秋トリオ合流
話を終えた僕は、話始める前と同様に一度深呼吸をしてリラックスした。
そして、最後にこう言った。
「……これが僕の考えだよ。僕の勝手な行動のせいで両親は死んだ。……僕はそんな罪悪感から逃げたいだけなんだ」
「……そうだったんだね。話してくれてありがとう。辛い思いさせちゃってごめんね……」
「別に大丈夫だよ。僕が勝手に話し始めただけだから」
「充君の考えは分かったけど、それでも私は記憶を取り戻したいかな。なんかごめんだけど」
「分かってるよ、僕たちは元々正反対だからね」
僕の話を聞いて、今更考えが変わるとも思ってない。
それに、僕は彼女を尊重するだけだ。
さっきは記憶を取り戻す事を止めようとしたけど、それは無しにしよう。
彼女の行きたい方向に付いていく。
そして、その方向に行けるよう全力でサポートするだけだ。
「……私の手伝い、嫌だったら降りても大丈夫だからね?」
「突然どうしたの?まさか気使ってくれてるの?」
「だって、あんな話聞いた後じゃなんか申し訳なくて……」
「そういうつもりで話したわけじゃないし、変に気を使わないで良いから」
「そう……?じゃあ、もし嫌になったら遠慮なく言ってね?」
「……それは美月の方だよ」
「ん?何か言った?」
「…いや、何でもないよ」
「そう?じゃあ、改めてよろしくね!」
「うん」
彼女は、そう言いながら微笑んだ。
……別に、手伝いを降りても良かった。
けど、美月の状況を知っていて中途半端に引き返すことは出来ない。
それなら、このまま最後までやり切った方がいい。
……それに、僕と正反対の彼女が記憶を取り戻した時に、どういう道を選択するのか。
そこが一番知りたかった。
それを確認するには、彼女を手伝うのが一番良い。
……それにしても、随分と長く話してしまった。
自分からこんなに話したのは久しぶりだったので、少し疲れてしまった。
話し終えて落ち着くと、なんだか違和感があった。……何か忘れてる気がする。
必死に思い出そうとしていた矢先、その正体は突然僕たちの目の前に現れた。
「あのー……お二人とも仲直り出来ましたか?」
「あっ……ごめん。声かけるの忘れてた……」
「やっぱりそうだったんですねー……」
突如現れた少女は、少し呆れた様子でため息をついた。
「声かけるって何のこと?」
「紺野さんは、僕たちが仲直りする為に協力してくれたんだよ、二人で話せるようにって」
「だからか〜、なんか変だと思ったんだよ〜」
「でも、仲直り出来たなら良かったです」
「わざわざありがとね!紅葉ちゃん!」
「……いえ、どういたしましてです」
合流した僕たちは、他愛のない会話をしながら花畑に向かった。
様々な色で彩られたそれは、まるで一つのアートのようだった。
「想像以上に綺麗ですね」
「紅葉ちゃん見て見て!こっちの花も綺麗だよ!」
女子二人は、キャッキャッ言いながら花畑を堪能していた。
「花、か……」
そんな二人を脇目に、僕は遠い昔を思い返していた。
ここには、あのシロツメクサもあるのだろうか?
気付けば、あの時と同じ花を探していた。
「秋山君?どうかしたんですか……?」
「……いや、何でもないよ」
僕は、何事もなかったかのような素振りをした。
「この後は湖に行くんですよね?」
「その予定だけど、ご飯とかどうする?」
「あ、それなんですけど。実は私お弁当作ってきたんですよ。良かったら一緒に食べませんか?」
「紅葉ちゃん料理できるの!?」
「お二人の口に合うか分かりませんけど、人並みにはって感じですね」
「私食べてみたいな〜、充君はどうするの?」
「……じゃあ僕も頂こうかな」
「じゃあ、湖に着いたらシートを引いて食べましょう」
こうして、休憩とお昼ご飯を兼ねて湖へと向かった。
その道中、美月に例の事を打ち合わせた。
「あのさ、美月が良ければ湖で記憶のことを話そうと思うんだけど、どう?」
「えっ、なんか自分事みたいだね」
「そんなつもりはなかったんだけどね。ごめん」
「いいっていいって。私はそれでも構わないよ。丁度良いタイミングだと思うし」
「紺野さんに話した後はどうするの?一緒に手伝ってもらうの?」
「それは、紅葉ちゃんが決めることだよ」
その言葉を聞いて確信を持った僕は、思ったことを素直に吐き出した。
「……あのさ、前々から思ってたんだけどさ」
「ん?」
「僕と紺野さんの扱い、なんかちょっと違くない?」
それを聞いた彼女は、目を丸くしていた。
それから少しして、美月はクスクスと笑いながらこう言った。
「いやいや〜、気のせいでしょ〜」
絶対気のせいじゃない……
そう思ったが、このまま話し続けても平行線になりそうだったので、それ以上は追求しなかった。
それよりも、今は記憶のことだ。
「……僕からもそのことで、二人に話したいことがある」
「えっ!?もしかして何か分かったの!?」
「うん。とりあえず後で詳しく話すよ」
そんな会話を繰り広げている内に、気付けば湖にたどり着いていた。




