベルが26も上がった。SP(スキルポイント)も78ポイント入手したようだ。


身体能力向上(大)などいくつかのスキルを取得する。


ここまでは順調だ、ポケットからスマホを取り出し家族の写真を見る。どんな手を使っても絶対に負けるわけにはいかない、そう家族写真の中の自分に向かって何度も言い聞かせる。


いよいよ最初の魔王に手が届く、緊張した顔の朔夜に向かい微笑みながら大丈夫心配するなと伝えながら頭をそっと撫でる。半分は自分に言い聞かせているのかもしれない。



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